ダニールの勘
ゴーシュがヨルグに入り、オライアス公爵家に滞在するとダニールの元へ連絡が来た。
オライアス公爵令嬢の不完全な呪い、故オライアス公爵の死の謎、これらがヨルグ王からの調査依頼だと言う。
ダニールは学生時代のミランダの交友関係を調査する事にした。
ミランダがアラメダとなって、何を思い行動したのかを知る必要があったからだ。
ミランダがアルク王に恋焦がれていた事は分かっている。
では一体2人の間に何があってミランダは諦めなかったのか?
諦めないという想いが、全ての動機に繋がっているはずだ。
ダニールはアルク王の同級生や、ミランダと親しくしていた人々に片っ端から話を聞いた。
そこで皆が口を揃えて言うのは「ミランダの片思い」という事だった。
アルク王には留学前から婚約者がいた。
この婚約者こそキアラの母親で、アルク王が王太子であった頃、一目惚れの末猛烈に口説き倒してやっと婚約者になって貰えたという、アルクでも一二を争う大層な美女だったそうだ。
最もスヴェンのキアラに対する思い入れを見る限り、アルク王がキアラの母親に夢中になったのは容易く想像出来るのだが。
アルク王の同級生の話では、容姿は勿論、聡明な思いやりに溢れた人であると、よく自慢していたという事だ。
一方のミランダはというと、容姿は美しいのだが、自己中心的で到底思いやりなどという気持ちを持ち合わせていない、少々鼻に着くどちらかというと嫌われる少女だったらしい。
ミランダは物腰の柔らかいアルク王にすっかり夢中になり、少しでもアルク王と話した事のある女生徒は、陰でミランダに嫌がらせをされていたという事だ。
ミランダの猛烈なアピールにアルク王も辟易しており、何度も「留学を終えて国へ戻ったら婚約者と結婚する予定だ」と言って断っていた。
それでもミランダは諦めず、遂には学園でも問題になり、外聞を恐れた教師達から病気療養の名目で長期欠席とされ、遂には退学を余儀なくされた。
ミランダは退学してからもアルク王へ手紙を送ったが、その手紙がアルク王に届く事は無かった。
伯爵家の恥を広めたくない両親によって、全て処分されていたからだ。
こうしてミランダのいない学園で伸び伸びと過ごしたアルク王は、卒業後すぐ国へ戻ってキアラの母親と結婚した。
学園にいた頃ミランダがよく漏らしていたのは「婚約者(あの女と言っていた)さえいなければ、私がアルクの王太子妃だった筈」という言葉である。
この言葉がどうも気になる。
ゴーシュが調べた前王妃の死因は転落死だが、バルコニーを事前に点検した結果は異常無しだった。
転落する前の王妃の奇行。
そして転落した時期。
禁書が盗まれスヴェンが呪いを受けた時期と、順を追ってダニールは考えた。
そして一つの恐ろしい答が頭に浮かぶ。
あくまで推理ではあるのだが、ダニールはこういう推理は外した事が無かった。
ダニールはすぐにスヴェンを呼び、思い込みが強いだけでは済まなくなった、ミランダの行動を話し合い、新たに作戦を練る事にした。
読んで頂いてありがとうございます。




