半地下
「なんでスコップを?」琴子が元推しに聞く。
「笠原くんから聞いた話で地下室があると思ったんだ。基礎にね。しかし、中からは地下室行く階段はない。
つまり、外階段から入る半地下にゴミシューターのゴミが集まるように設計されてるだろなとね。
僕は海外にも住んでたからね、ロンドンとか半地下にメイド部屋があって表玄関を使わなくても買い物とかできるように半地下から上がる階段多いんだ。
ご主人と同じ出入り口を使用人が使うなんてNGだった
20世紀初頭の家も海外は沢山あるから。
名探偵ポワロもよく使用人の話を聴きに半地下へ降りる外階段で使ってたし。」本当に推しは経験豊富で読書家だ。おかげで配信が楽しかった。また復活してもらいたい。
「殺した奴等は、このゴミ置き場がどこにも繋がってない事を良いことに地下への階段自体を埋めたんだろなとね。」話しながら、まるで階段が見えてるのかと思うほどサクサクと掘っていく。
「助かる。ありがとな。」と直哉も社長に対する態度とは思えない話し方だ。
いつの間に2人は友人になっていたようだ。
『うん、私は推しに友を提供したのか???』琴子は裏切られて復讐する為に笠原を発掘したのに…何か間違ったみたいだ。
とにかく3人でセッセと掘る。
いつの間にかギャラリーが増え、事務所の皆が見に来ていた。途中で疲れたら交代してもらって3時間くらい掛かったが、辺りはもう夜で技術スタッフの篝さんが
どこから持ってきたのか巨大サーチライトで照らしてくれる。
「本当にありましたね…半地下階段。」段数にして10段ほどの階段が姿を現した。
扉が付いて鍵付きのドアノブが現れた。
「良いかな?恭弥くん?」社長が頼むと恭弥が前に出てきた。「任せて下さい。一蹴りですね。」とドガッと音がすると扉が壊れて奥に少し開く。
「中に何か有るみたいですね。引っ掛かってる。」恭弥がまだ壊れていない蝶番を2箇所を肘で折った。
長年土に埋まって傷んでいたとはいえ、木製の扉を一瞬で破壊できる恭弥は、やはり力の戦士タイタン役がピッタリだ。
中は女性スタッフが言ってた通り高さ1.5mくらいで縦横1mくらいのスペースで壁は鉄筋が張り巡らされたコンクリが剥がれている。床は少し色の違うコンクリだが、何だかボコボコしてる。
その上に空の一斗缶を半切りしたような金属の五右衛門風呂のようなゴミ箱が置かれてた。
天井には丸い穴が開いていた。
「その五右衛門風呂みたいなのは外に出せると思うよ。脆いけど、気を付けてね。」恭弥と隆史がソロリソロリと階段上へ運ぶ。
きっと昔の管理人もそうやって6階4階2階のゴミを運び出したのだろう。
日本最初のエレベーターは脚光浴びたが、日本最初のゴミシューターはあまり日の目を見ずに団地へと受け継がれていったのだ。
「これって、本当に文化財だよね?凄いなあ〜日本最初の近代マンションの先駆けだもんね!」琴子は言ってからハッと恭弥を見た。
やはり睨んでいる。どうも2人の相性は悪い。
「良いの良いの。それより人が大事!このコンクリにどうやって穴開けよう?
もし、人骨あるんなら無茶出来ないし…」床の古いコンクリを見ながら推しは悩む。




