第62話 ただの領主が戦争準備を進める件
ブレクルスへの話や、次元門の設置など重要な部分の準備は終わった。ヒナツとアラは成長限界が無くなって以降、鍛錬に集中できる時間もそこまでなかったこともあり、少しは効果があるだろうということで鍛錬を積んでいる。
今日の予定は主要人物に通信用の次元門を渡し、その試運転をすることと、戦闘用の仕込みだ。とりあえず、次元門を渡しに行くか。
「アラン、お疲れさま。」
「ご主人!もう疲れたよー。ひなっちゃん厳しいんだもん」
「2人ともお疲れ様。差し入れと、これを渡しに来た。」
「わーい!差し入れって何?」
「ちょっとしたお菓子だ。」
「それよりもこれは?」
「これは次元門を応用して作った通信機だ。離れていても会話ができる。あとでちゃんと使えるか試すから持っててくれ。」
「うん。」
「はーい!」
「それじゃ、俺はまだやることがあるから戻るな。その通信機はボタンを押しながら話しかければ声が伝わるようになってるからな。」
ミラン女王にも同様に説明し、渡してきた。とりあえず試運転をしてみるか。
「こちらアラン。聞こえていたら応答してくれ。」
『聞こえてるよー』
『私も聞こえてるよ。』
『こちらミラン。聞こえています。』
「問題無いようで良かった。応答の際はミラン女王のように名を名乗ってから応答するようにしてくれ。」
『アラ、了解!』
『ヒナツ、了解だよ。』
「それじゃ、試運転は終了だ。各々していたことに戻ってくれ。」
通信機はうまくいったな。あとはそれぞれの脱出用のアイテムを用意しておかないとな。次元門を開くことが出来る神蔦とこれまで神盾に使用していた圧縮技術を応用しようか。
転送先はブレクルス王城の俺の自室に指定して、俺の自室に人1人が通れる大きさの各街につながる次元門を用意しておかないとな。
その場に次元門を開いて入るとなると間に合わないだろうし、虫や小動物を捕食する植物の性質を借りてきて、魔力を流されるとその魔力の持ち主を覆って自動的に転送するようにすれば・・・
「完成だな。」
一度試しに使ってみる。
魔力を込めるだけで起動できるようになっているはずだ。魔力のコントロールはいまだに苦手だが極力少量の魔力を込める。
次の瞬間には目の前の景色が変わっていた。ブレクルス王城の自室だ。問題なく作動したようだな。あとは、ここにそれぞれの次元門に通ずる次元門を展開すれば・・・
「唐突に戻るでないわ。」
「おっと、クルス。バレてたか?」
「バレたくないのならその魔力をどうにかするのだな。それで、これは何だ?」
「マジクルスの各戦場につながる次元門だ。ここに入るだけで戦場に行くことが出来る。もちろん向こうからくることはできない。」
「何のためのものなのだ?」
「クルスにも渡しておくか。これを持っててくれ。魔力を少しでも流せば自動的にこの部屋に転送してくれる。」
「またとんでもないものを開発しおったな。危険になればここに逃げ込み、戻るための立て直しをするなり休息をとるなりできるというわけであるな?」
「そういうことだ。負傷者が来る可能性もある。戦争当日に救護班やメイドをこの部屋に控えさせておくよう手配しておけ。俺の指示だ。誰が入ろうと許可はいらん。」
「手配しておこう。」
「それじゃ、まだすることあるから戻るとするよ。」
ブレクルスに見つかるというハプニングはあったものの戻ることはできた。
あとは何を仕込むべきか・・・
それぞれに渡す神盾は準備できているし、やはり何か新作を用意するべきか?
となると、それぞれの魔王に合わせた何かを用意しておくべきか。俺じゃなくても使えるようにするべきだがどうする?
まずブレクルスが相手する魔王ディアブロに対しては神聖属性関連のものを用意しておくべきだろう。究極の樹人だろうな。ざっと50体は用意しておくか。それ以上はブレクルスの指揮下に置くには数が多すぎる。指揮はできるだろうが、ブレクルス自身が動きづらくなるだろう。
次に魔王ドーラ。アラが相手をするが、近距離戦闘が得意とのことだ。アラの今の力ならおそらくは近い実力はあるはずだ。なら神蔦の鎧を作っておくか。軽量化を図り機動性も確保すればいいだろう。
次はヒナツが相手する魔王トールだな。こっちも究極の樹人を渡すが、ヒナツの力は魔法に依存したものだ。魔力が尽きればどうしようもなくなるだろう。その対策として魔力を回復できるようなポーションも作っておくか。魔力回復の効能がある薬草の性能を底上げすれば通常よりも高い効果を期待できる。
ミラン女王には純粋な戦力として究極の樹人を100体ほど仕入れておこう。究極の樹人それぞれ召喚時の魔力の持ち主を主人とし、その命令に従うようにしておく。
究極の樹人を召喚するのに必要な魔力は前払いだ。大半を俺が支払い、最後に少し足りていない分の魔力を込めることで最後に魔力を込めた人物を認識して主人を定めるはずだ。
そろそろ時間も遅いし、今日はこんなところだな。




