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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター4 窮途之哭
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第47話 利害不一致


一方で体育館では 岳斗が大勢の敵を相手にしても怯んでいなかった

彼にとって喜ばしい点は 安久谷の引き連れて来たユザブルの兵隊達は寝ている一般人をフルシカト

それは逆に安久谷による徹底教育が行き渡っているということだ


「どないなことしたら無象連中をここまでコントロール出来るんや安久谷……?」


結束主義サードウェイブを参考にしただけだ

〝規律の力〟〝共同の力〟〝行動の力〟

そういうのを分かり易く教えてやって こいつらは初めて世の中の分別を考え始めた

ネットで集まるような奴は充実した交友関係で巡り会わなかったのがほとんど

だが鍛えてやることで面白いくらいに多幸感が味わえる結果が見えてきた」


「ほぉ……? なんやねんそれは?」


兵隊達を再起不能にさせた岳斗は 安久谷のもとへと壇上を飛び降りて近付く


「社会で生きてる人間が誰しも経験してきたこと

群れの裏切り者を見分ける能力に長ける事に成功した

自分達の意に沿わない人間は見限られる 現代の賢い若者は迫害よりも省く行為が主流だからな

お陰で役立たずのクズは警察に放り出して 組織は順調にまとまっている

大きな宗教団体なんてものはそうやって成り立っていくんだろうなぁ……

口の硬さは情報漏れを防ぎ 団結力は時として個の力を倍加させる

()()()()()()()()()()()()()()()()が手に入ろうとしてるんだぜ?」


「……それはワシぁ聞いとらん 興味もあらへん」


「……その上で岳斗 てめぇは何で俺達と敵対するんだ?

俺等の邪魔して四季園の上の連中からは必罰だろ?」


「そこは蕾ちゃんの待遇次第やな? ……お前等が誘拐したんとちゃうんか?」


「それはそっちの本家とこっちの本家が話をつけた筈だ?

四季園蕾に関して 四ノ海は無関係だとな?」


「ほんまかどうか…… ちゃんと統制されているかも怪しくてしゃぁないのに……

はいほうですかって割り切れるもんでもないやろ?」


「巷で噂のグラスフロックか? ありゃぁ俺達も追ってんだ……

自分の縄張りで しかも個人で好き勝手されちゃぁ迷惑この上ないもんで

最悪のケースはそいつが自由奔放に警察を踊らせた末…… 流れ弾で俺らに飛び火することだ」


「そないなこと言われても証拠が無ければとても信用出来ひんわなぁ……」


「じゃぁどうする? 俺とも殴り合うか? まぁ相手すんのはこいつだけどな?」


安久谷の背後からは泉太郎が出て来た


「任せたぞ泉太郎? 功績を残し続ければ晴れてお前は〝継承権〟を得られるんだ」


「分かってる 任せろ」


誘拐リストの孤児を全員乗せ終えようとするあと一歩の段階だが中断

奴等はトラックで逃げる行為に移行していた


「悪いが岳斗…… ここは見逃してくれ……」


「デュヒヒ!! そないなことしたら推しカプに嫌われるやないのぉ~~!!」


岳斗は拾った廃材を安久谷目掛けて投げつけた

しかし泉太郎のデカい手によって片手で止められる


「四ノ海額蔵には〝十三人の落胤ストック〟がいると聞いておったがぁ……」


「そんなにいるんだな…… ライバルが……」


泉太郎の豪腕を岳斗は紙一重で回避する

時間が経てば寝ていた兵達も起き上がって援護に加わり始めた

そして安久谷はというと 既にトラックの運転席に乗って出発しようとしている


「早く出してしまえ…… 地域住民の目撃証言が多数出ちまったら終わりだぞぉ?」


「はい!!」


「おい!! 袴田には安斎と寝てない教師二人の始末させとけよぉ?!」


大きな車輪は動き出して車体が進み始めたタイミング

体育館の二階通路にて 窓を割って安斎が飛び乗った


「行かせるかよぉ!!!!」


フロントガラスを用務室のハンマーでヒビを入れ 視界を遮断する

そのハンマーを取りに行ってくれていたのは日下部だった


「安斎テメェ……!! いい加減にしろやぁ!!!!」


中西は混乱に乗じてトラックの中へ しかし安久谷の部下の袴田が立ちはだかる

岳斗も泉太郎と共に体育館の外へと吹き飛び その跡を兵隊達が追いかけてくる

結果体育館は寝ている者達だけになり チンピラの一人が体育館の扉を閉めた


「よしお前らぁ?! ここにいる四人を殺せばあとはスムーズに完遂できる!!

ユザブルの正義を今ここで見せてやれぇ?!」


「何が正義だ…… ただの犯罪集団だろうが!!」


安斎・岳斗・日下部は三角に背中を合わせ 素手で構えを取る


「どうします安斎先生? 遠くで中西先生も頑張ってるようですがこの人数は……」


「やるしかねぇ…… じゃなきゃ事件の全容はまた闇の中だ……」



「デュヒヒ!! さすがワシの推しやのぉ~~!!」



フロントガラスを叩き割っている安久谷は殺意が籠もる号令を掛けた


「ぶち殺せぇ!!!!」


「「「「「 おぉぉぉぉぉぉぉ!!!! 」」」」」


全方位から迫り来る獰猛な敵軍に対して身体が張り詰める三人



「…………」



囲う敵陣の外側にいた一人のチンピラはふと後ろを振り向く

そこには覆面を纏った人影が 悠長と歩いて来るではないか


「……誰だお前?!」


「あぁどうした?! ……誰か近付いてくるぞ?!」


二人が覆面に気付き迎撃に入るが それは一瞬

彼女の手に持っていないのは以前の木刀ではなく真剣

胴体を斬られたり刺されたり その飛沫が飛んで周囲も彼女を認知する


「さっ…… 殺人鬼だぁ!!」


覆面女性は集団の縫い目を掻い潜り

何人か殺すついでで安斎達のもとへ颯爽と辿り着く

安斎と覆面女性は不意に目が合った


「……河上?」


「…………」


緊迫した状態にて 小声で彼はそう呟く



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