表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター5 仕合わせ
68/153

第59話 建守家


外がざわついている中で安斎と柴塚は家屋にお邪魔した

間取り的に玄関に近いリビングはうるさいので 奥のキッチンで話を聞くことに


颯颯はやては帰って来ませんか?」


「丁度安斎さん達が 前に来てくれた次の日から音信不通

次にハヤちゃんを知ったのはニュース速報ででした……」


お菓子の入った菓子鉢をテーブルに置く建守の母親は

ヤカンが鳴るまでコンロの前から動かない


「私もトアル探偵事務所の柴塚と言います

今私達は複数の事件を追ってまして 建守颯颯さんの行きそうな場所に心当たりはありませんか?」


「でもハヤちゃんはグループで行動してるんでしょ? 自由に行動出来るんでしょうか?」



「颯颯はコミュ障です 頭も悪くて体力も無く とてもじゃないが裏社会では生きていけません

県境を越えるとなればその不安は一気に跳ね上がるでしょう

俺達は途中で逃げ出す彼が実家以外なら何処かと思ってお母さんに会いに来たんです」



安斎の容赦ない二言三言に 柴塚は焦りながらも内心ホっとしていた

この状況で安心を抱くのは不謹慎だが ようやく平常運転な彼が戻って来た


「ちょっと所長……!! 親御さんの前で何てことを言うんですか?!」


「じゃぁここに来る必要も無くなる

安久谷のチームの中で一番身近で情報収集出来るのがここだけなんだからよ」



「そう…… ですよね あの子が余所で上手くやれる筈がありません

もうすぐここへ戻って来ると思います 他に行くアテなんて無いですよきっと……!!」



お邪魔させて貰って物の数分でどん詰まり


「そういえばお母さん 颯颯さんのお父さん今日は?」


「お仕事です」


「こんな状況でも会社に行くってすごいですねぇ……」


「社会人として自分の責務を放棄できないって言って出勤し続けています

仕事先ではやはり温かく迎え入れて貰えないようで それでも家庭を守る為に頑張っています」



「唯一の一人息子が出て行ってしまって家庭崩壊してるじゃないですか 何を守ってるんです?」



安斎は手を緩めなかった 柴塚はホトホト呆れている

母親はといえば安斎の言葉を聞き流すように ただ一点を見つめて俯いている


「そろそろ主人が帰って来ます ……それまでゆっくりしていって下さい

多分私よりも颯颯のことを理解していると思いますので」


「「 ………… 」」


母親は晩飯の準備に取り掛かっていた

安斎と柴塚は颯颯の卒業アルバムなどを見せて貰っている


「所長…… 元気になったのは良いですけどオブラートは忘れないで下さい」


「いいや…… 息子が偶然悪い道に走ってしまったと思い込んでるからそれは不可能だな」


「犯罪に手を染めれば環境が一変するんですよ?

彼の両親もどれだけ苦しんでるか…… 一目瞭然じゃないですか」


「見ろこのアルバム…… 保育園や小学校の颯颯は笑顔で写ってるよな?

だが中学校で不穏になっている 口は笑っているが目は笑っていない

高校に関しては苦し紛れの作り笑いまで習得してやがる…… カメラマンに大分説得されたんだろうな」


「高校生にもなれば恥ずかしさが出て当然ですよ 所長はまぁ経験して無いと思いますが……」


「その当たり前が盲点を生むんだよ」


外が再び騒がしくなったかと思えば 颯颯の父親が何度も溜息を吐いて玄関を潜る

台所に見知らぬ男女が居座っていることに驚きを隠せなかったが すぐに表情は和らいだ


「お客さんですか…… うちのもんが招いているってことは外より害が無いんですね?」


「トアル探偵事務所の柴塚です こっちは所長の安斎です」


歓迎ムードを作ってくれる父親は 母親に晩飯の要求を促した

一先ず一緒にご飯を食べる二人は颯颯の昔話に触れる


「小学校では颯颯の奴…… 一回だけ国語で100点取ったことがありましてね

いやぁその所為か会社を辞めてからは小説しか書かなくなりました……

仕事に就いて欲しいんですが まぁアイツも社会人なので自由にやらせています」


「息子さんがイジメを受けていたのは知ってましたか?

話によれば 殺した相手はイジメ加害者だったって話じゃないですか?」


「……颯颯は学校での話はしてくれなくなりました

してくれてたら もうちょっと力になれたのにアイツはまったく……」


「……しなかったんじゃなく出来なかったの間違いでは?」


「なっ…… 何を言い出すんですかっ?!」


「彼を代弁してハッキリ言いますね?

その面の皮が厚い営業スマイルで会社や近隣住民 保護者なんかには愛想良くしてそうですが

自分の息子にその笑顔をどれだけ向けられていましたか?」


「そ…… そりゃぁ……」


父親の強張った表情を見て安斎はさらに追い打ちを掛ける


「颯颯はおそらく どこか遠い過去 お父さんに相談していたと思います

ですがそれに対応するアンタを予想して見ましょうか?

学校の悩みを聞いてアンタが思い浮かべたのは自分の学生時代

年々と空気が変わる今の学校を考慮してみず…… 自慢話でもしました? それとも自虐か?

イジメを受けるのはお前の所為だ みたいな事とかも言いましたよねおそらく?」


「……覚えていないが ちょっとキツく説教をしたこともあったかもしれない」


「まぁそれはいいんです 俺も今は憶測で物を言いました

それで質問なんですけどお父さん アンタは毎日欠かさず出勤していると聞いたんですが?」


「そりゃぁ…… 社会人なんだから当然だろう? それに給料を貰わないと家族を養っていけない!!」


「えぇ…… 仕事一徹で大変結構だと思います

んで()()()()()()()()()()()()()はどこにぶつけていましたか?」


「……はっ?」



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ