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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター7 波に揺られる島
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第88話 癒やしをありがとう飛翔島


厨房で朝食を作る大将にはいつもの覇気は無かった

残り一組の宿泊客達にはその負のオーラを見せまいと 安斎と美祢葉は笑顔を維持する

身支度を整えたお客達と旅館の前で別れの挨拶を交わす


「今年もお料理美味しかったわぁ…… お父さんと仲良くね美祢葉ちゃん!!」


「はい!! また来年もいらして下さい!!」


深くお辞儀をしてお客達を見送る 遠くの海には連絡船が見えていた

二階では三人がイビキを掻いて寝ていて 大将は風呂掃除をしている

ようやく肩の力を抜いた美祢葉 その顔は引き締まりからはほど遠い緩んだ表情


「まったく…… ペテちゃんにトイレ掃除任せておいて何で自分でやってるんだか……」


「まぁ…… 申し訳ないとは思ってます」


「……ねぇペテちゃん 買い物行こうよ」


「えっ? でも大将からはもう……」


「私達の分の買い出しだよ 自分達も食べなきゃ」


「あっ…… そうですね では買ってきます」


「一緒に行こうよ」


買い物籠を持って近くのスーパーへ

良い野菜を選びながらも会話が出来るくらいに安斎はスキルアップしていた


「お父ちゃんの言ったことは気にしなくていいからね?」


「大丈夫です…… けどたまに発作を起こしてるって……?」


「もう慣れっこだから…… 別に死にやしないし!!」


「……俺にもやることがあるからだけど 旅館をほっぽり出すのも気が引けるんです」


「柴塚さんから聞いたよ 探偵だってね? かっこいい!!

……尚更こんな小さい島なんかに居ても意味無いでしょ?」


「そうなんですけどねぇ」


「島を何周したって証拠なんか落ちてないんだから」


荷物を運んで上げる安斎 そのまま旅館に帰ろうとしたとき

今まで自分から切り出せなかったことを美祢葉に聞く


「なぁ美祢葉さん……」


「何でしょう?」


「俺の()()() 誰が払ってくれたんだ?」


「あっ……」


「ボロボロで体内に銃弾も埋まってた筈だ なのに気が付いた時は包帯姿だった」


「月一で本土のお医者さんが来てくれててさ たまたま治療出来る人で良かったよねぇ!!」


「……誰が 払ってくれたんだ?」


「……大将だよ」


「ハァ…… そうかぁ……」


「賽の河原からペテちゃんを拾って来て 医者を呼んで 介抱して

……なのに何も言わなかったね 私も余計な事は言うなって釘刺されちゃった」


「大恩人だな…… それなのに大将の頼みを聞いてやれないなんて……」


「私は願ってません…… ペテちゃんはタイプじゃないし…… 結婚するなら同い年かなぁ……

それにお父ちゃんは治療代を引き合いに出さなかったでしょ? そういう人なんだよ」


「…………」


旅館に帰ると柴塚達は起きていた

さっそく昼食に取り掛かるも 大将に厨房から追い出される安斎

大人しく席に座っていれば なんと安斎の分まで客用に出すご馳走が


退職クビ祝いだってペテちゃん」


「……十分です 頂きます!!」



「俺は何も言ってねぇ!!!!」



厨房からは大声 四人は手を合わせて飯にがっつく

島の幸を堪能して安斎は本日をもって ゴザッテ旅館をクビになった




午後の定期船を待っていた安斎は 改めて見送りに付き添った美祢葉にお礼を言う


「本当にお世話になりました」


「またバイトしたくなったらお盆においでよ」


「……どうでなるのかねぇ でもここの気候は安定してて悪くなかったなぁ」


「でしょ? 住み易さは県内ナンバー1だと思うなぁ!!」


「……あっ 船が到着した」


四人は慌てずに乗り込む

去り際はあっさりと 今回はエンジントラブルも無く出航する

手を振る安斎達に振り返す美祢葉は 最後まで旅館の女将らしい立ち振る舞いだった


すると遠くから大将が慌ててやって来る


「おい!! もうペテは行っちまったか?!!!」


「あそこに船見えるでしょ どうしたのお父ちゃん?」


「あの野郎…… 金置いて行きやがった……」


「えっ……」


「ハァ…… しかも大金だ 治療費の倍を置いて行きやがった……」


「せっかく給料の代わりに飯を奢ったのにねぇ……」


「クソぉ…… 最後はかっこよくご馳走したつもりだったのによぉ……」


「……ペテちゃんも お父ちゃんに似て筋の通った人だったね」


「お前…… やっぱりペテ公のこと……」


「アハハハハ!! 無い無いそれは無いってぇ……」


「…………」


「アハハハハ…… ハァ…… ぁ~~あ……」




一方で安斎達は未練がましく後ろを振り返ることは無かった

波に揺られ 船の行く先にはボンヤリと本土の姿が見えている


「ありがとな岳斗」


「何がやねん?」


「まさかと思ってたが 大金貸してくれてよ」


「あぁえぇねんえぇねん!! 仁義貫く安斎ちゃんの手助け出来てワシも気持ち良いねん!!」


「いつかちゃんと返すわ」


「返さんでえぇわ 代わりに柴塚ちゃんと結婚せぃ!!」


「……そんなこと言ってる場合じゃねぇだろ

蕾ちゃんを助けて 安久谷を捕まえて 芽神にも会わなきゃならねぇ

泉太郎や建守も忘れちゃいけねぇなぁ…… あと妻夫木と日野達も助ける

ついでに財閥が何か良からぬことしてたら…… ついでで妨害してやる 腹癒せになっ!!」



「やることはまだまだ山積みです でも選択の余地は無いですよね?」



安斎と柴塚の決意は改めて示され

次なる舞台はバランタイン公国 いよいよ海外にまで手を伸ばす



「全部片付けてやるよ 探偵として膿一つ残らずにな……!!!!」



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