第3話
「やあ!気が付いたようだね」
そう言いながら、男性が近付いてきた。
淡いプラチナブロンドで青灰色の瞳、鼻筋が通った男性とも女性ともとれる美しい顔立ち。男性と思ったのは背が高く、男性らしく均整のとれた体格からだ。
教会の壁画に描かれた、天の使いアレスのようだ。
「あなたは‥アレス様?」
言った途端その美しい顔がまばゆいばかりの笑顔に変わり、クスクスと笑い出す。
「残念ながら、僕はアレスじゃない。そして君がいる所も天国じゃない。森で倒れていたのをここへ運んだんだ」
そう言われて、段々とはっきりしてきた頭で思い出し、辺りを見回すと、自分がいるのは小さな寝室らしき部屋のベッドの上だった。
「た、助けて頂いた上におかしな事を言って、申し訳ございません!」
「そう畏まらなくてもいいよ。まずは食事を摂る必要があるね。起き上がれるかい?」
「‥はい。あの、食事まで頂く訳には‥」
「スヴェン様の言う事を聞いた方が良い」
ハッとして見るともう一人男性が立っていた。
茶色い髪と茶色い瞳の凛々しい顔立ちではあるが、何処と無く騎士の様な威圧感を持つ男性だった。
「さあ、それじゃあまず食事をしよう!話はそれからだ」
言われて、初めて自分が酷く空腹であった事に気が付いた。
思えば3日間殆ど飲まず食わずだったのだ。ましてや碌な旅支度もしていなければ、食料も乾燥した携帯食料を少し持っていただけ。
我ながらかなり無謀なチャレンジだった事に気が付く。
身体中あちらこちらが傷む。
まだおぼつかない体を起こし、アレスの化身の様な男性に促されるまま彼の後をついて食堂らしき部屋へと向かった。




