第69話 ただの領主が最強の魔王と邂逅した件
さて、ナスク以外は一通り片が付いたな。ナスクもほかの魔王が倒されるまでは前線に出てくるつもりはなかったようだしな。残りが魔王リベルドだけとなればこっちから攻め込めば戦闘には持ち込めるだろう。
というわけで次元門でナスクの軍勢の本陣に移動した。
「勇者か。」
「久しいな、魔王ナスク。」
「てっきり不意打ちでも仕掛けてくるかと楽しみにしていたのだが・・・」
「そんなことをするまでもないというこった。どうせ状況はわかってるんだろ?」
「具体的には知らない。リベルドとアラ、リン以外の魔王の反応が消滅したことは確認したがね。」
「その通りだ。ドーラはアラが、トールは俺の仲間が結界にて拘束している。魔王リンを含む人類の戦力の大半はリベルドに、アラはドーラとの戦いで疲弊していたから休ませている。つまり、残りはお前だけというわけだ。」
「俺のことをよくわかっているようだ。よかろう。貴様の挑戦を受けてやる。」
「どこまで行っても上からだな。」
「当然だろう?格下を相手にするのだからな。」
魔王ディアブロは吸収したものの、支配下に置くことが出来なさそうだったからすでにエネルギーに変換した。ここから俺が手駒として出すことが出来るのはせいぜい究極の樹人くらいだ。それに対してナスクは無尽蔵に召喚できるだろう。まぁ、意味がないことくらいわかっているだろうが、使い方次第でどんなモンスターでも脅威になりうる。
「心配せずとも手駒を呼び出したりなんて狡いことはしない。正面から貴様を叩き潰してやろう。」
「多少力の差はあるんだ。俺はどれだけ狡い手を使おうと勝たせてもらおう。」
「もちろんだ。人間という矮小な種族がどれだけの力があろうと俺に敵うことがないと知らしめてやる。」
こいつに対する俺の最もシンプルな勝機はこいつをスキル対象に取ることだ。俺のスキルは実力差に応じてスキルの効果の適応範囲が変わる。吸収するなんて高度なことは自分が格上でなければ不可能だ。だが、一部の状態変化くらいなら簡単に行うことが出来る。植物からすれば状態変化がされようと重要な部位さえ残っていれば再生できるものが多い。ただ、生物ともなるとそうはいかない。例えば腕がちぎれてしまえば魔族だろうと再生にはかなりの魔力を消費する。
そして俺は事前にとりついた対象と強制的に同化する植物を作り出していた。この植物は魔力を吸って成長し、本人も知らぬうちに同化してしまう。表面上の変化はないが、細胞の組成がすべて植物に置き換わる。生命維持の器官などは生物の構造だが、細胞が植物である以上それは植物型のモンスターと何ら変わりはない。
問題はこれを気づかれないように取り付ける手段、だな。




