第70話 ただの勇者が最強の魔王を植物化した件
「いろいろと考えているようだが無駄だ。この世界で魔王ナスクにしか許されぬ力を見せてやろう。」
俺の持つ魔力量には程遠いが膨大な魔力が練り上げられていく。同化させるための植物、俺は同化草と名付けたが、同化草はその力の代償に見た目が自然に同調できないものだ。だが、あれなら・・・
「何を企んでいるのかは知らんが、これを生身の人間が喰らって食らって無傷でいられると思うなよ?」
「そう思うのなら撃ってみろよ。今の俺を一撃で殺せるものならな。」
生身のといったな。おそらく、以前不意打ちで撃ってきた魔法と同等なはずだ。あの時俺を殺せるのならそうしたかったはずだ。ならば不意打ちで最高威力の魔法を使うのは必然だ。こいつがあの時から強くなっていないことが条件にはなるが、俺の成長幅のほうが大きいはずだ。
「そこまで言うのなら喰らうがいい。魔王魔術 極閃光」
「神盾」
やはり以前使ったものと同じのようだ。これを喰らうと目をつぶっていようと光の強さに視界を奪われるがそれも魔法の効果が終わるまで目の周りを植物で完全に覆うことでカバーする。
確かに重いが、以前喰らった時ほど致命的には感じない
「どこに隠し持っていたかは知らんが、盾だけで防ぎきるとはな。」
「確かにあんたは化け物だ。でもな、神様に力をもらい、お前と出会ってからというもの成長を続けてきた俺はもっと化け物だってことを教えてやるよ。」
あいつが魔法を使う前に忍ばせていたものの回収が完了した。
「なんだ、その草は?」
「解析草、その性質まで教えてやるつもりはないがな。」
解析草を飲み込む。そして・・・
「魔王魔術 極閃光」
ナスクの使うものよりもより高威力で放たれる極閃光だ。本人もこれを喰らうのは初めてのことだろう。
「魔物を頭上に召喚し続けることで直撃を回避したか。だが、しばらくは目が見えないだろう?」
「その程度で貴様が勝てると思っているのなら大間違いだがな。」
「英雄剣術 剣鬼の罪剣」
これもさっき極閃光を解析した解析草と一緒にしれっと食べていたブレクルスの英雄剣術を解析した解析草から得た技だ。俺にはまだあれを真に習得できないらしい。
だが、これはブラフ。あくまでも目的は同化草のとりつきだ。同化草にとりつかれているかどうかなんて触覚や魔力反応で分かるものではない。だが、俺が怪しい動きをすればそこから何かされたと察知される危険はある。だからこそ視界を奪った今はチャンスというわけだ。
「貴様の剣など魔力探知だけで十分に察知できる。」
「チッ、腐っても魔王か。」
「この程度で殺せるとでも思っていたのか?そんなお前を見たら、死んだお仲間はさぞ悲しむだろうな。」
「お前と出会ってから俺が何を思って生きてきたか知っているか?」
「死んだ仲間のための俺への復讐とかそんなところだろ?」
「残念だが俺はそんなことを気にすることなんてほとんどなかったさ。」
「何を言い出すかと思えば・・・」
「俺はさ、植物を愛していたんだ。植物の研究さえできればどんな環境だって生きていけると思っていた。だが、神様に勇者という使命を与えられ、植物を自在に操る力まで得た。そんな俺に力を貸してくれて、ついてきてくれる仲間もいた。」
「俺は貴様の自分語りを聞きに来たのではないのだが?」
「あぁ。わかっている。」
いつの間にか魔王の視界も元に戻っているようだ。
「同化草、とりついた対象と強制的に同化する俺が作り出した植物。」
「それが何だ?」
「気が付いていないのか?お前の体、もう植物だぞ?」




