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パールパレス  作者: たま


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鹸化反応

「コレでいけると思いますよ。」100均の袋を下げて篝さんが戻ってきた。中には金づちが10本。

「遺体をバラして固めたなら、まず砂利で表面を平らにしたはず。その上から木の板で蓋をしてコンクリを流し込んだとしても、動物性油脂が木に浸透しコンクリにまで長い時間を掛けて浸透し、鹸化反応(けんかはんのう)で大変脆くなってると思います。」篝さんが説明する。

「なんですか?その鹸化反応って?」赤髪の享楽の戦士バッカス役の保坂くんがすでに飽きて飲みながら聞く。いつの間にかコンビニ行ってたようだ。

「人体の動物性油脂がコンクリートの石灰と反応して石鹸みたいになるんですよ。すると大変脆くなる。なので金づちでも砕けて中の骨を見つけれるはずです。」篝さんが説明する。

「よし!やってみましょう!すげ〜っ、ワクワクしてきた!」クリスタ役の太一が腕まくりする。

「骨も脆くなってますから、丁寧にね!気を付けて〜」と篝さんが注意する。

皆が金づちを持って発掘調査みたいにカンカンしだした。琴子もやろうとしたが、ふと前の大通りから視線を感じる。

ふと見るとビルの前の通り、行き交う夜の人並みにあの女性スタッフさんがジッとコッチを見ていた。

お礼を言おうと声を掛けようとしたが、口元に手を当ててニコッと微笑む。

そして頭をちよっと下げて、そのまま雑踏に消えた。

「あれ?参加しないのかな?」と思ったが、事務所が空っぽなのも確かに問題かもしれない。

「ホントだ!柔らかい!崩れる〜崩れる〜♪」と歓声をあげる若い戦士達。

「ハア〜ッ、それってヤバいって事じゃん!動物が下に埋まってる証拠になるじゃ〜ん!イヤだ〜っ」とジュンが文句言いながら率先して5姉妹を率いて発掘してる。

こうやって一同揃うと本当に若い集団の会社だなと思う。これから、どうなるのか?推しの手腕が試される。あのまま元の大手事務所で人気配信者のまま過ごすのも良かったろうが、ここで若手を見ながらニコニコしてる姿もまた幸せそうだ。

その姿を見るとこちらまで幸せな気持ちになってくる。

『アナタが幸せなら、それで良いのかもね。』ふと、そんな気持ちになってきた。

ビルとビルの谷間でまるでキャンプでもするようにサーチライトに照らされて賑やかに発掘をする若者達。次々と交代しながら、戦士バッカスが買ってきた缶チューハイと酒で談笑しながら作業は進む。

「これ、骨じゃないかな?」下あごとおぼしき茶色い骨らしいものを持って隆史がサーチライトに照らして確認する。

「うん、この大きさだと人間の頭の大きさだと思う!皆、手を止めて!警察に知らせるから!」推しが皆に声を掛ける。

和やかな空気が一変した。

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