第36話 偽ペイジン参上!
お知らせ
86伝説エーペックスはしばらくお休みしてPE3をここから本格的に浮上させて進めます。
ご協力よろしくお願いします!!!
偽ペイジン「わははは!俺が来たからには安全だぞぉー!!」
偽ペイジンは大斧を肩へ担ぎ、吹雪の中で豪快に胸を張った。足元では砕けた氷柱が山のように積み重なり、背後の氷槍もまだこちらを狙っているというのに、本人だけは妙に自信満々だった。
ニィ「まぁじで誰だニィー!!??」
氷の檻の中から、ニィの絶叫が広場いっぱいへ響き渡る。
偽ペイジン「俺か?俺は通りすがりの狩人兼、臨時魔法少女だああ!!」
ニィ「職業が渋滞してるニィッ!!」
クリスタ「……安全?」
クリスタの赤い瞳が冷たく細まり、偽ペイジンの頭上へ巨大な氷塊が形成されていく。
偽ペイジン「そうだ!俺の背中に隠れてりゃ、傷一つつかねえぞぉー!!」
ニィ「その背中ごと潰されそうだニィッ!!」
ゴゴゴゴゴゴ……!!
偽ペイジンがようやく頭上を見上げると、広場を覆うほど巨大な氷の塊が今にも落下しようとしていた。
偽ペイジン「……お?」
クリスタ「まずは、お前が安全か確かめてあげる。」
偽ペイジン「わははは!!こいつはデカいなああ!!」
ニィ「笑ってる場合じゃないニィィィッ!!」
クリスタ「小癪なァ……ッ!!ならば、この氷の剣の斬撃はどうだァ!??」
クリスタの掌に冷気が集中し、鋭く透き通った氷の大剣へと姿を変える。
しゅうううう……ッ!
次の瞬間、青白い斬撃が一直線に広場を切り裂いた。
カチン……ッ!!!!!
斬撃の軌跡に沿って地面も空気も凍結し、偽ペイジンの持つ大斧まで巨大な氷の棒へと変わってしまう。
偽ペイジン「お!いいね!かき氷バーだあああ!!!」
偽ペイジンは凍った大斧を嬉しそうに持ち上げ、ぺろりと舌を出した。
ニィ「オイッ!!!!……ふざけてんじゃねェぞおおおお!!!!!」
氷の檻の中で、ニィが低く重たい声を響かせる。
クリスタと偽ペイジンが同時に動きを止め、驚いたようにニィへ視線を向けた。
ニィ「……間違えて気迫しちゃったニィー!」
偽ペイジン「急に誰になったんだあああ!!??」
ニィ「お前にだけは言われたくないニィッ!!!」
偽ペイジン「なんであんなこと言ったんだあああ!!!」
ニィ「あんたがふざけてるでしょおがあああ!!」
ばしいいんっ!!!
ニィの前足が氷の檻の隙間から勢いよく伸び、偽ペイジンの頬へ見事に炸裂した。
偽ペイジン「ぶへぇッ!!!」
大男の身体がその場でぐるりと一回転し、凍った大斧ごと雪の上へ豪快に倒れ込む。
クリスタ「……何を見せられているの、私は。」
ニィ「こっちが聞きたいニィッ!!」
偽ペイジン「暴力反対だぞぉー!!俺は守りに来たんだぞぉー!!」
ニィ「なら真面目に守るニィ!!」
偽ペイジン「よし分かった!次はもっと派手にいくぞおお!!」
ニィ「絶対分かってないニィィィッ!!」
クリスタ「そう……なら、そこの黒猫もあんたもまとめて攻撃すればいいってことね?」
クリスタが氷の剣を地面へ突き立てると、広場全体に青白い魔法陣が広がった。
ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
偽ペイジン「お?」
ニィ「お?じゃないニィ!!完全に巻き添えだニィッ!!」
地面から無数の氷柱が突き出し、上空には巨大な氷塊が次々と形成されていく。逃げ場はなく、氷の檻ごと広場全体が冷気に包まれた。
クリスタ「絶対零度広域魔法……。」
偽ペイジン「わははは!!派手でいいじゃねえかああ!!」
ニィ「あんたのせいで範囲攻撃になったんだニィィィッ!!」
クリスタ「全て凍れッ!!!」
ドォォォォォォン!!!!
猛烈な吹雪と氷柱が一斉に広場を飲み込み、偽ペイジンは大斧を構えてニィの檻の前へ飛び出した。
偽ペイジン「安心しろ黒猫ォ!!俺が全部受け止めてやるぞおおお!!」
ニィ「名前くらい覚えるニィィィッ!!」
ドォォォォォォン!!!!
絶対零度の全体攻撃が広場を完全に飲み込み、偽ペイジンとニィは逃げる間もなく真正面からまともに食らった。
偽ペイジン「うおおおおおおッ!!??」
ニィ「ぎにゃあああああッ!!!」
吹雪と無数の氷柱が二人の全身へ一斉に叩きつけられ、偽ペイジンの毛皮も大斧も瞬く間に白く凍りつく。
ニィの氷の檻にもさらに分厚い氷が重なり、小さな身体は霜に包まれてほとんど見えなくなった。
カチンッ!!カチコチコチッ!!!
偽ペイジン「さ、寒……ッ!!こ、これは効くぞぉ……ッ!」
ニィ「効くどころじゃないニィ……ッ!ひげも尻尾も動かないニィッ!!」
二人は全身を激しく震わせながら、凍った地面へ並んで倒れ込む。
偽ペイジン「だ、大丈夫だ黒猫……俺が来たからには……安全……だぞぉ……。」
ニィ「どこが安全なんだニィ……ッ!!」
カチィィィン……ッ!!!
最後にもう一度冷気の波が通り抜け、二人は揃って真っ白な氷像寸前まで凍りついた。
クリスタ「……口だけは、まだ動くのね。」
クリスタ「……もう終わり。」
クリスタが静かに右手を振り下ろした。
ドォォォォォォン!!!!!
絶対零度の衝撃波が広場を一直線に駆け抜ける。
偽ペイジン「ぐ、おおおおおおッ!!!!」
まともに直撃を受けた偽ペイジンの身体が大きく吹き飛び、凍りついた地面を何度も転がる。
ゴロゴロゴロゴロッ!!!
大斧は宙を舞い、遠くの石畳へ突き刺さった。
偽ペイジン「が……はッ!!」
全身は霜に覆われ、毛皮は完全に凍りつき、腕も脚もほとんど動かない。
それでも必死に立ち上がろうとする。
偽ペイジン「ま……まだだぁ……。」
クリスタ「往生際が悪い。」
ヒュオオオオオッ!!
クリスタが指先を軽く動かすと、鋭い氷柱が一直線に偽ペイジンの足元へ突き上がった。
ドゴォォンッ!!!
偽ペイジン「ぐあああああッ!!!!」
衝撃で再び吹き飛ばされ、今度は背中から地面へ叩きつけられる。
ドサァァッ!!!
大の字になったまま、偽ペイジンは動かなくなった。
ニィ「偽ペイジンッ!!!」
クリスタは冷たい赤い瞳で倒れた偽ペイジンを見下ろす。
クリスタ「……あなたでは、私には勝てない。」
吹雪だけが静かに二人の間を吹き抜けていった。
クリスタ「……来たのね。一思いに終わらせようと思っていたものを……ッ!!!」
吹雪の向こうへ、クリスタはゆっくりと視線を向ける。
冷気の中に、新たな人影が静かに現れた。
ニィ「……!」
倒れていた偽ペイジンも薄く目を開け、その姿を見つめる。
クリスタ「……あなたが、この街を……。」
一歩、また一歩と人影が近づく。
クリスタ「いや……あなたが、この街の眠りを守る人なの?」
吹雪が一瞬だけ静まり返る。
その問いだけが、凍てつく広場に静かに響いた。
人影はなおも無言のまま歩みを止めない。
ニィは小さく息をのみ、クリスタは氷の剣を握り直す。
次の瞬間、二人の視線はその人物へと集中した。
「君は、おとなしくしていればいいの。」
クリスタが静かに杖を振る。
しゅうううう……ッ。
杖の先から放たれた白いリボン状の氷が、生き物のように空中を滑り、ニィへ一直線に絡みついた。
ニィ「なッ……!?」
くるくるくるっ!!
リボンはニィの尻尾へ巻き付き、そのまま前足、後ろ足、身体へと何重にも巻き付いていく。
ニィ「や、やめるニィッ!!」
パキ……ッ。
巻き付いた瞬間、白い霜が黒い毛並みへ一気に広がった。
足先から感覚が消え、尻尾も動かない。
ニィ「ペ、ペイジン……ッ!」
パキパキパキッ!!
冷気は止まらない。
毛並みは白い霜に覆われ、胸元、首元、耳へと氷の結晶が咲き始める。
ニィ「むにゃ……ボク……冷た……。」
声が途切れる。
瞼が重くなり、小さな身体は震えることすらできなくなっていく。
ニィ「ヤ…………。」
カチンッ!!!
最後の一言とともに、ニィの身体は透き通る氷の塊へ変わり、その場で静かに動きを止めた。
黒い毛並みには真っ白な霜が咲き、小さな氷像となったニィだけが、吹雪の中で静かに佇んでいる。
ペイジン「ニィ!!!」
ペイジンの叫びが、凍てついた広場へ響き渡った。
ペイジン「……ニィを離してよォ!!」
ペイジンはスリーピィステッキを強く握り締め、一歩前へ踏み出した。
その瞳には怒りと焦り、そして氷の中で動きを止めた相棒を助けたいという強い想いだけが宿っている。
クリスタ「それは無理な案件だわ。」
クリスタは表情一つ変えず、氷像となったニィへ静かに視線を向けた。
クリスタ「この子は、私の魔法で完全に拘束している。」
ペイジン「そんな……。」
クリスタ「無理に壊せば、この子まで砕けるかもしれない。」
その冷たい一言に、ペイジンの足が止まる。
ニィの氷像は、吹雪の中で静かに光を反射していた。
ペイジン「……ッ。」
クリスタ「だから選びなさい。」
クリスタはゆっくりと杖を構える。
クリスタ「私と戦うのか、それともその子を諦めるのか。」
ペイジンは唇を強く噛み締め、氷の中で眠るニィを見つめた。
ペイジン「……諦めるわけ、ないでしょ。」
その言葉とともに、スリーピィステッキの先端に、小さな星の光が再び灯り始めた。
ヒュオオオオオオオオッ!!!
凍てつく風が広場を駆け抜ける。
ペイジンは氷像となったニィを見つめ、スリーピィステッキを両手で強く握り締めた。
ペイジン「……もう、誰も凍らせないッ!!!」
カァァァァァァンッ!!
ステッキの先端に眠り星が眩しく輝き、柔らかな金色の光が吹雪を押し返していく。
クリスタ「まだ立ち向かうの?」
ペイジン「もちろん!!」
クリスタは無言で杖を掲げた。
ゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
広場中の冷気が一点へ集まり、巨大な氷の槍が何十本も空中へ浮かび上がる。
クリスタ「凍りなさい。」
バシュウウウウウッ!!!
無数の氷槍が一斉に放たれた。
ペイジン「スリーピィシールドッ!!!」
キィィィィン!!!
眠り星の光が丸い結界となって広がり、飛来した氷槍を次々と受け止める。
ガガガガガッ!!!
衝撃が結界全体へ伝わり、ペイジンは足を滑らせながらも必死に踏ん張った。
ペイジン「うぅ……ッ!!重い……ッ!!」
クリスタ「その程度で、防げると思ったの?」
ヒュオオオオオッ!!
クリスタが左手を振ると、今度は地面そのものが凍り始める。
パキッ……パキパキパキッ!!!
ペイジンの足元へ氷が一気に迫り、靴を飲み込んでいく。
ペイジン「しまっ……!」
カチンッ!!!
両足が地面ごと凍り付き、動きが止まった。
クリスタ「終わりよ。」
クリスタは静かに杖を構える。
その先端には、今までで最も巨大な氷の剣が姿を現していた。
ニィ「ペイジン……ッ!!」
氷の檻の中で動けないニィが必死に叫ぶ。
ペイジンは氷に閉ざされた足を見下ろし、小さく息を吐いた。
そして、真っ直ぐクリスタを見据える。
ペイジン「……まだ、終わらない。」
その瞳だけは、決して諦めていなかった。




