第65話 元最弱魔王が本気の魔王と戦った件
体内に送り込んでた目に見えないくらい小さい蜘蛛たちの大爆発、もともと考えてたよりも少ないから多分・・・
「なるほど。微細な生物を体内に侵入させ爆発させるか。お前にしてはずいぶんと賢い立ち回りをするじゃねぇか。それにその双剣の構え。いいじゃねぇか。」
ダメージがないわけじゃなさそうだけど、致命傷には程遠いかな?あとは全力で正面からぶつかるしかないね。
「全力で行くよ!英雄双剣術 兜炎割」
ギィィィィン
うっ、硬い。腕でこれを止めるなんて・・・
「なかなかに重い一撃だが、その程度では俺に傷一つつけられんぞ。龍拳術 地割りの一突」
「神盾」
危なかった。神盾がなかったら死んでたかも。でもこれを持ってると双剣では戦えないんだよね。だからこっちも
「神蔦剣」
「素晴らしい硬さの盾だ。勇者のものだな?」
話すことすら無駄だと思えてくる。今のボクの全力をぶつけるんだ!
「真剣英雄流奥義 殺戮の剣鬼」
「いい闘気だ。来い!」
剣鬼の罪剣と殺戮連閃をもとにした今のボクにできる最大限。でも硬い・・・これじゃ倒しきれない。こうなったら・・・
「随分と力を出し尽くしたようだがこの程度か。」
「やっぱり龍なだけあって再生能力はすごいね。」
「あれほどの大技を撃っていまだ立っているとは賞賛に値する。だが、それまでだ。俺にはダメージが残っていないがお前はすでに満身創痍。終わりだ。」
「どうだろうね。」
どうにかして時間を稼がないと・・・
『こちらヒナツ、魔王トール撃破!』
「なに!?」
「まずはこっちの1勝みたいだね。」
『よくやった。まだ戦えるならムムの救援に行ってくれ。』
『オッケー!』
「だが、お前のもとに助けは来ないようだぞ?」
「いいよ。ボクはここから勝てるから。ご主人だってそれをわかっててひなっちゃんをムムに送ったんだろうし。」
「ここから俺に勝てる算段があるとでも?」
「厳密にいうともう勝ってるかな。」
「なにをいって・・・グハッ」
ドーラが唐突に吐血した。それと同時に周囲のドーラが使役するモンスターのうち召喚されていたのが消滅して、それ以外も統率が取れなくなってきた。
「何をしやがった・・・?」
「苦しいでしょ?ボクはこの世界を作った神様に蜘蛛を自在に召喚して操る能力をもらったんだよ。それを使ってさっきの大技のタイミングで目に見えない大きさの蜘蛛で傷口めがけて大量の毒を注入してたってワケ。魔王であるドーラは毒の耐性はそれなりにあるだろうけど、自分の体重とほぼ同じ量の毒を入れられたらどうなるかな?」
「そんな量をどうやって・・・」
「蜘蛛を操るだけじゃなくてその力を底上げする力ももらったんだー。だからその蜘蛛1匹が注入できる毒の量をその大きさよりも多くして一気に大量の毒を流し込んだんだよ。無効化できない体質ならこれはどうしようもないでしょ?」
まずいかも。剣鬼の罪剣だけでも結構きついのに無茶したからそろそろ限界かも。
「それじゃたっぷりと苦しんで死んでね。」
ご主人にもらった次元門でブレクルス王城のご主人の部屋に移動できたみたい。
「大丈夫ですか!?」
「うん。ちょっと休ませて。魔王ドーラは倒したよ。」
そこでボクの意識は途絶えた。
「こちらブレクルス王城救護班、アラさんが帰還、魔王ドーラ撃破とのことです!アラさんは満身創痍につきこちらで治療中です。」
時はさかのぼり、開戦直後、ヒナツ。
『こちらアラン、ブレクルスのもとに魔王ラン、リベルドの襲撃を受けているルットに魔王リンを援軍として送り出した。おそらく数分は反抗的な態度をとるだろうが、人間を傷つけることはないし少しすれば順応するはずだ。』
さすがアランだね。私も頑張らなくっちゃ。事前情報通りアンデッドの大群だね。神聖魔法の使い手を軍を取り囲めるくらいの範囲で等間隔で配置してるし、さっそく始めちゃおっか。
「対トール部隊、浄化領域の展開を開始してください。」
軍全体をアランたちとの連絡で使うのとは別の通信用次元門。これで全員が一斉に魔法を発動させて常に浄化の効果がかかる巨大な領域が形成されてるはず。さっそく攻め込もうかな。




