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第2話〜今後の方針

決して意図して助けたわけじゃ無い。たまたま見つけた洞窟でやつに出会い、戦っているうちに逃げたのを追いかけてあの光景を見たのだ。


気絶したフリをしながら仲間の声に反応を見せないクズを、剣を構えたまま硬直するザコ

を、全身の力が抜けたように武器を下に下げた無能な2人を…

剣の少女が叫んだ時に全員が動き出した。ゴーレムの方向と共に気絶していたやつがすごいスピードで逃げ出した。それにつられて2人も、どちらも彼女の足がとらわれているのを知りながら見捨てたのだ。


本来ならそこで終わるはずだった。俺には関係が無いと…逃げるのも1つの手だと…

だがその時、俺の中の何かが蘇ったような気がした。

無様にも叫びながらこちらへと叫んでくる。

顔は恐怖に染まっていた。仲間を囮とし、自分の命を優先して意地も何もかも投げ出しながら。


「どけっ!」


そんな声と共に突き飛ばされた。

だが、俺は突き飛ばすために伸ばされた手を俺は素早く掴み離さなかった。


「おい!何してんだ!離せ!」


「え、ああ」


それでも離さない。

自分でも何をしているかわからない。あくまで個人の勝手だ。誰が誰を見捨てようとも俺には関係の無い話だ。

しかし俺の中に蘇ったものはそれを許さなかった。金井 蓮だ。そいつは確かに死んだだが、そいつは感情の怨霊となって再び舞い戻ってきたのだ。


「離せ…」


瞬時に後ろに回り込み、首の後ろを殴る。するとバサッと地面に倒れこんだ。

立ち尽くしている2人にも同じ事をした。


「ははは、こういうやつを見逃してると後悔するんだよね〜」


俺は額にかかった髪を上にあげながら、少し頬を緩めた。

後悔しない人生はその時その時に思った最高の選択が必要となる。それを蘇ってきてくれたものが教えてくれた。


「ありがとう」


そう言って俺は3人をズルズルと引きずりながら石ころのあるところまで歩いた。


ーーーそして現在。あのゴーレムを倒した後

彼女はへたり込んでいた。


「おい、立てるか?」


「…へ?」


間の抜けた返事しか返ってこない。ゆっくり手を伸ばし立てるように補助をしてやる。


「俺の名前は、レン」


「………あ、えっと私はシャナ」


そきて俺はこいつに言わなければならないことがある。それは…


「今見たことは忘れろ」


さっきまで歓喜と達成感に溢れていた顔はどこへ行ったのか、一瞬にして消してしまった。


「……………」


「……………」


沈黙…お互いに沈黙だった。シャナはあまりにも真剣な表情に気圧されて、レンはシャナの出方を待っているようだった。


この沈黙を破ったのはレンだった。さりげなく動き出し、ギルの鎧に手をかける。おもむろに引っぺがし、貴重品を全部もぎ取った。

続いてアルトのメイスと懐の金の入った袋。そしてミナの杖とお金…

シャナの体は動かなかった。呆気にとられてただ呆然としていた。


するとレンは袋の中身を取り出し片手で持って目の前でお金をちらつかせていた。


「ん〜、やっぱりか…」


袋の中身に入っていたのは、金、銀、銅の硬貨だった。俺にとってその模様は見たことの無いものだった。

少し遅れてシャナは正気になる。


「ちょっ!何してるんですか!折角助けてくれたのに!」


「ん?助けた覚えなんか無いけど?」


「え…でも、ゴーレムから救ってくれたじゃ無いですか」


「なんか勘違いしているようだから言っておくよ。俺はお前なんか助けた覚えは無い。ただ、あのゴーレムって奴に用があっただけなんだ」


これは変えようの無い真実だ。あの状況にこいつらが居てもいなくても俺はゴーレムを解体していた。だからお礼は言ってもらおうとも思わないし、追い剝ぎのような事をしたって問題は無いのだ。

それに今の俺は一文無しだ。ここに来る時服以外は送られなかったらしい。もっとも送られてきたところで使えたかは分からないが…


一通りの事を終え、硬貨をまとめて袋に入れ、鎧を剥ぎ取り来てみることにした…が、汗臭かったので持って行くのも着るのもやめておくことにした。


「いや、待って!」


歩き出した俺に向かってシャナは手を前に突き出し、声をかけた。

だが、俺は無視する。もう関係が無いし、それに起きている相手のものは面倒だから奪わない。


「ねぇ!待ってってば!」


「うるさい」


走ってくるシャナに対し冷たく言い放った。しかし彼女は歩みは止めない。

そしてその手が俺の肩に掛かる瞬間、ひらりと身をかわし背後に回った。


「まったくなんだってんだ?そんなに仲間のものを返して欲しい?命の危機なのにも関わらず見捨てた奴らのものを?」


「ーーーッ!」


確かに仲間だった。苦労を共にし、クエストの成果でいちいち一喜一憂するほどに絆は生まれていると思っていた。助けてくれると信じていた。みんなで打開策を考えもし今回はダメだったとしても「命があって良かった」と笑えるのを期待していた。でも…


「他人ならとやかく言わない。仲間のものは絶対にダメ」


「へぇ」


「奪うのは許さない、私がいながら指をくわえて見てるだけなのは嫌だ。それに今回はたまたまこういう結果になってしまっただけ。

何もうらぎられたわけじゃない!」


1度見捨てられたくらいなんだと思うかもしれない。

しかし、やられたものにしか分からない心の痛みがある。それは生涯心に残ってしまうだろう。

だけどそれだけの事。今回は見捨てられた。

だからと言ってこれまで育んできたものは確かにある。


「だから奪うなら私を倒してからにしなさい」


「ははははは!面白い。なら返す。せいぜい2度と見捨てられないようにな」


俺の言葉に彼女は拍子抜けしたのかもしれない。キョトンとした顔が証拠だ。でも、俺は一瞬だがこれを取ってしまうと後悔してしまうと思ってしまったのだ。


「でも、ただではダメだ。その中身の半分と

お前らはどこから来たのか教えろ」


彼女はハッとし、自分の懐から袋を取り出した。それをこちらへ向けて投げつけた。


「私のお金をあげる。助けてくれたお礼よ。

それと私たちが来たのはこの洞窟を出て真っ直ぐ行ったところにあるアイリスってところよ」


彼女は素直にもペラペラと喋ってくれた。

これを信じてもいいものかとは思ったが、彼女の目は怒りにも憎しみにも溢れていなかった。なので信用することにした。


「分かった………俺にもこんな仲間が…」


後の言葉は彼女には聞こえていなかった。眠っている仲間を起こそうと必死になっていたからだ。

俺はそんな光景を見た後、背中を向けて洞窟を後にした。


俺の物語は進んでいく。着々と順調に…

だが、俺はまだしらない。この行動が俺を厄介ごとに巻き込んでいくことに…





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