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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター4 窮途之哭
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第44話 不確かだった灯台下の証拠品


6月3日


安斎が入院し 身動き取れない為

ここからは柴塚の単独調査へと移行した


ーー四季園蕾ちゃんの誘拐事件から始まり

事態がドンドン複雑化している…… 所長の復活まで少しでも進展出来れば……


一人で暁風楽校に赴くのは今回が初めてとなる柴塚

職員に顔を出せば休憩していた女性教員が話し掛けてくれた


「どうもトアル探偵事務所の柴塚です」


「桐島です 今日はどういった用件で?」


「引き続き寺田さんの身辺調査です ……今日は楽長先生もいないんですね?」


「えぇ他校の先生方との集まりがあるらしいのでそちらに……

新しい用務員の方にプレートを貰ったのなら自由に校内を歩いて大丈夫です」


「ありがとうございます」


「では私も次の授業の準備をしますのでこれで……」


桐島も出て行って職員室は無人になった

廊下を出て行くフリをする柴塚はそのまま楽長室へ侵入


「何も無かったらただの犯罪者だなぁ私……」


楽長が座っている椅子を引いて 右から順番に引き出しを開けていく

室内に似合った書類の量だが これといって怪しい物は見当たらない


ーー出資して貰ってる所が本当に多方面なのね……

経営は常に火の車って言ってたらしいけど……

初期の頃から資金を供給してくれているエンジェル投資家も少なくない……


金の流れが記帳されているリストを眺めていると 最近見知った名前が出て来た


「……四ノ海銀行? 資金を融通しているだけかしら?」


中身を元に戻して次にダイヤル式の金庫に注目する柴塚

探偵七つ道具の一つであるハリセン ではなく聴診器を取り出して扉を開放してみせた


「番号は0607と……」


メモを残すのは元通りにしておく為

中を拝見するとファイルが一冊だけ置かれていた


「……信じたくなっかたなぁ」


ファイルの中身は期日や納品というワードが書かれた生徒の名前リスト

しかも次の納品日は今週末に行われる暁風楽校のお泊まり会の日だった


「だから金庫の暗証番号もその日にちだったのね……」


名簿に書かれている人名はおそらく孤児

芽神咲彩を初めとする 暁風寮に住む数名の生徒がそこに書かれていた

柴塚はファイルを元の位置に戻し 再び施錠


ーー写真に残した…… やっぱりこの楽校と四ノ海は何かしら関係がある




何食わぬ顔で楽長室を後にする柴塚の次の目的は河上だった

教員や生徒に聞いて回ると 理科準備室に居るとのこと


「河上さん……」


「あれ柴塚さんじゃないですか…… 安斎先生の様子はどうですか?」


理科室の端にある扉を開けば 沢山の教材がある中に河上はいた

今日は顕微鏡の移動や使ったビーカーを洗浄する当番だったらしい


「今週中に退院出来るかどうかかな…… 可能なら暫くは安静にして貰いたいんですけど」


「柴塚さんに心配されて 安斎先生は果報者ですね」


「……そういえば最近心配しかしてなかったなぁ

口喧嘩が減るのは良くない 所長を調子付けるだけだわ」


「それで私に用ですか……?」


「……河上さんって もしかして東海林妖?」


柴塚の思い切った発言に対しての 河上の反応は不思議と冷静だった


「何故…… そう思われるんです?」


「シェルドホクインホールに地元民制作の映画があってね

そこに河上さんに似た女性が出演していたの 年齢的にお母さんかしら?」


「メシシシシッ……!! それだけで私が妖怪だと言うんです?」


「……そうね でも昨日の貴女を見たとき 背筋が凍ったのよ

6月1日の夜中に事務所を襲った覆面の女性の声が河上さんと同じなのよ」


「柴塚さんは二階にいたじゃないですか……

道路で話してる人の声なんて正確に…… あっ……」


「……あの時の状況をよく知ってるんだね?」


理科準備室に流れる沈黙 数々の機材が置かれているにも関わらず物音一つしない

そんなことよりも柴塚が驚いたのは およそ殺し屋と踏んでいた河上のうっかりミスだ


「まさか河上さんにあんな動きが出来るなんてね……」


「……黙っていてくれますか?」


「プロファイリングを一緒にしたよね?

犯人像を浮かべる上で河上さんは東海林妖の名を挙げた…… どうして?」


「話せません……」


河上はその場から立ち去ろうとしたとき


「それも誘導なの?!」


「…………」


理科室の扉に手を付ける河上は静止した

そしてこちらに向けられる表情は 事態が切迫していると教えてくれたような物だった


ーー……一体何が起ころうとしているの?


ここで得られる物は得られた柴塚は

北陰市の病院にて安斎に全てを報告する


「東海林妖とはいかずとも 河上には何かあったか……」


「話せないの一点張りで逃げられましたが 彼女は週末に何かが起こると分かってる顔でした」


「あぁ実際に楽長室のファイルが決め手だな 何かが起こる予感がして興奮してる」


「病室では安静にしていて下さ……」


「ん?」


「いや…… 最近の私は所長に優しいなぁと思って気持ち悪くなっただけです」


「俺は今のお前も嫌いじゃねぇぜ?」


「期日まで元に戻ってみせますのでそのつもりで…… 恐らく疲れてるからですね!!」


「どっちにしろその日に全力出さなきゃならねぇなら 三日間はちゃんと休んでおけ!!」


「えぇそうします この事件の尻尾をそろそろ掴まないと!!」


全ては週末の6月7日 そこで何かが行われる

お泊まり会というイベントとは程遠い 不穏な何かが



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