↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はぐれ王女と魔術師  作者: 栗須まり
PR
22/37

協力者

キアラの言葉を聞いてもスヴェンに驚いた様子は無かった。

それどころか片方の口の端を上げ、不適な笑みを浮かべている。

「‥‥やっぱりね。君もそう思うんだ。僕は君から義母君の話を聞いた時、有り得ないとは思ったけど、可能性はゼロではないと思った。それに君と僕は運命に導かれるまま、出会うべくして出会った。その双方が認める同じ特徴を持つ人物は、1人しかいない。だから君の言葉を聞いて、確信に変わったよ」

スヴェンの言葉を聞いて衝撃を受けた。

「でも、そんな事本当に有り得るのでしょうか?にわかには信じられません」

「聖女の導きにて呪いは解かれる」

「えっ?どういう意味ですか?」

「この言葉の意味を求めて、僕はここまでやってきたんだ。そしてこの言葉はアレスの神託だ。最早疑う余地もない」

「!!!!」

「キアラ、今度は僕が頼む番だ。どうか王妃について教えてくれないか。実は最初に君から王妃の事を聞いて、既にゴーシュを調査に向かわせたんだ。でも、城の奥の事を調査するには限界がある。僕には君の力が必要なんだ」

「‥‥頼むだなんて、そんな必要ありません。私の心は決まりました。どうかお手伝いさせて頂けませんか?」

スヴェンはキアラの手を取り感謝を伝えた。

指先が触れた瞬間から、お互いになんだか胸がざわざわと落ち着かなくなり、黙って見つめ合う他言葉が出なかった。


〜〜〜〜〜〜〜


アルクに着いたゴーシュは、安宿に部屋を取り酒場へ出かけた。

酒場には色々な噂話や求人情報がある筈だ。

もし城の下働きの求人があったら、そこから城へ潜入しようと考えていた。


しかし、夕暮れ時というのにこの活気の無さはどういう事だろう?

どんな町を訪れても、夕食の買い物をする主婦や、仕事帰りの庶民達で市場や飲食店が賑わっているのが普通だ。

しかしアルクの王都は今迄に見た事がない程寂れている。

市場はまばらで碌に品物が無く、仕事帰りの庶民達の姿は殆ど無い。

たまに見かけてもどこか疲れ切った、暗い表情の人達ばかりだ。

こんな町で酒場などやっているのだろうか?


酒場を探して町を散策していると、途中からガラの悪い男達が後を着いて来た。

ゴーシュはわざと気付かないフリをして、狭い路地裏へ入ると、男達に向き直った。

「何の用だ?」

男達はニヤニヤしながら「おい聞いたか?何の用だとよ」などと口々に言い、バカにした様に笑い出した。

なるほど。ゴロツキが身ぐるみ剥がしてやろうという訳か。

予想通り治安も悪い様だ。

狙いは多分腰に下げたこの剣だろう。


「おい、トーマ!挨拶代わりに痛め付けてやれよ」

男達の1人が言い、トーマと呼ばれた体格のいい男が近付いてくる。

「そいつはな、元城にいた兵士だ。可哀想だがあんたに勝ち目はない」

男はニヤリと笑い、トーマは腰から剣を抜くと、ゴーシュに向かって振り下ろした。

ガキン!と硬いものと金属がぶつかる音が響く。

振り下ろした筈のゴーシュの姿は無く、剣は勢い余って路地裏に敷いてあるレンガに刃を立てていた。

「ひっ!うしろ‥‥」

男が最後まで言い終わる前に、トーマは首の後ろに激痛を感じ、膝から崩れ落ちた。

狼狽えた男達はそれぞれの持つ武器を構えようと、ナイフや短剣を隠した懐を探る。

その間にゴーシュは目にも止まらぬ速さで、次々に男達の急所を突き、気が付いたらトーマに指示を出して経歴まで語っていた男以外の全員が倒されていた。

「い、命ばかりはお助けを!あんたがこんなに強いとは知らなかったんだ。俺達にも家族がいる。生きていくには仕方がなかった!」

腰を抜かしへたり込んでゴーシュに縋る男は、本気で震えている。

「どんな理由があるにせよ、人殺し紛いの事をしていいという理由にはならない。私以外の人間だったら、死んでいたかもしれないじゃないか」

「わ、悪かった。頼む!許してくれ!」

「お前はさっきあの男、トーマと言ったか?元城勤めの兵士と言ったな?」

「は、はい。その通りです」

「その兵士が何故お前達と一緒にこんな事をしているのだ?」

「理不尽な理由で首になり、働き口も見つからず、行き場を無くしたのです。トーマに限らず、他の奴等も皆そうです」

「私はラドニアの人間だ。アルクには詳しくない。お前、名前はなんという?」

「ラズロと申します」

「ではラズロ、お前達に仕事をやろう。勿論報酬は支払う。私の手足となって動いて貰いたい。どうだ?悪い話じゃないだろう?」

「はい、はい!それはもう!有り難い話です!」

「では落ち着いて話が出来る場所へ案内してくれ。間違ってもまた襲おうなどとは考えるな。今度は手加減しない」

「てっ、手加減!あれで!?旦那、あんたみたいな化け物に手を出そうなんて、二度と思いませんぜ。約束します。行きつけの酒場へ案内しますから、後を着いて来て下さい」

「よし。他の奴等も起こしてやろう」

ゴーシュはそう言うと、気絶させた連中を順番に起こし、背中に一撃を入れて意識を戻していった。

ラズロは全員に話をして、怯える仲間を説得してからゴーシュを酒場へと案内していった。

読んで頂いてありがとうございます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。