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冴えないおっさん、AIと異世界で国を作る〜魔法社会を科学でひっくり返す〜  作者: れいじ
第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ

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第2章 冴えないオッサン、魔法至上の世界へ 第3話 境界の外側

第3話です。


ヴァルディアへ向かう途中、

都市の外側の様子が描かれます。


これまでとは少し違う空気感を感じていただけたら嬉しいです。

街道を進み、三人は小さな街へと入った。


ヴァルディアの外側に広がる生活圏。


都市の外縁。


そこは確かに人が暮らしている場所だったが、港で見た整然とした光景とはまるで違っていた。


建物は古く、壁はひび割れ、補修も最低限。


道も石畳ではあるが歪みが多く、歩くたびに足元がわずかに揺れる。


人の数は多い。


だが、その表情はどこか疲れていた。


神谷修一はゆっくりと周囲を見渡す。


観察するように、一つ一つを確認していく。


「……さっきの港と、だいぶ違うな」


カイゼルが静かに答える。


「ここは都市の外縁です」


「誰でも出入りできます」


その言葉で、ある程度の構造は見えてくる。


中と外。


選ばれた者と、そうでない者。


その境界線。


そのときだった。


近くを通った子どもが、アルゴの前で足を止めた。


じっと見上げる。


好奇心そのままの目。


「……それ、何?」


アルゴは即座に答える。


「AIユニット アルゴ」


子どもは意味がわからず、首をかしげる。


「魔道具……?」


その言葉には、この世界なりの解釈があった。


母親らしき女性が慌てて手を引く。


「こら、失礼でしょ」


そのまま連れていく。


去り際に、小さくつぶやく。


「珍しいものね……」


修一はそれを見て、小さく笑う。


「まあ、そうなるよな」


カイゼルも頷く。


「見たことのないタイプです」


アルゴも同意する。


「同意」


さらに奥へ進む。


人の流れの中に、わずかな違和感が混ざる。


視線が自然と引き寄せられる。


鎖をつけられた人間。


複数。


重い鉄の輪。


足枷。


手枷。


そのまま連れていかれている。


修一の視線が止まる。


「……あれは」


カイゼルは、ほんのわずかに目を伏せる。


「奴隷です」


短い言葉。


説明はそれだけ。


だが、それで十分だった。


修一はしばらくその光景を見ていた。


否定もしない。


驚きもしない。


ただ、“理解するように”見る。


この世界のルール。


この世界の現実。


やがて、ゆっくりと視線を外した。


「……ちょっと座るか」


カイゼルは少し驚いたが、すぐにうなずく。


三人は近くの店に入った。


木の扉は歪み、押さないと開かない。


中は薄暗く、椅子もどこか不安定だった。


修一は椅子に腰を下ろしながら言う。


「……ちょっと不安だな、ここ」


カイゼルも同じことを感じていたらしい。


「……ですね」


だが、出された料理は違った。


素朴だが、しっかりと味がある。


修一は一口食べて言う。


「……うまいな、これ」


飾り気はない。


だが、しっかりとした食事だった。


カイゼルも少し驚いたようにうなずく。


アルゴが淡々と評価する。


「栄養状態 良好」


少しだけ空気が和らぐ。


食事を終え、水を口にする。


修一は本題に入る。


「で、このあとヴァルディアに入るのか?」


カイゼルの表情が引き締まる。


「はい」


そして続ける。


「ですが――」


一拍置く。


「結界があります」


修一は顎に手を当てる。


「結界、か」


カイゼルはうなずく。


「認められた者しか通れません」


「紋章による認証です」


修一は少しだけ興味を示す。


「どうやって判断してるんだ?」


「許可された者には、体に紋章が刻まれています」


「それが通行の証になります」


修一は理解したように息を吐く。


「……なるほどな」


単純だが強力な仕組み。


そして。


「修一は」


カイゼルははっきりと言う。


「そのままでは、通れません」


迷いのない断言。


修一は軽く息を吐く。


「……だよな」


予想通りだった。


少し沈黙が流れる。


カイゼルが小さく言う。


「……すみません」


修一は即座に返す。


「なんで謝るんだよ」


カイゼルは言葉に詰まる。


だが修一は静かに続ける。


「一緒に来てる時点で、もう関係あるだろ」


その言葉に、カイゼルは目を見開く。


責任ではない。


共有だ。


修一は椅子に寄りかかる。


「やり方はある」


カイゼルが顔を上げる。


「……え?」


修一は少しだけ笑う。


「カイゼルが先に入る」


「それで、お兄さんに会ってもらう」


「事情説明して、許可もらう」


シンプルな作戦。


だが現実的だ。


カイゼルはしばらく考える。


可能性を整理する。


リスクを測る。


そして、ゆっくりとうなずく。


「……それなら、可能です」


修一は立ち上がる。


「これが一番現実的だな」


三人は店を出る。


外の空気。


ざわつく街。


その奥にある都市。


修一は一度だけ振り返る。


さっき見た光景。


鎖をつけられた人々。


何も言わない。


だが、目は変わっていた。


ただの情報ではない。


“認識”として刻まれている。


そしてそれは――


いずれ、何かになる。


「行くか」


三人は歩き出す。


境界の内側へ向かって。

読んでいただきありがとうございます!


都市の外と内、その違いが少しずつ見えてきました。

そして、ヴァルディアへ入るための問題も出てきます。


ここから先は、よりこの世界の仕組みや現実に触れていく展開になります。


面白いと思っていただけたら、

ブックマークや評価をしていただけるととても励みになります!


ぜひ続きも読んでいただけたら嬉しいです!

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