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ミスタートイトロッコ  作者: 滝翔
チャプター7 波に揺られる島
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第86話 時は進んでいる


「バランタイン公国……」


記憶が戻った安斎には聞き覚えがある国だった


「以前芽神が口にしていた…… そこに四季園と四ノ海が全員向かってるだと?」


「まだ全員やないでぇ ワシがここにおるし」


「いよいよ動き出すってことか岳斗?」


「せやろなぁ…… なんたってあの奈美恵のババアは一早く出国したくらいやぁ

目的も未だ分からんのに 跡目をチラつかされれば何処だろうと飛びつく根性は称賛やでぇ」


奥から大将がやってくる ピリついた空気を物ともしない彼は安斎を叱る


「まだ宿泊中の客もいるんだ 風呂掃除が終わったんならこっち手伝えペテ公!!」


「あっ…… はい!!!!」


何故か記憶を取り戻しても扱き使われる安斎を見て

三人は顔を合わせて首を傾げていた

夕食はいつも通り豪勢に柴塚達をもてなす

しかし安斎は客として扱われず 賄いだった


そして宿泊客が風呂を頂いた後に岳斗達も風呂場へ

しかしここでは安斎に自由がもたらされ 男二人湯船に浸かっている


「今日も一日ご苦労様やでぇ安斎ちゃん!!」


「なんか馴れちまったなぁ…… 大将の命令が身体に染み付いてしまった……」


「言いなりの安斎ちゃんも萌えやでぇ~~」


「……ん? 俺達四人で風呂場に来たよな? フレバーはどうした?」


「アイツはオカマさんやから女湯に行ったで~~ 美祢葉ちゃんの許可も貰ぉとるで~~」


「ハァ?!!!」


男湯と女湯を合わせて大衆銭湯の広さ

元々混浴だったらしく 近年に入って壁一つ隔てたらしい

なので壁に描かれている赤富士も真っ二つ

そんな反対側の女湯では柴塚とフレバーが談笑していた


「それで記憶を失った安斎の奴はこう…… 小動物でなぁ 可愛かったぜぇ~~♡」


「見てみたかったなぁ……!! 誰にでも敬語の所長

多分そのときに何お願いしても言う事聞いてくれたんだろうなぁ~~」


「俺が安斎の彼女だって刷り込みたかったんだが…… 見事にフラれちまったぁ……」


「所長はノーマルですからねぇ でもあの人はそれ以前に鈍感ですから……」


「何々ぃ? 久留美も安斎を狙ってるのか?」


「違いますって…… 違いますよぉ……」


「……安斎と久留美は出会ってどれくらいだ?」


「えぇ~~…… 高校出てすぐだからもう5年くらいですかねぇ……」


「……そろそろ自分に正直になる頃じゃないのか?」


「何ですか急にフレバーさん……?」


「何時までもこのままなわけないだろ? このままで良いわけないだろ?」


「うっ……」


「久留美が思っているほど今の安斎は危険だぜ?」


「それってどういう?」


「……美祢葉よ」


フレバーは一足先に上がってシャワーのホースに手を付けた


「この先の展開によっては…… 安斎賢也は離脱する」


「ハハ…… 所長が今追ってる事件を放棄するなんて……」


「俺の女の勘がそう告げている 安斎も鈍感だが 久留美も十分に鈍感……

精々悔いの残らないようにしなさい どっちも何時までも子供ではいられないんだから」


「…………」


顔を湯に沈める柴塚は フレバーに言われた事が頭から離れなかった




風呂から上げれば 逆上せ気味の柴塚は食堂へと戻る

そこに映る光景 牛乳を飲んでいる安斎と美祢葉が楽しそうに会話

心がモヤッとする柴塚は 安斎と同じく牛乳を買って二階へと登っていった

それを遠くからやれやれと首を横に振るフレバーと 別方向から不安に思いながら見守る岳斗


「柴塚ちゃん……」


見守る選択を取っている岳斗は口出しはしない

そんな彼は気持ちを切り替えて安斎に近付く


「安斎ちゃん ちょぉええか?」


「何だよ?」


「この後ワシらの部屋で大事な話がある ここ一ヶ月の空白を埋めるんや」


「……分かった」




別の宿泊客や美祢葉達が床に就いた頃

一室に集まる安斎達四人はお酒抜きの話に入っていた

スナック菓子を雪崩の如く口に運ぶフレバーから前提に入る


「俺がいても良いのか?」


「どうせこの後も安斎ちゃんに付きまとうんやろ? 仲間になるつもりなら話したる」


「……なりたいのは仲間じゃなくて夫婦なんだがなぁ」


「本題が始まらん……!!!! それにちょっと真面目な話やから気を付けてくれや」


「了解した」


「……フゥ」


岳斗と柴塚は気まずいオーラを放っていた

事情を知らない安斎とフレバーは頭に?マークを浮かべている


「……松原刑事が亡くなったの」


「……はっ?」


「数週間前…… ですよね岳斗さん?

県庁がある市内で突然後ろから銃で撃たれたらしいわ」


「おいちょっと待てよ…… 松原ってあの松原さんだよな?」



「これでもワシら我慢しとったんやでぇ……? 安斎ちゃんの体調が快復してから話そうってなぁ」



掴んでいるペットボトルを倒し 頭の整理が追いつかない安斎


「……犯人は分かったのか?」


「明確な人物はまだ…… ただ驚かないで下さいね?」


「んっ……?」


「事件とは無関係なんだけど 別のニュースで目撃されてたの……」


「何だよ…… どういうことだ?」


「同じ市内の別の場所で〝日本猿〟が発見されたんだって

すぐに姿を消したらしんですけど…… 私達は無視出来ませんよね?」


「藤吉…… まさか松原さんを殺したのは河上香里奈か?」


「私も岳斗さんもそう睨んでます」


下を向く安斎 その深い溜息はキレが悪い


「簡単に人が死んでいくな……」


「河上さんの外見は特徴的なので市内で聞き込みをしてみましたが

有益な情報は得られませんでした……

時雨山には行ってません 今会うのはちょっと怖くて……」


「あぁ…… 別に責めはしねぇよ 俺も近付こうとは思わねぇ」



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