4話 ゼリヤの村
「ゲラミ!」
「アッハッハ!やばい…腹が…痛い…俺スライムだから腹ないけど」
「隙あり!」
「ぐわぁぁ…ゼリヤの村は…もう…目の前だ…がくっ」
「ふむ,どうやら村はもうすぐそこのようだな」
「らしいな」
ようやくゼリヤの村に辿り着いた俺たちは,休養を取るために宿屋を探していた.
「ちょっと,やめてください!」
「おっとーあれは…テンプレの展開やもしれぬぞ?」
「何やら可愛い少女が困っているようだな.助けよう」
「んーでも…強そうだぞ?結構.まともに戦ったら…うん,100%負ける」
「それでも…助けに行かないと」
「流石勇者.俺も見習わないといけないな」
「あの少女は…可愛い!」
「ん?ん?もう一度言う,ん?俺の感動を返せ.おいどうした勇者?そんな動機でいいのか?」
「可愛いは正義!ならば,正義を貫くのが勇者」
「おいおいおい?カッコよく言ってるが…そんなにカッコよくもないぞよ?」
「うおりゃあ!」
俺は少女を取り囲んでいた男に斬りかかった.
しかし…
「何!?」
「ふん,旅の者か.その程度の力で俺らに刃向かうとはいい度胸だ」
「へっへっへ,兄貴.こいつボコボコにして身ぐるみ剥いじゃいましょうよ」
「それもそうだな.おいお前ら,やっちまえ」
「「「へい,兄貴!」」」
くそっ,この数では…
まともにやりあっても勝ち目がない.
「そこで気づかれないように回り込んだ俺だよ.喰らえ,ラリッター」
「この数を相手に…あれ,まっすぐ歩けない…なんだこれは?」
「一度で済ます俺ではない.ラリッターラリッターラリッター」
「うぅ,頭痛が…」
「しかも二軒目に行きたい…」
「酒が…酒が欲しい!!!」
「「「うおぉぉぉ!」」」
不良たちはどこかへ去っていった.
おそらく酒場を探して旅だったのだろう.
「…やったな,エリック」
「あぁ,まさかレベルアップしてラリッタが全体攻撃のラリッターに進化するとはな.だが…ハイフン一つで全体攻撃になるとは思いもしなかったがな」
「あの…」
おっと,俺としたことが,こんな可憐な少女を忘れていたとは.
「助けてくれてありがとうございます.私はリナ.この村で旅の仲間に置いてかれてしまって…そんな時に地元の不良に囲まれて困っていました」
「状況説明ありがとう.そうか,なら俺たちと共にこないか?」
「是非!お願いします!」
「うむ,仲間ができるとは心強いな.で,少女リナよ.お前のジョブはなんだ?」
「私は…町娘です」
町娘…俺の村人と同じようなものか.
「んー?町娘?いや,んー?それは…」
「どうかしたのか,エリック?」
「レオ,町娘というのは簡単に言えば…ただの人だ!」
「なんだと!つまり…ジョブだが意味のないジョブということか!」
「まぁ…そうだな.うん,まぁ色々効果は無きにしも非ずではあるが…旅をするには意味のないジョブだ」
「やはり…町娘ではダメでしょうか?」
「何を言っている.リナは可愛い.それだけで何もいらぬ」
「ありがとう…」
「んーこれは?惚れた?惚れた匂いがするぞ?やだーもぅ,いきなりラブコメとかやめてほしいんですけどーエリックさん困っちゃうー困りすぎて困っちゃうー」
「何を言っているんだ.リナはすごい能力の持ち主だぞ」
「え,そうなの?町娘だけど能力あるの?」
「リナがいるだけで…パーティの攻撃力が2倍になる!」
「なんと!それは本当か!?」
「…ような気がする」
「気がするんかーい.プラシーボかーい!それはなにか,チアリーダー的な?的な感じの効果ですかね?」
「まぁそうだな」
「やだーレオがどんどん変人に変わってる気がするー変人なだけに変わってるー」
「あ,でも,リナは料理ができます!」
おぉ,それは心強い.
料理ができる人がいると途端に生活水準が上がる.
「得意料理は?」
「えっと…お米を炊く…とか」
「おっと…急にダメな雰囲気になったぞ.レオ,いいのか?」
「ほ,他には?他には得意料理はないのか?」
「に,握り飯?」
「「…」」
「…はい,料理できると嘘をつきました」
「料理なんかどうでもいい!」
「おいおい,さっきまで生活水準がどうとか言ってただろうに」
「可愛いは正義,リナは可愛い.ならば,リナは正義!それ以外の何者でもない!」
「出たーよくわからない三段論法出たーまぁねーパーティが増えるのはいいことだけどーでもー戦闘にねー役に立たないのはねーちょっとねーんー」
「さぁ,共に行こう.リナがいれば,魔王なんて楽勝だ」
「はい!」
「返事はいいんだけどね,うん.相手魔王だよ?楽勝とか言ってられないよ?」
「エリック…何か文句があるのか?」
「…ない!よし,もう諦めた!行こう,次の村へ」
俺たちは次の村に向けて旅立…
「待ってください」
「ん?どうしたんだ?」
「その…お腹が空いたので…よかったらレストランに入りませんか?」
「レストラン?こんな村にあるのか?」
「そうか,ここはゼリヤの村.イチココと同じチェーン村だ!」
「ゼリヤ…チェーン…レストラン…まさか!あの緑の看板のドリンクバーがあるファミレス!」
「ここなら,何時間,いえ,1日いてもいいんです!飲み物を飲みながら,たまにデザートや軽食を頼んでいるだけでいい,快適空間です!しかも…24時間営業です!」
「このご時世,24時間営業とはやるではないか…ゼリヤの村,おそるべし!」
「ダメだ.そこに入ったら…出る頃には日が暮れる!」
「おっと,レオは行ったことがあるのか?」
「あぁ,俺もよく世話になっていた.しかし,今は次の村に向かうのが先決.今度見かけたら立ち寄ろう」
「うむ,そうだな.今は金も心許ない.今度食事をしに立ち寄るのが吉だ」
「そうですね.心惜しいですが…そうしましょう.あぁ,パフェが…リナのパフェが…」
こうして,後ろ髪を引かれながらも俺たちはとても心強い仲間を加えて次の村へ向かった.




