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6日目
「塚崎蒼さん、2番診察室へお入り下さい」
白い壁に囲まれた閉鎖的な空間に響く、女性の透き通った声。
何故か俺は、病院へと連れられていた。
陽太には留守番を頼んである。朝、母に、午後から病院行くから着替えておいてね、と言われたからな。
だが謎だった。来る必要なんて見当たらなかった。どこも悪いところなんて無い。けれど母に聞くと、悪いところがあるから病院で診てもらいましょう、と言った。この前もそんな理由で、連れて来られていた。
一緒に着いてきた母に、目で背中を押されて1人で診察室へと向かう。
短い距離だが、ふと周りを見回した。皆、元気が無い。まぁ病院だからそれは当然か。
俺は無表情で診察室に入る。
――そこから、記憶が途切れ途切れとなった。
清潔感のある眩しい白衣を身に纏った、真っ直ぐな瞳の青年が、俺にいろいろ聞いてきた気がする。
「君の年齢は?」
「好きな人はいる?」
「1番思い出に残ってることは、具体的に何?」
病院を出てから、いくら思い返しても、どうでも良さそうな質問しか、思い出せなかった。
ただ最後の言葉だけ、覚えている。
「そっちの世界にいくのは、絶対にいけないからね」
意味までは、分からなかった。




