第35話 自分の命
フリス「待ってー!ペイジンちゃん!!」
浴室の扉が勢いよく開き、白い湯気の向こうからフリスが飛び出してきた。濡れた淡いピンク色のツインテールを揺らし、白いワンピースを慌てて身につけたまま、必死に階段の下まで駆けてくる。
ペイジン「フリスさん……ッ?」
先ほどまでの無邪気な笑顔は消えていた。
フリスは今にも泣きそうな顔でペイジンを見上げ、震える両手を胸元へ押し当てる。
フリス「行っちゃうの……ッ?いつまでも、ここにいようよ……ッ??」
フリスの声に呼応するように、宮殿の窓の外に広がっていた草原が柔らかな光へ包まれた。港町からは人々の笑い声が響き、テレビには楽しげな番組が流れ、テーブルの上には冷えたスプライトが置かれている。
フリス「だって本当のアナタ、もう服もボロボロで……分厚い氷の中なんだよ?」
ペイジン「……ッ。」
その言葉と同時に、ペイジンの脳裏へ現実の光景が流れ込む。
凍りついた広場。
裂けた服。
感覚を失った右腕。
そして、声も出せないまま巨大な氷の棺へ閉ざされた自分とニィ。
フリス「戻ったって、痛いだけだよ。冷たいだけだよ。息だってできないかもしれない……ッ。」
フリスはゆっくりと手を差し出す。
フリス「ここなら全部あるよ。好きなものも、見たいものも、優しいお風呂も……私もずっと一緒にいるから。」
ペイジン「そんなの……行かなきゃ分からないじゃない……ッ!!!!」
ペイジンは迷いを振り払うように叫び、二階へ向かって一段踏み出した。
ペイジン「たとえボロボロでも、まだ生きてるかもしれない!ニィだって待ってる!クリスタだって、あんなに悲しい顔をしたままなのよッ!!」
フリス「……そう。」
俯いたフリスの声から、幼い明るさが消えた。
甘い香りが急激に濃くなり、宮殿中の空気が重く沈んでいく。
フリス「でも、あなたは行かせない。」
ペイジン「何よッ!!!!!」
フリスが顔を上げた瞬間、その瞳には底の見えない暗い光が宿っていた。
白い床から淡い雪が広がり、ペイジンの足首へ絡みつく。壁に飾られていた花々も一斉に凍り、宮殿の出口が大きな氷壁によって塞がれていった。
クリスタ「行けッ!!ペイジン!!!」
幼いクリスタが赤い瞳を見開き、ペイジンの背中を押すように叫ぶ。
クリスタ「未来の私を……救ってきてッ!!!!」
その声には、未来の自分自身へ届かない願いが込められていた。
ペイジン「クリスタ……ッ!」
フリス「行かせないッ!!!!!!」
ドォォォォォン!!!
フリスの絶叫と同時に、白い宮殿が激しく揺れた。
階段の上にある薄桃色の扉がひとりでに開き、その先へ底のない漆黒の空間が広がる。冷たい闇の奥から、現実へ繋がっているような微かな星の光が瞬いていた。
フリスは両腕を広げ、ペイジンと扉の間へ立ちはだかる。
フリス「ここから出たら、もう優しい夢には戻れないんだよッ!!」
ペイジン「それでも行くッ!!!」
ペイジンは足元へ絡みつく雪を蹴り払い、真正面からフリスを見据えた。
夢の中の幸せを守ろうとする少女と、傷ついた現実へ戻ろうとする魔法少女。
二人の間で、白い宮殿が悲鳴を上げるように大きく軋んだ。
フリス「……行ってしまうの?ペイジンちゃん……いや、ペイジン……ッ。」
フリスの声から、いつもの無邪気な明るさが消えていた。白い宮殿の床に広がる雪も、窓の外の草原も、まるで答えを待つように静まり返っている。
ペイジン「うん、ここからなんだよ!私の人生って!!まだ十歳なのに、ここで死ねないよ私ッ!!!!」
ペイジンは震える足で一歩踏み出し、フリスを真っ直ぐ見つめた。現実へ戻れば、冷たさも痛みも待っている。それでも、ここで終わるよりずっといい。
ペイジン「それに……フリスちゃんのような友達が先に行って待ってくれてるんだから……ッ!!」
フリス「……友達?」
ペイジン「そうだよ。まだ会ったばかりだけど、一緒に草原を走って、テレビを見て、お風呂まで用意してくれたじゃない。」
ペイジンは少しだけ笑った。
ペイジン「だから、ここに残るんじゃなくて……いつかちゃんと現実で会いに来るよ。」
その言葉に、フリスの瞳が大きく揺れる。
フリス「現実で……?」
ペイジン「うん。だから先に行って、待ってて。」
白い宮殿に、かすかな風が吹いた。
それまで出口を塞いでいた氷が、ゆっくりと音を立ててひび割れていく。
フリス「……そっか。」
フリスは泣きそうな顔で、それでも最後には小さく笑った。
フリス「じゃあ、約束だよ。絶対に来てね……ペイジン。」
ペイジン「ところで、なんでふたりは同じ家に?」
ペイジンが足を止めて問いかけると、幼いクリスタは一瞬だけ視線を伏せた。白い宮殿の廊下に、浴室から落ちる水滴の音だけが静かに響く。
クリスタ「フリスは妹。そして私、クリスタが姉なのよ。でも、先にあの世界から姿を消したのは妹なの……ッ。」
ペイジン「妹……ッ!?それってどういうこと!!??」
思わず振り返ったペイジンの声が、宮殿中へ大きく響いた。
だが、クリスタはすぐには答えない。
赤い瞳を揺らしながら、二階の薄桃色の扉をじっと見つめていた。
クリスタ「その先を見れば分かるわ。」
ペイジン「その先って……。」
気づけば、ペイジンの足は勝手に階段を上っていた。
自分で進もうと決めたわけではない。
それなのに、まるで扉の向こうから名前を呼ばれているように、身体だけが自然と二階へ近づいていく。
フリス「ペイジン……待って……ッ。」
背後からフリスの弱い声が聞こえた。
けれど、ペイジンの手はもう扉の取っ手へ触れていた。
ペイジン「……どうして、止まれないの……?」
冷たい金属の感触が掌へ伝わる。
次の瞬間――
ギィィィ……。
ペイジンは無意識のまま、フリスの部屋の扉をゆっくりと開いた。
フリス「自分の命って……アレだよね。儚くて、脆いというか……ッ。」
開かれた扉の向こうから、冷たい風が白い廊下へ流れ込む。フリスはその前に立ったまま、さっきまでの無邪気な笑顔を失い、どこか遠い場所を見るように目を細めた。
フリス「私も、大切な存在を失ったことがあるから……ッ。」
ペイジン「大切な存在……?」
フリス「黒い髪の毛の男の子だったよ。元気で……でも、ドジで……ッ。」
言葉を紡ぐたび、フリスの声が少しずつ震えていく。
白いワンピースの裾が風に揺れ、その小さな手は何かを掴もうとするように、ぎゅっと握られていた。
フリス「いつも危なっかしくて、放っておけなくて……それでも、一緒にいると楽しかった。」
宮殿の壁に、見知らぬ景色が一瞬だけ映る。
黒い髪の少年が笑いながら走り、その後ろを幼いフリスが追いかけている。けれど、その映像はすぐに歪み、暗い亜空間の裂け目へ飲み込まれていった。
フリス「でも、亜空間の外に放り込まれてしまった……。今は消息も絶ったまま……ッ。」
ペイジン「それって……ッ。」
フリスは答えなかった。
ただ、泣きそうな顔でペイジンを見つめる。
その瞳には、失った誰かを今も待ち続けている、長い孤独が滲んでいた。
フリス「お別れね……ッ。」
ペイジン「え……?」
フリス「ペイジンは、ここに残る人じゃないから。」
フリスはゆっくりと一歩下がり、扉の向こうへ続く闇を指さした。
その奥では、現実へ繋がる小さな星の光が、弱々しく瞬いている。
フリス「痛くても、寒くても……戻らなきゃいけないんでしょ?」
ペイジン「……うん。」
フリス「だったら、行って。」
笑おうとしたフリスの口元が、小さく震える。
フリス「今度は、ちゃんと大切な人を見失わないでね……ッ。」
ペイジンは何も言えず、ただフリスを見つめた。
するとフリスは最後に、最初に出会った時と同じような明るい笑顔を無理やり作った。
フリス「ばいばい、ペイジン。」
白い宮殿の景色が、音もなく崩れ始める。
ペイジン「フリスちゃん……ッ!!」
伸ばした手は届かない。
フリスの姿は光の中へ溶け、最後に淡いピンク色のツインテールだけが、風に揺れて消えていった。
ニィ「ペイジン……ッ!!」
消えかけた宮殿の奥から、聞き慣れた声が響いた。
ペイジンが振り返ると、そこには黒猫のニィが立っている。しかし、これまで何度も現れた偽物なのか、それとも本当の相棒なのか、すぐには判断できなかった。
ペイジン「君は……本物のニィなの?」
ニィ「ボクは……。」
フリス「このまま元の世界へ帰っても、二人とも静かに眠ったままだから……身体を少しだけ元に戻しておくね……ッ。」
光の中へ消えかけていたフリスが、胸元へ両手を重ねる。
淡い光が足元から広がり、遠く離れた現実の世界で、氷の棺に閉ざされたペイジンとニィの身体へ流れ込んでいった。
フリス「ただ、それだけだとアレだから……ッ。」
ペイジン「アレって何よ……。」
フリス「それと、本物のニィは本当は死んではいないの。」
ペイジン「え……?」
フリス「やられた時は、元の姿に戻ってるの……ッ。」
ペイジン「なにそれ……ッ。訳分かんなくなってきたよ。」
ニィ「ペイジン、ボクと一緒に行こう……ッ?」
ニィが静かに前へ進み、ペイジンへ前足を差し出した。
その声には、夢の中で何度も聞かされた偽物の甘さとは違う、確かな温もりがあった。
フリス「頼んだよ、ワンダフル。もう一度、あの世界へ二人とも入れてあげて……ッ。」
ペイジン「ワンダフル……?」
その瞬間、ニィの身体が淡い光に包まれる。
黒い毛並みが消え、姿を現したのは、フリスと同じ淡いピンク色をした小さな犬だった。
ペイジン「わんちゃん……ッ!?」
だが、驚く間もなく、その姿はさらに細長く変形していく。
淡いピンク色の毛は束ねられ、身体は一本の柄へ変わり、瞬く間に見覚えのあるホウキの姿となった。
ペイジン「あの時、くじで当てたホウキ……ッ!」
フリス「行ってらっしゃい、ペイジン。」
白い宮殿が完全に崩れ落ちる直前、フリスが最後に優しく微笑む。
そして、ペイジンが二階の扉を押し開けた瞬間――
足元の床が消えた。
ペイジン「え……?」
身体が宙へ投げ出され、そのまま真っ逆さまに落下していく。
ペイジン「きゃああああああッ!!!」
遥か下には、赤く煮えたぎる血の海と、炎に包まれた地獄が広がっていた。
無数の叫び声が吹き上がり、熱気がペイジンの身体を飲み込もうと迫る。
ワンダフル「捕まってよ、ペイジン……ッ!」
落下するペイジンのすぐ横へ、淡いピンク色のホウキが勢いよく飛び込んできた。
ペイジン「あの時のホウキ……!」
ペイジンは必死に柄へしがみつく。
落下寸前だった身体が大きく揺れ、地獄の熱気を掠めながら、二人は再び空へと上昇した。
ワンダフル「ボクはワンダフル。地獄の王の従者をしてるモノなんだ。」
ペイジン「地獄の王の従者……ッ!?」
ワンダフル「あのホウキは、元々ボクが現代で化けて忍び込んでいた姿なんだ……ッ。」
ペイジン「くじの景品に化けてたの!?」
ワンダフル「うん。色々あってね……。」
ペイジン「色々で済ませないでよッ!」
ワンダフルは地獄の上空を旋回しながら、遠くに瞬く小さな光へ進んでいく。
ワンダフル「だから改めて、ボクに連れていかせてほしいんだ。」
ペイジン「どこへ……?」
ワンダフル「ペイジンとニィが、まだ終わらせてない世界へ。」
その言葉とともに、目の前の光が大きく開いた。
向こう側には、凍りついたクロノスの広場と、巨大な氷の棺が見えていた。
そして現代――
凍りついたクロノスの広場では、本物のニィがまだ生きていた。
だが、その小さな身体はクリスタの作り出した氷の檻の中へ閉じ込められ、四方を鋭い氷柱に囲まれている。
ニィ「う……動けないニィ……ッ。」
黒い毛並みには白い霜がこびりつき、呼吸をするたびに吐息が細かな氷へ変わっていく。それでも心臓はまだ動き、赤い瞳も僅かに揺れていた。
クリスタ「殺してはいないわ。」
氷の魔法使いクリスタは檻の前へ立ち、冷たい眼差しでニィを見下ろす。
クリスタ「あなたには、まだ見届けてもらう必要があるもの。」
ニィ「ペイジンを……どうするつもりだニィ……ッ。」
クリスタ「もうすぐ、永遠の眠りへ沈む。」
その言葉に、ニィは凍えた身体を無理やり起こそうとする。
ニィ「させないニィ……ッ。ペイジンは、絶対に戻ってくるニィ……!」
バキンッ!!
氷の檻が強く軋み、鋭い冷気がニィの身体をさらに締めつけた。
それでもニィは目を逸らさなかった。
遠くには、巨大な氷の棺に閉ざされたペイジンの姿がある。
ニィ(早く戻ってくるニィ……ペイジン……ッ。)
その祈りだけを胸に、本物のニィは生かされたまま、クリスタの氷の檻へ囚われ続けていた。
そして現代――
凍りついたクロノスの広場では、本物のニィがまだ生きていた。
だが、その小さな身体はクリスタの作り出した氷の檻の中へ閉じ込められ、四方を鋭い氷柱に囲まれている。
ニィ「う……動けないニィ……ッ。」
黒い毛並みには白い霜がこびりつき、呼吸をするたびに吐息が細かな氷へ変わっていく。それでも心臓はまだ動き、赤い瞳も僅かに揺れていた。
クリスタ「殺してはいないわ。」
氷の魔法使いクリスタは檻の前へ立ち、冷たい眼差しでニィを見下ろす。
クリスタ「あなたには、まだ見届けてもらう必要があるもの。」
ニィ「ペイジンを……どうするつもりだニィ……ッ。」
クリスタ「もうすぐ、永遠の眠りへ沈む。」
その言葉に、ニィは凍えた身体を無理やり起こそうとする。
ニィ「させないニィ……ッ。ペイジンは、絶対に戻ってくるニィ……!」
バキンッ!!
氷の檻が強く軋み、鋭い冷気がニィの身体をさらに締めつけた。
それでもニィは目を逸らさなかった。
遠くには、巨大な氷の棺に閉ざされたペイジンの姿がある。
ニィ(早く戻ってくるニィ……ペイジン……ッ。)
その祈りだけを胸に、本物のニィは生かされたまま、クリスタの氷の檻へ囚われ続けていた。
ペイジン「来たよー!!オラァァァ!!!」
凍りついた広場の向こうから、聞き慣れたはずの声が豪快に響いた。
ニィ「ペイジン!!!」
氷の檻へ囚われたニィが勢いよく顔を上げる。吹雪の中を突き進んでくる人影を見つけ、凍えきっていた瞳に一気に希望が戻った。
だが――。
ドスッ!ドスッ!ドスッ!
近づいてくる足音は、妙に重い。
ピンク色の髪も、和風の服も、スリーピィステッキも見当たらない。代わりに現れたのは、毛皮の帽子を被り、無精ひげを生やした、筋骨隆々の狩人のおっさんだった。
ニィ「…………。」
クリスタ「…………。」
狩人のおっさんは大きな斧を肩へ担ぎ、胸を張って吹雪の中央へ立つ。
ペイジン「おらああ!!氷の怪物!こっち来いやあああ!」
ニィ「誰だお前ニィィィッ!!??」
おっさん「何言ってんだ!ボクはペイジンちゃんだよー☆」
ニィ「声だけ似せても無理があるニィッ!!!」
よく見れば、頬には雑に描かれた星のマークがあり、斧の柄にはスリーピィステッキらしきピンク色の布が巻きつけられている。
どう見てもペイジンの偽物だった。
クリスタ「……ふざけてるの?」
偽ペイジン「ふざけてねえ!魔法少女狩人ペイジンちゃん、ただいま参上だオラァァァ!!!」
偽ペイジンは斧を両手で振りかぶり、そのままクリスタへ向かって突進する。
ニィ「絶対に偽物だニィ!!本物はそんな野太い声でオラァなんて言わないニィッ!!」
偽ペイジン「スリーピィィィ……薪割りィィィ!!!」
ドゴォォォン!!!
斧が石畳へ叩きつけられ、氷ではなく地面だけが盛大に砕けた。
クリスタ「……。」
ニィ「何しに来たんだニィ、こいつ……ッ。」
偽ペイジン「本人が来るまで、俺がカバーだああ!!!」
狩人のおっさんは大斧を肩へ担ぎ直し、氷の檻とクリスタの間へどっしり立ちはだかった。吹雪に毛皮の外套を叩かれながらも、その足取りだけは妙に頼もしい。
ニィ「本当に時間稼ぎだったのかニィッ!?」
偽ペイジン「細けぇことは後だ!本物が来るまで、こいつを一歩も通さねえ!」
クリスタ「姑息な……一瞬で氷の柱にしてやろうか?」
クリスタが片手を上げると、偽ペイジンの足元へ青白い冷気が集まり始めた。
パキパキパキッ!!
地面から鋭い氷柱が次々とせり上がり、狩人の両足を挟み込むように伸びていく。
偽ペイジン「上等だオラァァァ!!!」
ドゴォォン!!!
大斧が振り下ろされ、伸びかけた氷柱が豪快に砕け散る。細かな氷片が吹雪へ混ざり、広場一面へ白く舞った。
クリスタ「……ただの偽物にしては、少しは動けるようね。」
偽ペイジン「誰がただの偽物だ!俺は今だけ、魔法少女代理だああ!!!」
ニィ「そんな代理制度、聞いたことないニィッ!!」
クリスタの赤い瞳が冷たく細まり、その背後へ無数の氷槍が浮かび上がる。
クリスタ「なら、その格好ごと粉々にしてあげる。」
偽ペイジン「来いやあああ!!!本人が戻るまで、何発でも受けてやらああ!!!」
吹雪の中央で、大斧を構えた偽ペイジンとクリスタの氷槍が真正面から睨み合った。
偽ペイジン「しかし、氷の怪物の癖にたまんねぇな、その氷の髪の毛ええ!!!ひゃっほー!!」
偽ペイジンは大斧を構えたまま、なぜか満面の笑みでクリスタの氷色の髪を指差した。
クリスタ「……は?」
ニィ「今それ言う必要あるニィッ!?」
偽ペイジン「だってよォ!吹雪の中でキラキラ光ってんだぜ!?あんな髪、狩場じゃ絶対見られねえぞおお!!」
クリスタ「……気持ち悪い。」
クリスタのこめかみに青筋が浮かび、その背後へ先ほどの倍以上の氷槍が一斉に並ぶ。
ニィ「怒らせたニィ!!完全に怒らせたニィッ!!」
偽ペイジン「褒めてんだよオラァァァ!!!」
クリスタ「その下品な顔ごと凍りなさいッ!!!」
ドォォォォォン!!!
無数の氷槍が吹雪を切り裂き、偽ペイジンへ殺到する。
偽ペイジン「うおおおお!!氷髪美少女からのご褒美ラッシュだああ!!!」
ニィ「喜ぶところじゃないニィィィッ!!!」
大斧と氷槍が激突し、広場に派手な爆音と、偽ペイジンの異様に楽しそうな笑い声が響き渡った。




