第64話 ただの領主が魔王を2人取り込んだ件
正午、各箇所の用意は万端だ。すでにそれぞれ控えている軍から見える場所まで魔王の軍勢は接近していた。それぞれ率いている魔王の使役するモンスターたちのようで、場所によってモンスターの種類に差が出ていた。
「いよいよ、だね。」
「あぁ。総員、危なくなったら即座に退避するように。連絡も密に取り合うことを心掛けてくれ。」
「分かっています。」
「俺も問題ない。」
「ボクも」
「私も大丈夫だよ。アランも無事に帰ってきてね。」
「あぁ。命懸けで戦う気はあっても捨てる気はない。それでは総員持ち場に。」
俺の号令でそれぞれが転移していく。ひとまず俺はブレコに転移、軍勢の元まで一気に接近する。軍勢の中で一番魔力が濃いのは一番奥か。次元門で一気に距離を詰める!
「わぉ!まさか勇者がここに来るなんてね。」
「もしかしてわたくしたちのことを舐めてますの?」
「舐めている舐めていないでいえば舐めている。というか効率重視のためにここに来た。すまないが一瞬で終わらせる。」
魔王ランと魔王リン。雰囲気はドライアドに近いが、明らかに邪なオーラを放っている。だが実力差は明白だ。一気に吸収する!
「なに・・・これ・・・!?」
「取り・・込まれる・・・」
耐久することなどできなかったようで、あっさりと吸収できた。そして俺のスキルで強化、俺の命令に従うよう書き換えて再顕現させる。
「なに・・・これ・・・?」
「おい、俺の仲間が魔王たちと戦っている。ランは魔王ディアブロと戦うブレクルスの応援に、リンは魔王リベルドと戦うブレクルス軍の応援に行け。決して人間を傷つけることなかれ。」
「そんな命令・・・」
「脳ではどう思っていようと肉体はそれを遂行するだろう。今からお前らを転送する。」
次元門を開き、それぞれを戦場に送り出す。今はまだ意識が魔王の状態で残っているが数分もすれば俺の魔力に染まって問題なく連携をとれるだろう。
「こちらアラン、ブレクルスのもとに魔王ラン、リベルドの襲撃を受けているルットに魔王リンを援軍として送り出した。おそらく数分は反抗的な態度をとるだろうが、人間を傷つけることはないし少しすれば順応するはずだ。」
「ブレクルス、了解した。」
「ミラン、了解しましたわ。」
これでランとリンの軍勢は片が付いた。急いで次元門で王都に戻る!
「遅かったな勇者アラン。」
「ナスク。さすがというべきか。」
ナスクは軍勢を率いることなく、単独で王都に控えていたこちらの軍をほぼ壊滅状態に追いやっていた。どれだけ多くの命が失われたかわからないが、その死を無意味なものにしないためにも俺は勝たなければならない!
『こちらアラン、ブレクルスのもとに魔王ラン、リベルドの襲撃を受けているルットに魔王リンを援軍として送り出した。おそらく数分は反抗的な態度をとるだろうが、人間を傷つけることはないし少しすれば順応するはずだ。』
さすがご主人速いね。ボクも早くドーラまでたどり着かないと。
「お前たち、一度下がれ。」
この声はドーラ?軍勢では無意味って判断したのかな?
「久しいな、アラ。」
「そうだね。」
「せっかくの機会だ。なぜ勇者に寝返ったのか聞かせてもらおうか。」
「そうだね。1つは死にたくなかったから。勇者との実力差は圧倒的だったし。もう1つはそのほうが面白そうだったから。」
「そうか。死ね。」
さすがドーラ、一撃が重いね。でもそのくらいなら・・・
「ほぅ。これに反応できるのか。以前のお前にこれに対処できるほどの力はなかったはずだ。勇者といることでお前も成長を遂げたというわけか。」
「まぁ、そういうことにしておいていいんじゃない?」
ボクの狙いは正面からの戦いじゃない。神様にもらったスキルでの不意打ちで倒したいから、そのための準備をしないとね。できるだけ話を長引かせないと
「だが、その程度だ。俺には届かない。」
「そうだね。ドーラに届くほどの力はないのかもしれないね。」
「ならばどうするつもりだ?」
「ないのかも、だからね。正面から行くよ!」
できる限り秘策に気づかれないように立ち回るしかないよね。
「面白い。かかってくるがいい!」
激しい戦いが始まったけど、そのおかげで秘策の準備は進んでる。あと数分かな。
「アラ、何をそんなにそわそわしている。まるで何かを待っているようだな。」
「どうだろうね。」
「お前が手に入れた力を見たかったのだがどうやら俺の期待しているものは見れないようだな。これで終わらせる。」
まずいね。大技が来る。まだ準備できてないけど、もうこうなったら・・・
「蜘蛛大爆発!!!」




