第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第37話 裏側
第37話です。
これまで見えていた出来事の裏側に、
さらに大きな構造があることが明らかになっていきます。
物語も一気に広がっていく回になっていますので、
ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです。
拠点。
⸻
偵察開始から、
二十四時間が経過していた。
⸻
アルゴ
「偵察ユニット 回収完了」
⸻
小型機が戻る。
⸻
静かに停止する。
⸻
修一
「よし……全部あるな」
⸻
アルゴ
「映像・音声データ 解析開始」
⸻
空中に情報が展開される。
⸻
セリナ
「……何が分かりますか」
⸻
修一
「順に見せてくれ」
⸻
⸻
映像が流れる。
⸻
競売。
⸻
必死な人々。
⸻
だが。
⸻
アルゴ
「追加情報 検出」
⸻
⸻
別の映像。
⸻
薄暗い路地。
⸻
金貸し。
⸻
「返済期限は一ヶ月だ」
⸻
「払えなければ、分かってるな?」
⸻
セリナ
「……借金……」
⸻
修一
「カプセルのため、か……」
⸻
アルゴ
「資金調達手段として機能している可能性」
⸻
⸻
映像が切り替わる。
⸻
男が連れて行かれる。
⸻
ルーヴェンハイムの結界の外へ。
⸻
セリナ
「……外に……?」
⸻
カイゼル
「一体どこに……」
⸻
修一はすぐに言う。
⸻
「アルゴ、追えるか?」
⸻
アルゴ
「可能」
⸻
⸻
「偵察ユニット 再投入」
⸻
⸻
小型機が飛び出す。
⸻
⸻
空へ。
⸻
⸻
対象を追う。
⸻
⸻
北へ。
⸻
⸻
しばらく進む。
⸻
⸻
やがて、
森が見えてくる。
⸻
⸻
深い森。
⸻
⸻
視界が遮られる。
⸻
⸻
その中へ、
入っていく。
⸻
⸻
セリナ
「……こんな場所に……?」
⸻
⸻
しばらく進む。
⸻
⸻
そして――
⸻
⸻
開ける。
⸻
⸻
巨大なコロシアム。
⸻
⸻
森に囲まれ、
隠すように存在していた。
⸻
⸻
カイゼル
「……あれは……」
⸻
⸻
セリナ
「……嘘でしょ……」
⸻
⸻
アルゴ
「結界反応なし」
⸻
⸻
修一
「外でやってるってことか……」
⸻
⸻
アルゴ
「映像取得 開始」
⸻
⸻
リアルタイム映像。
⸻
⸻
歓声。
⸻
⸻
中央で戦う人影。
⸻
⸻
魔物。
⸻
⸻
人。
⸻
⸻
そして。
⸻
⸻
人と人。
⸻
⸻
セリナ
「……戦わせてる……」
⸻
⸻
カイゼル
「……こんな……」
⸻
⸻
アルゴ
「違法賭博の可能性あり」
⸻
⸻
「金銭の大規模移動が行われている可能性」
⸻
⸻
修一は目を細める。
⸻
⸻
「……なるほどな」
⸻
⸻
「借金させて」
⸻
⸻
「払えなきゃここに送る」
⸻
⸻
少し間。
⸻
⸻
「で、また金にする……か」
⸻
⸻
アルゴ
「運営主体 特定中」
⸻
⸻
偵察機が内部へ入る。
⸻
⸻
通路。
⸻
⸻
控室。
⸻
⸻
そして――
⸻
⸻
一人の男。
⸻
⸻
アルゴ
「対象:上級魔道士」
⸻
⸻
ノクスがわずかに反応する。
⸻
⸻
「……グラディウス」
⸻
⸻
カイゼル
「知っているんですか?」
⸻
⸻
ノクス
「ルーヴェンハイムの側近だ」
⸻
⸻
短く。
⸻
⸻
修一
「やっぱり繋がってるな……」
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
少し考える。
⸻
⸻
そして。
⸻
⸻
修一が口を開く。
⸻
⸻
「……ここ、使えるな」
⸻
⸻
セリナ
「え……?」
⸻
⸻
修一
「人、かなり集まってるし」
⸻
⸻
「こういう場所って、広まるのも早いだろ」
⸻
⸻
カイゼル
「……何をするんですか……?」
⸻
⸻
修一
「証拠を流す」
⸻
⸻
少し間。
⸻
⸻
「一気に、全部」
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
セリナ
「……ここで……?」
⸻
⸻
修一
「ああ」
⸻
⸻
「一番効く場所だ」
⸻
⸻
アルゴ
「拡散効果 高」
⸻
⸻
ノクスは黙っている。
⸻
⸻
だが、
止めない。
⸻
⸻
修一は続ける。
⸻
⸻
「それと……」
⸻
⸻
少し考える。
⸻
⸻
セリナを見る。
⸻
⸻
「この近くに、地下……作れるか?」
⸻
⸻
セリナはすぐにうなずく。
⸻
⸻
「できます」
⸻
⸻
「時間は少しかかりますが」
⸻
⸻
修一
「頼む」
⸻
⸻
「医療の拠点にする」
⸻
⸻
セリナの表情が変わる。
⸻
⸻
「……はい」
⸻
⸻
修一はさらに考える。
⸻
⸻
「ただ……一箇所じゃまずいな」
⸻
⸻
「見つかったら終わりだし」
⸻
⸻
カイゼル
「……じゃあ……」
⸻
⸻
修一
「いくつか作る」
⸻
⸻
「場所は変える」
⸻
⸻
「日ごとに移動する感じで」
⸻
⸻
セリナ
「……なるほど……」
⸻
⸻
アルゴ
「医療AI 稼働可能」
⸻
⸻
修一
「問題は……」
⸻
⸻
少し間。
⸻
⸻
「回す人手か……」
⸻
⸻
沈黙。
⸻
⸻
すぐには出ない。
⸻
⸻
修一は小さく息を吐く。
⸻
⸻
「……まあ、それも考えるか」
⸻
⸻
短く。
⸻
⸻
すべてが繋がる。
⸻
⸻
証拠。
⸻
⸻
暴露。
⸻
⸻
医療。
⸻
⸻
そして。
⸻
⸻
崩壊。
⸻
⸻
修一は静かに言う。
⸻
⸻
「準備、整ってきたな」
⸻
⸻
一拍。
⸻
⸻
「始めるぞ」
⸻
⸻
その言葉で、
流れが変わる。
読んでいただきありがとうございます!
今回は競売だけでなく、
その裏で動いているもう一つの仕組みが見えてきました。
借金、連行、そしてコロシアム――
すべてが繋がり、一つの流れとして機能していることが分かってきたと思います。
また、証拠を流す場所としてコロシアムを使うという作戦や、
地下に医療拠点を作るという具体的な動きも見えてきました。
ここからはいよいよ実行段階に入っていきます。
面白いと思っていただけたら、
ブックマークや評価をしていただけると励みになります!




