スカイタワーへ急げ!
お料理教室のあったビルから外へ出ると、辺りはすっかり夜になっていた。
この位置からも見えるスカイタワーのイルミネーション。
『花音はあそこに囚われている』
確かな根拠はなかったが、蓮達はそこへ向かわざるおえなかった。
「くしゅん……さすがに寒いですわ。この格好では……」
――そうだった。綾香ちゃんは裸にエプロンのままだった――
「ごめん、今妄想するから……」
綾香は光に包まれ、エプロンが溶けだしOL風になった。
「どうかな? 眼鏡もつけてみたけど……」
「いい感じですわ。眼鏡っ子に、憧れていましたの」
「お兄ちゃん、ズルいよぉ。綾香お姉ちゃんばっかり~。舞にも、何かやって~」
舞は子供のように、蓮に抱きつきながら、せがんだ。
『仕方ないな』と思いながらも、満更ではない蓮は、舞にも妄想を向けた。
――ん~どうせなら、双子の姉妹揃って眼鏡女子の方がいいもんな~。眼鏡が似合うと言ったら……よし、決めた――
舞も綾香と同じく、光に包まれるとサンタクロースの衣装が溶けだした。
そして、新たになった姿はタイトスカートに白いブラウス。
そして、最後に黒斑の眼鏡。
「え~何これ。普通じゃない?」
「舞、その普通っぽさがいいんだよ。その格好は、家庭教師だ!」
「お兄ちゃんてば、マニアック~。でも、この黒い網の荒いストッキングが学生にはたまらないエロさがあるかもね」
「舞、わかってるな~。よしよし」
蓮は、自分の性癖が理解され堪らなく舞が愛しくなり、頭を撫で撫でした。
「ズルいですわ。私も撫で撫でして下さいよ、お兄様~」
「よ~し、わかった。二人まとめてドンと来い」
蓮は左右に、舞と綾香を置き意気揚々としていた。
◇◇◇◇◇◇
一方その頃、スカイタワーの展望回廊……。
「ここを新しい拠点にして正解だったな。景色が最高だ……なぁ、花音」
「いい加減離してよ」
「離してと言って、離す奴がいるか? お前はここで、このジルに殺されるのだ。フハハハッ」
反撃しようと、思えば反撃出来る花音ではあったが、蓮のいない今、妄想力が弱まっていた為、力を温存することを選んでいた。
「お兄様……助けて」
◇◇◇◇◇◇
蓮達はようやくスカイタワーの真下にやって来ていた。
きらびやかなイルミネーション。
この世界に争いがあるとは思えないくらい、時は流れていた。
「ここに、花音が……」
ここに辿り着くまで、遠回りはしてきたが、今や力強い味方が二人もいる。
蓮は湧き出る妄想を膨らませ、その扉を叩いた。
スカイタワー内は今やジャックナイフの根城と化し、戦闘員がところ狭しと襲ってくる。
「舞が相手よ、いくらでもかかってきなさい」
「私も負けていられませんわ。突破します」
のしかかる戦闘員は、舞と綾香の前になすすべなく、道は開けていった。
展望回廊へ辿り着く頃には、誰も襲いかかる者はいない。
「来やがったな、蓮!」
「お兄様――っ!」
そこには、鎖に繋がれ少し疲れた表情の花音と、花音を拐ったジルの姿があった。
「ジル! 花音を離せ!」
「イヤだと言ったら?」
「お前を倒す!」
「ほう、このジル様を? 甘くみられたものだな。あっちの世界では、力を出し切れなかったが、こちらの世界では、そうはいかんぞ! 死ね!」
ジルは両刃の剣を構えると、蓮達に襲いかかってきた。
――頼むぞ、俺の妄想力――
舞と綾香は、蓮の前に立ち眼鏡を直しながら構えた。




