第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第2話 ヴァルディアへの道
第2話です。
ノースガルドの大地を進みながら、
この世界の構造やカイゼルの背景が少しずつ見えてきます。
大きな展開はありませんが、
物語の土台となる回になりますので、
ゆっくり読んでいただけたら嬉しいです。
港を離れ、
三人は街道を進んでいた。
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石畳の道。
整備された街路。
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修一は軽く周囲を見る。
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「で、どこに向かうんだ?」
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カイゼル
「ヴァルディアです」
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修一
「ヴァルディア?」
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カイゼル
「私が生まれ育った都市です」
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修一
「へえ」
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少し歩く。
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カイゼルは続ける。
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「賢者が治める中都市にあたります」
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修一
「この大陸って、どういう構造なんだ?」
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カイゼルは考えながら答える。
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「王都があります」
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「マスターが治める都市です」
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「その下に、大賢者が治める都市が三つ」
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「さらにその下に」
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「賢者が治める都市が十あります」
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修一
「ピラミッドみたいなもんだな」
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カイゼル
「はい」
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修一
「カイゼルは、その中の一つか」
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カイゼル
「……はい」
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少し間が空く。
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修一
「カイゼル、帰るのは気が重いか?」
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カイゼルは一瞬だけ止まる。
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「……いえ」
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だが、その声はわずかに揺れていた。
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少しして、カイゼルは言う。
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「会いたい人がいます」
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修一
「誰だ?」
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カイゼル
「兄です」
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修一
「仲いいのか?」
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カイゼルははっきりとうなずく。
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「はい」
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「一番、信頼しています」
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その言葉に迷いはない。
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「探索隊に入るきっかけも」
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「兄が与えてくれました」
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修一
「いい兄だな」
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カイゼルは、少しだけ柔らかく笑う。
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「……はい」
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だが、その表情は長くは続かない。
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「父とは……」
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言葉を止める。
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修一は、静かに待つ。
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「うまくいっていません」
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カイゼルは目を伏せる。
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「再婚してから」
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「家の空気が変わりました」
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修一
「そうか」
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それ以上は聞かない。
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少し間を置いて。
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カイゼルは続ける。
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「ですが」
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「妹とは仲が良いです」
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修一
「それは良かったな」
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カイゼル
「腹違いですが……」
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「大切な存在です」
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修一は軽くうなずく。
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「それなら、十分だ」
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カイゼルは少し驚いた表情になる。
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そして、小さくうなずく。
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「……はい」
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少し沈黙。
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修一
「じゃあ今回は」
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「兄に会いに行く旅だな」
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カイゼルは、まっすぐにうなずく。
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「はい」
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その目には、迷いがなかった。
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アルゴ
「目的地 ヴァルディア」
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「到達まで約二日」
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修一
「結構あるな」
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カイゼル
「途中に町があります」
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修一
「じゃあ、そこで一度休もう」
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カイゼル
「はい」
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歩き出す。
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ノースガルドの大地。
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その先にあるのは――
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過去と、
そしてこれから。
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読んでいただきありがとうございます!
ノースガルドの階層構造とともに、
カイゼルの過去や人となりも少しずつ描いていきました。
これから先、彼女の立場や選択が物語に大きく関わっていきます。
次回は途中の町に立ち寄る予定です。
そこでこの世界の現実がさらに見えてきますので、
ぜひ続きも読んでいただけたら嬉しいです!
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