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前世で食べ損ねたラーメンを求めて ~追放された俺は『ラーメンWalker』で異世界を無双する~  作者: マトンさん


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第七話 粉が目当てのひどい男

「……私じゃなくて粉が目当てだったんですね」


 シオはじとっとした目で俺を見上げた。

 さっきまで真っ赤だった顔が今はふくれっ面だ。

 尻尾もしょんぼりと垂れている。


「いや違うんだ。いや違わないんだけど、君のことを大事に思ってるのは本当で――」

「……ひどい」

「ごめんなさい!」

 俺は深々と頭を下げた。


 数秒の気まずい沈黙のあとシオは小さく溜め息をついた。

「……でも助けてくれたのは本当ですし、重曹をそんなに欲しがってくれる人も初めてだから」

 彼女は麻袋をぎゅっと抱きしめた。


「重曹ってそんなにいいものなんですか?お掃除くらいしか使い道がないんですよ?」

「ああ最高だ。これがあれば俺は世界で一番おいしいものを作れる」

「世界で一番……」


 シオの喉がごくりと鳴った。

 お腹もきゅるるとまた鳴る。


「そのおいしいものって……わたしも食べられるんですか?」

「もちろんだよ。ラーメンっていうんだ。君にもご馳走する」

「ら、ラーメン……?」


 聞いたこともない言葉をシオは不思議そうに繰り返した。

 けれどその金色の瞳には確かな期待の光が灯っていた。


「あの、私も一緒に行っていいですか?重曹が売れないと村にも帰れないし行く当てもなくて……」

「もちろん!俺からもお願いしたいくらいだ」

「ほ、ほんとですか!?」


 シオの尻尾が再びぶんぶんと揺れた。

 こうして追放された貴族の息子と腹ペコの犬獣人の少女の奇妙な二人旅が始まった。

 目指すは街道の先の最初の街、ミヤンの街だ。


 街までは歩いて二日。

 その道中俺の「ラーメンマップ」は大活躍だった。


 視界の端に浮かぶ薄い光の地図。そこに星のマークがあちこちに瞬いている。


「ああそこ。★★の草が生えてる」

「くさ……ですか?」

 シオが俺の指さす先を不思議そうに見つめた。


 道端の茂みに細長い緑の葉が群生している。

 近づいてみると頭上に表示が浮かんだ。

『ラーメン適性:シロネギリ草(薬味向き)★★』


 引き抜くと根元がわずかに白い。かじってみればつんとした辛みとほのかな甘み。

「ネギだ……!ネギっぽい!」


「え?それ雑草ですよ。雑草なんて誰も食べませんよ?」

「食べるんだよ!ラーメンには絶対必要なんだ!」

 俺はシロネギリ草を片っ端から引き抜いてラーメンボックスに放り込んだ。

 他にもいろいろ見つかった。

 香りの強い根っこ『ニンニの根(★★)』。

 柑橘のような香りの葉『ユーズの葉(★★)』。

 ぴりっと舌を刺す小さな実『コショの実(★★)』。

 どれもこの世界では誰も見向きもしない雑草だ。

 けれどラーメンマップにはすべてが宝の山として映っていた。


「歩けば歩くほど材料が見つかるんだ。……これがWalkerか」

「うぉーかー?」

「こっちの話」

 シオはきょとんとしたままぱたぱたと俺の後ろをついてくる。


 ちなみに、街へ向かう途中屋敷から持ち出した固いパンを半分こにして食べた。

 それでも、シオのお腹はずっと鳴りっぱなしだった。

お読みいただきありがとうございます!!

シオとラメルの二人旅が始まり道中ではラーメンの材料も続々発見!

この先、どんな一杯が生まれるのでしょうか。

ちなみに、ミヤンの街の元ネタは『桃の看板』であのファミレスです。

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