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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第6章 新生国家ジャポン編

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第6章 新生国家ジャポン編 第15話「黒砂の牙の痕跡」

第6章 第15話です。


今回は戦闘よりも、“追跡”と“情報戦”が中心になります。


黒砂の牙。

転移魔法。

消える奴隷たち。


少しずつ、サウスガルドの裏側の仕組みが見え始めます。

砂影の地下都市。


湿った石の匂いと、低い話し声が広がる部屋で、修一たちは円卓を囲んでいた。


中央にはサウスガルドの地図。


赤い印がいくつも描かれている。


修一は静かに口を開いた。


「アルディオンは、しばらく動けないはずだ」


オリオンが視線を向ける。


修一は続けた。


「研究塔にあった、一番大きなエーテルコア」


「あれはもう戻らない」


クロウが腕を組む。


「あの二重異空間の奥か」


「ああ」


修一は頷いた。


「あの規模のエーテルコアは、数十年単位で作るものだろ」


アルゴの目が淡く光る。


『推定生成期間、数十年以上』


『短期間での再生成は困難と判断』


修一は続けた。


「予定は大きく狂ったはずだ」


「しかも今表に出れば、研究塔も契約魔法も全部バレる」


オリオンも小さく頷く。


「今は潜るしかないってわけか」


「たぶんな」


完全に安全とは言えない。


だが時間はできた。


修一は息を吐いた。


「だから今のうちにやれることをやる」


「ノルの妹を探したい」


部屋の空気が少し変わる。


オリオンが地図へ目を落とした。


「グランウエストから来た小さい女の子、だったな」


「ああ」


修一は頷く。


「奴隷の流れでもいい」


「何かわからないか?」


オリオンは腕を組む。


「黒砂の牙が絡んでる可能性は高い」


クロウも低く言う。


「あいつらは昔から奴隷を扱ってる」


エルメディアが眉をひそめた。


「ですが、組織の規模が大きすぎるのでは?」


オリオンが苦い顔をする。


「そこが厄介なんだ」


壁の地図を指差す。


赤い印。


その数はかなり多い。


「黒砂の牙のアジトは無数にある」


「しかも最近、流れ方がおかしい」


修一が聞き返す。


「おかしい?」


「普通の奴隷商なら追跡できる」


オリオンは続けた。


「港、馬車、商隊」


「どこかで痕跡が残る」


だが、と低く言う。


「最近は途中で消える」


クロウが目を細めた。


「転移か」


「ああ」


オリオンは頷く。


「かなり高位の転移魔法を使ってる」


「だから追跡が難しい」


修一は考え込む。


転移魔法。


座標。


番号。


その時だった。


「……待て」


全員が修一を見る。


修一はアルゴを見る。


「転移の痕跡って完全に消えるのか?」


オリオンが眉をひそめた。


「何?」


「空間の歪みだよ」


「本当に痕跡ゼロになるのか?」


アルゴの目が淡く光る。


『可能性があります』


オリオンが怪訝そうな顔になる。


「なんだそれ」


修一は続けた。


「転移魔法陣には番号を振れる」


「なら座標にも“癖”みたいなものが残るはずだ」


アルゴが答える。


『転移時、微弱な空間歪曲波が発生』


『通常は自然消滅』


『ただし高感度解析で追跡可能と思われます』


オリオンが固まる。


「……そんな追跡方法、聞いたことねぇぞ」


クロウが笑った。


「俺も初耳だ」


修一は立ち上がる。


「試したい」


オリオンは少し考え、地図の一点を指した。


「たんぽぽ村の近くに、黒砂の牙の小アジトがある」


「最近、妙に出入りが多い」


クロウが低く言う。


「転移魔法陣がある可能性か」


「ああ」


オリオンは頷いた。


「だが潜入になる」


エルメディアが口を開く。


「私も同行します」


だがオリオンは首を振った。


「いや、あんたは待機だ」


エルメディアの目が細くなる。


「なぜです?」


「魔力が強すぎる」


オリオンは真面目な顔で言った。


「隠しきれねぇ」


クロウも頷く。


「気配でバレるな」


エルメディアは少し考え、静かに息を吐いた。


「……わかりました」


潜入するのは四人。


修一。


アルゴ。


クロウ。


オリオン。


夜。


たんぽぽ村近くの荒野。


崩れかけた建物が見えてきた。


廃村だった。


灯りもない。


だが、人の気配はある。


クロウが低く言う。


「いるな」


オリオンが小さく頷く。


「ああ」


四人は静かに近づく。


崩れた家屋の奥。


地下へ続く階段があった。


修一は眉をひそめる。


「地下好きだな、こいつら」


オリオンが苦笑する。


「地上は目立つからな」


地下へ降りる。


そこはかなり荒れていた。


酒瓶。


武器。


血痕。


砂影の地下都市とは違う。


空気が汚い。


荒っぽい。


クロウが低く呟く。


「黒砂の牙らしい場所だ」


奥から怒鳴り声が聞こえる。


だが今は戦う必要はない。


修一たちは物陰を進む。


やがて。


部屋の中央に巨大な魔法陣が現れた。


修一の目が変わる。


「これか」


転移魔法陣。


かなり大きい。


アルゴが前へ出る。


『解析開始』


淡い光が魔法陣をなぞる。


空間が微かに揺れた。


オリオンが周囲を警戒する。


「急げよ」


アルゴの目が強く光る。


『転移残留波、確認』


修一が息を呑む。


「見えるのか?」


『はい』


空間に複数の光点が浮かぶ。


複雑に絡み合っていた。


オリオンが顔をしかめる。


「多すぎる……」


密輸。


奴隷。


武器。


様々な転移が混ざっている。


だが、その中で。


一つだけ異様な反応があった。


『座標パターン異常』


『子供の転移頻度、高』


修一の表情が変わる。


「これだ」


アルゴが地図を表示する。


座標は移動していた。


一定ではない。


クロウが低く言う。


「移動式か」


オリオンの顔が険しくなる。


「……黒砂の牙の移動市場だ」


修一が聞き返す。


「市場?」


「奴隷、禁制品、魔物」


「全部扱う裏市場だ」


オリオンは地図を睨む。


「砂漠を移動し続ける」


「だから捕まらない」


修一は静かに言った。


「そこにノルの妹がいる可能性がある」


『可能性、高』


アルゴが答える。


その瞬間だった。


遠くから怒鳴り声が響く。


「誰だ!」


空気が変わる。


クロウが舌打ちした。


「バレたな」


オリオンが笑う。


「派手に逃げるぞ」


修一は地図を握る。


次の取引は三日後。


間に合えば。


まだ助けられる。

アルディオンはすぐには動けない。


だからこそ今、修一たちは別の問題へ動き出します。


今回の鍵は“転移魔法の痕跡”。

魔法を科学のように解析するというのは、まさに修一とアルゴだからこそできるやり方です。


そして黒砂の牙。


ただ暴力的なだけではなく、

かなり高度な技術と流通網を持っていることも見えてきました。


次はいよいよ移動市場。

ノルの妹へ繋がる手掛かりが見つかるのか。

物語はさらに動いていきます。

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