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パールパレス  作者: たま


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鉄柱ストロー

「それは本当っぽいね。外から撮影してみようよ!」話したら直哉も手伝ってくれる事になった。

「そんな詳しいスタッフ居たっけ?確かにマネさんで3人女性いるけど。まあ、僕が事務所行く時間は見たことないが。」笠原が言いながら隣のビルとの狭い敷地に潜り込んでいく。

「一応鍵が掛かってるから社長には鍵貰う時に話したよ。自分の部屋にゴミシューターの入り口が埋もれてると聞いて驚いてたよ。後で部屋の方も撮影させてもらおう。」笠原が角部屋の西角に辿り着く。

「中央の内階段に面した部屋が大通り沿いの西部屋とこの奥の西部屋を分けてテラスで結んでる形になるから角部屋は独立感があるんだよね。

それでいて防火壁は扉式で開け締めできるから、いざ火事の時に逃げやすい。

関東大震災でココに元々建ってた工場は全焼してしまったらしい。その反省だね。

「こっち側の角だけデカいよね、奥の東京駅向きの角より。あっちはスッキリ四角のビルなのに、コッチは建物から10cmはみ出してる…こちらの鉄骨は…デカいの使ってると言うより、もしかしたら中が空洞な鉄柱なのかな?」直哉が言いながら手で写せとゼスチャーする。写したものを拡大すると細い鉄筋が縦横にビッシリ入ってるのが分かった。

「外側のコンクリの中の鉄筋は写るけど、中は白くて不透明になるよ?どういうこと?」琴子が聞く。

「つまり、この柱の真ん中には大きな鉄柱が入ってる可能性が高いのさ。そのため外壁を大きくしないといけなかったのかあ〜確かに怪しいな!」と外壁をコントコンと叩くが中が空洞かどうかは分からない。

「鉄柱なら、その女性スタッフが言った偶数階だけのシューターの理屈も分かる。」「なんで?」琴子はイマイチ分からない。間髪入れず聞く。

「つまり、ストローに一定方向にだけ穴をブシブシ開けたらどうなる?」直哉が聞く。

「そりゃ、穴の空いてる方に傾きやすくなる。」ストローに穴空いたら使えないのは、この際置いとく。

「つまり建物の強度が弱くなるんだよ。そっち方向に。

だからシューター穴の数を絞りこんだんじゃないか?」と直哉が言うと、琴子も分かった!

「そうか!ゴミシューターの穴は、パールパレスでは建物の強度に影響する部分にあるからだね!

建物の柱の中を通したから!

団地は外付で煙突のダクトみたいになってたけど!」琴子も了解した。

この1ヶ月同潤会アパートの写真から昭和30年から50年の団地をつぶさに見てきた。その積み重ねがあるから、ゴミシューターの誕生から衰退まで良く分かるようになった。

「それで、この西の東京駅と皇居が見えてる部屋だけにシューター付けたんだ。四方に付けたらヤバいからね。」直哉が付け加える。

しかし…シューターのゴミの出し入れ口が1階には無い…壁だけだ。

「1階は普通にカフェなんだよな、中は。そしてゴミシューターは中を貫通して地下へ。が入り口はない。

はて、どうしたものか?」2人はハタッと悩む。

赤外線で中に鉄柱らしいものが見えて、俄然やる気を出してるが、果たして中に本当に殺された入婿の遺体はあるのか?

ただ、ゴミシューター見つかっても意味は無いのだ。

「やっぱりさ本や漫画は謎が解けた!とか展開が大事だろうけど、現実は信念と根気なんだよね、事件を解決できるのは?

もっと言えば、執念と見まがうほどの推しへの愛!

これが無いと難問は解けないんだよね〜」と琴子はヘラヘラしてる。

「うわっ、スコップ3本持ってきたけど掘るのやめとこうかな?」その推しが後ろから来て後悔してる。

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