第66話 ただの虎人族がアンデッドの魔王と正面から戦った件
「この結界の主、というわけではないみたいだね。」
「思ってたよりも貧弱な軍勢だったね。」
「これだけ高精度の結界を用意しておいてよく言うわ。それで、あんた何者?勇者ではないみたいだけど。あーしは魔王トール。まぁ、名乗らなくても知ってるんだろうけど」
「虎人族のヒナツ。これでいい?」
「名前を聞きたいわけじゃないんだけど。なんで勇者じゃないやつが来てるのかって聞いてんの。」
「アランと戦いたかったんだ。残念ながら私の愛しの旦那様は王都でナスクと戦ってるよ。」
「へぇ。どうやってうちらの攻める場所を知ったのか知らないけどあのナスクに勝てるのかな?」
「さぁね。攻めてくる場所に関しては仮に知らなくてもここに来るのは私だっただろうけど。」
「勇者は転移できるみたいだし、それの応用ってとこかな?まぁ、いいや。愛しのってことはあんた勇者の恋人か何か?」
「戸籍上は妻ってことになるかな?」
「あっそ。じゃああんたの首を持って勇者に届けてあげる。どんな表情するだろうね。」
一気に雰囲気が変わった。雷の力を扱うって話だったから魔法結界は体に張り巡らせてるし、リア様から頂いた力とこの数日の鍛錬で神聖魔法の力はこれまで以上に増しているはず。
「来ないの?てっきり結界で有利だからって攻めてくると思ってたんだけど・・・」
「結界で自分を守って結界の影響受けてないでしょ?そうでもないとそんなに余裕は生まれないはず。」
「確かにこの結界の精度はすごいけど、そこまでじゃないんじゃない?アラっちがいるから知ってるだろうけど、あーしアンデッドな割に神聖魔法耐性はめちゃ高いから。」
「そっか。それじゃこれはどうかな?神雷」
リア様から頂いた力の一つ。リア様が使う雷を堕とす魔法と同威力の雷を発生させることが出来て、魔力消費もそこまで大きくない。これでダメージがあるなら攻めやすいんだけど・・・
「あのさ、雷の力を持つあーしに雷が効くと思ってんの?」
これはどっちかっていうと効いてないんじゃなくて無効化って感じっぽいかな?
「まぁ、この程度は小手調べだから。それに結界で身を覆ったままじゃ魔法の発動も大変でしょ?」
「魔王舐めんなし。その程度であんたみたいな雑魚に負けないっての。死雷」
「神盾」
危なかった。この魔王が使う雷のレベルだと私の魔法結界なんて簡単に壊されちゃいそうだね。神盾がなかったら貫通して死んでたかも。
「へぇ。それが噂の勇者の力ね。いいじゃん。その場にいなくてもこの雷を簡単に防いじゃうなんて。なら、これはどうかな?死雷」
同じ技?でも雷が来ない。
パリン
「この結界を壊すなんて。さすが魔王だね。」
「さてと、これであーしも全力で行けるってわけ。」
「それはどうだろ?究極の樹人!」
アランからもらった50体。一気に解き放って・・・
「「「「「「「対不死者結界展開」」」」」」」
「だから、何回やったって壊せるっての。死雷」
雷の轟音が鳴り響いてはいるけど、結界は微動だにしないね。
「な、なんで・・・あーしの雷が効かない?」
「この結界はさっきまでとは違ってさっきまでに比べると圧倒的に狭い範囲をさっきまでと同じ数のさらに質のいい術者が維持してるんだよ?壊せるわけないじゃん。」
それに分かったこともある。この結界はアンデッドの魔法の使用とスキルの使用も制限できるはず。もちろん浄化の効果もかかってるけど、それは効いてないとしてもこれだけの数の究極の樹人が事前に指示を出しておいたうえで使う結界の展開速度に勝っているとも思えないし、そもそも結界が見えない。さっきまでの結界が私に見えていた以上、多分・・・
「この程度で勝ったと思うなし。あんた程度・・・」
「あなたの雷って武器か何かで発生させてるでしょ?そう見せないようにしてるみたいだけど」
「はぁ?あーしの力だって言ってんじゃん。」
「じゃあなんで結界を解除したあんたがこのアンデッドがスキルと魔法を制限された結界の中でその力を使えてるの?」
「・・・・・」
「ただ1つ残念ながら私にはあなたにとどめを刺せるほどの力はないんだよね。だから戦争が終わるまでここで拘束してほかが片付き次第アランにとどめを刺してもらおうかな。先にあなたが浄化されちゃうかもだけど。」
そういいつつ私はすでに結界の外に脱出している。
「てめぇ、卑怯な・・・!」
「卑怯で結構だよ。」
「で、でも、こいつらの魔力が先に尽きるでしょ。」
「残念だけど、この子たちの魔力は常に創造主であるアランから供給され続けるからこの結界が解かれることはないよ。」
「そ、そんな・・・いや、でもナスクが勝てば・・・」
「勝てれば、ね。これだけのことを本人がかかわらずにできるほどの力を持つ私の旦那様に。」
「こちらヒナツ、魔王トール撃破!」
『よくやった。まだ戦えるならムムの救援に行ってくれ。』
「オッケー」
「それじゃ、究極の樹人たち、拘束お願いね。」




