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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター9 邂逅 
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第106話 レンタル可能な国


8月22日 安斎達が滞在しているライヒ教会


一拍させて貰った彼等は 教会内部の身廊脇に並ぶ長椅子に座っていた

特に祈るわけでもなく ただ何から始めるかのあくまで作戦会議中である


「しかし継続中の四季園蕾の二千万に足していきなり二億かぁ……」


「その内容は機内で聞いてたけどよぉ…… まだ生きてんのかその依頼?」


「立証するとなれば岳斗が俺に引っ付いてることだな

アイツはまだ自分の姪を死に物狂いで捜してる

それにいくら時間が経とうと 一度受けた依頼をこっちから放棄すんのは探偵業の信用に関わる

人に嫌われるってくらいの気概で挑んでる探偵が てめぇの都合で取りやめたらカッコ悪いだろ?」


「まぁそうだな……」


「探偵の仕事は基本的に長期戦なんだ 現実は三十分か一時間で解決するアニメとは違うんだよ」


「……勉強になるぜ」


「しかし死人を捜すにしてもなぁ……」


「久留美のサーチ能力はアテにならねぇのか?」


「アイツだってこっちではアウェイなんだ ……それに安易に頼ると後がうぜぇ」


椅子の背に凭れて天井を仰ぐ安斎の顔を のっそり覗いてくる人物がいた


「やっぱりあの時のお二人!!」


「……ビアンカさん? どうしてここに?」


「月に数回は来るんですよここ…… それに昔から変わらない景色なのでこの町は」


両手を握って祈りを済ますビアンカは暫く安斎達と雑談へ


「安斎さん達はこの国が〝レンタル出来る国〟というのはご存知で?」


「何ですかそれ? 国を貸し出すんですか?」


「えぇ2011年に生まれたサービスなんです

最初にラウンジムタワーに呼ばれてワインを頂けます

日本円で一晩700万円ですから35000フランですね」


「富裕層向けだな……」


「標識を変えられたり 自己発注の紙幣が使えたり

スキー場を貸し切りにだって可能ですし

ツアー用の古城でパーティーや路上パレードなんかも出来ますね」


「思い切ったマーケティングだな…… アンタらに不満は無いのか?」


「まぁ今までそのサービスを利用した人がいないので

過去に結婚式に使われましたが破談になったくらいでして……」


「ありゃりゃ……」


「ですが近年このサービスの使われ方が思いも寄らなくて……」


「……?」


両手をモジモジさせながら少し申し訳ない表情を見せるビアンカ


「リトルジャポニスム…… あそこはちょっと前までシャーアンという名前の……

私が昔から育った故郷の場所なんです」


「そういうことか……」


「日本の文化は魅力的なんですがね……

それにバランタインは空港も鉄道も無い国だったんですよ……

ヨス空港や安斎さん達も見た どこまでも続く長い壁があるトリーザダンも

全てはあの四季園と四ノ海が期限不明のレンタルが成立してから造り替えていったんです」



「……故郷の景色を塗り替えられちまったんだな」



安斎もフレバーも気まずく感じてしまうバランタインの実態


「四季園一派が大金集めていたのもこれが目的でもあったのか……」


「なぁ安斎 四ノ海が拠点にしてる場所って確か……」


()()()()()エリアだ 偶然かどうかだが

しかし近付けねぇんだよなぁ……」



「では私はそろそろ帰りますね……!

モヤついた今回の件に関しては 善良な日本人と会話することで気が晴れました」



頭を下げて去るビアンカ

残った安斎はレンタル可能なバランタインについて考えている


「何でこの国の元首はこんなに自由にさせてるんだろうなぁ?」


「まぁエンタメサービスの穴を突かれたんだろう?

あちらさんは二つの財団が何をしようとしてるのか掴めてないんじゃないか?」


「外交のプロがか?

戦時中に揉まれに揉まれて生き残ったこの小国がそんな簡単に平和ボケするとは思えねぇ」


事が大きくなればなるほど情報不足を痛感する二人に 慌ててビアンカが戻って来て


「ハァハァ…… そういえばお渡しするの忘れてました……!!」


彼女が二人に手渡したのは国特有の異質なお面だ


「一ヶ月後に歴史あるお祭りが開かれるので是非!」


「仮面舞踏会とかですか?」


「素性を隠して色んな人と交流する形ですね 犯罪の少ない我が国だからこそのお祭です!!」


再びお辞儀をして去って行くビアンカ


「そんな平和な国で殺し合いバトロワの舞台にしたり

最悪のケースで戦場にしようとしてるのかあのクソ財団共は……」


「あぁ近場の国出身として許せねぇぜ……」


取り敢えず足を使って 麗水海斗の僅かな足跡を掴もうと行動に出る安斎達は外へ

するとその後を必死に追って来たのは 妻良の仲間である革友会の女性だった


「待って下さい……!!」


「アンタは?」


更木保依身ざらきほいみです 実は先程情報が入りまして……

四ノ海の落胤の一人がここより西の【ガップリン】に向かったと報告が上がりました」


「……まぁ今は雑多に情報を仕入れる段階だな 態々ありがとうございます」


「それがそのガップリンって場所なんですが…… 今は()()()()()()()なんです」


「ほぉ…… まぁゴーストタウンだからってゴーストは出ないしな?!」



ーー安斎はホラー苦手だったのか…… 今度不意にホラー映画流して抱きつかせようかな……

いや逆に俺が抱き付くってのも有りか……



急に動揺し始める安斎とは裏腹に画策に入るフレバー

行ってみるしかないと 教会を後にしようとする二人を妻良が呼び止めた


「安斎君」


「何でしょう?」


「〝黄禍論者おうかろんじゃ〟には呉々も気を付けて下さい」



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