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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター9 邂逅 
136/153

第115話 報国


「バランタインとその周辺の国々……

何処までデッドスプライトに関わっているかは分かっていないが

政府の見解ではこの国で生成・保有してるものと断定している」


エレベーターを降りた二人はオフィス前で立ち止まる

他の観光客が行き来する中 白樺は妻良にある極秘情報を流した


「心苦しいが我々はここバランタイン公国を敵視する事と見なした

偶然か必然か芽神咲彩は事実この国に戻っている

なので生物兵器が元鞘に収めったことを踏まえて〝殺し屋〟を送り込む決断に至ったのだ」


「こ…… 殺し屋…… 日本にも存在するんですね……」


「正確には私の妻が所持している懐刀だ」


「倫子夫人がですか?」


玄関前には車を待機させてある


「残念だが国自身に戦争の意思が確認出来なければ 軍を動かす大義も無い

顔で笑って足で踏み合うとは上手い例えだ 先に仕掛けた方が戦犯などまるで子供の喧嘩だな世界は」


「……殺し屋のターゲットは芽神咲彩だけですか?」


「バランタインは表向きは非武装永世中立国を宣言している

防衛手段は隣のスイスに委託しているそうなんだ

生物兵器は先程のイヴールも黙秘していたが

話題の研究所が民間なのか政府系なのかはっきりしていない」


「秘密警察とかもいそうですがね……」


「国家警察はいるが秘密警察は認知していない…… 秘密にしているだけかも知れんがな」


車に乗る白樺は妻良に そして後ろに控える来迎と甘城に別れを告げる


「妻良君を無事にライヒ教会に送るように」


「「 はい!! 」」


「妻良君」



「はっ…… はい!!」



白樺は指で合図して妻良を顔だけ車内へ


「女木島を覚えているか?」


「えぇ…… 私の…… 元の教祖です」


「この国は彼だ…… 私達がこの国に君という前衛基地を置いたのは

君が悪人の悪行を近場で体験しているからであってね

……日本の為に戦ってくれるか?」


「っ…… はい!!」


「フフ…… よろしく頼むよ」


ドアは閉まり発車する 三人は走り去る車に深く頭を下げた

頭を上げる来迎は妻良の肩を叩くと


「ビシッとしてたな妻良さん 元囚人とは思えなかった」


「ハハッ…… ハァハァ恐縮です……」


安堵の溜息 だが次の瞬間


「キャァァァァァァ!!!!」


悲鳴が聞こえたと思えば妻良達の元に熱を感じる爆風が届く

目の前の白樺が乗る車が 形も見えず炎に包まれていたではないか


「……白樺さん!!」


「先生ぇ!!!!」


来迎が形振り構わず爆炎の中に飛び込む

少し遅れて甘城も駆け出して行き 妻良はその場に座り込んでしまう


「ハァハァ……」


妻良はタワーの上を見上げる しかし太陽が反射して何も見えやしない

だが彼は視線を一定の箇所から逸れることはなかった




ラウンジムタワー 展望室


グラスを片手に窓を見下ろすイヴールの姿が

注がれるワインは先程の白樺達の為に出された物だった

それを愉悦と憎悪に満ちた気持ちで味を楽しむ


「毒など入ってはいない…… 慎重過ぎるんだよ黄色い猿共は……」


そんな彼に一通の電話が入る


「あぁもしもし…… えぇ邪魔者は爆破されてました そちらはガップリンでどうでした?」


『興味深い戦力を手に入れましたよぉ…… 人肉を食せばその食材の記憶は受け継がれるのか?!

勿論〝特殊戦闘員候補〟なのは重々承知しておりますので 簡単な研究に協力して貰ってるところです』


「それはそれは楽しそうで何よりです 仕事は楽しまなければやっていけない」


『後は人生の構築ですぞぉ?! して…… 予定に変更は無いのですな?』


「勿論です…… 一ヶ月後のカーニバルに全てを排除します

しかし隣国の教訓がこうも活きるとは思いませんでしたよ

〝現代の戦争は武力によらず、密かに国家の内部崩壊を目論むものである〟」


『そちらも用意着々ですなぁ♪』


「それでは失礼するよグリーフリー博士

今は滅多に見れない景色とワインの味を嗜んでる最中なのでね」


通話を一方的に切るなり イヴールは爆破現場に唇を湿らせながら眺めていた


ーーこれで上辺の付き合いだった厄介の種は詰み 残るは四季園と四ノ海か……

日本が本格的に武力行使の大義を得る前に行動に移さなければ

白樺の死に対してなんらかの反応を見せて 返答を求めてくれるだろうが

沈黙を続ければ一ヶ月は容易に引き延ばせる

その間に双方の財団を血祭りにして晒せば 後はどうとでも捏造可能

13年前の災厄を招いたテロ集団は未だ足跡を見せない この怒りはそのまま出身国のイメージとなる


ワインを飲み干したイヴールは二階下へと戻り

デスクの引き出しを開けて一枚の写真を取り出す


ーー〝弱竹真澄なよたけますみ〟 忌まわしいテロのリーダー

こいつらが余計なことをしなければ研究はもっと続く筈だったが……

だがお陰で現状 自国民の一部は日本へ向けられた怨嗟を蔓延させている


続いて引き出しに積まれているコピー用紙も取り出した


〝 台湾有事の際 中国と協力し 必ず台湾を中国の一部に吸収することお約束して下さい

そして同時に日本への挟撃という我が国の本懐を実現されること深くお祈りしております

つきましては件より申し上げていた死の妖精デッドスプライトの完成品を格安で輸出すること

改めて誓いを立てさせて頂きます 〟


舐める様に見るその紙をフリスビーの如く投げるイヴールは

自室にある国旗に注目し そして意識せず漏れ出る感覚で言葉を吐く



「さぁ滅べ日本」



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