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第41話〜崖の上の教会3

で、次はどこに行こうかな?

地図を見たところこの辺にあるのは全部言ってしまったみたいだし、次の教会はどれも少しずつ距離がある。



「次はどこに行くんだ?」



グリムが歯に挟まった肉を爪楊枝で取り除きながらきいてくる。



残念ながらノープランなんだが……



「てか、本当にいるのか? 全部回って居なかったら、どうするんだ?」



「……特に考えてない」



「なんだそれ」



徐々に機嫌の悪くなるグリムを無視して目の前に広がる海を眺める。



「はぁ、俺はなんでこんなことしてるんだろうな」



「知るかよ」



「で、なんで付いてきてくれるんだ?」



「……負けたから仕方なくだよ」



顔を背け、頬をかきながら照れ臭そうにそんなことを言ってくる。

別に感謝など微塵もしていないが、道中暇じゃなかったのはポイント高い。



なんとなく辺りを見渡してみる。当然海と戯れるカップルとかそんなのばかりだ。

……少し嫌な気持ちになったので、反対側にある岩の方へ目をやる。



「……そういえばさ、5年前の地図にはもう一つ教会があったよな?」



ふと、思ったことを口にしてみる。



「ああ、そんなこと言ってたな。それがどうかしたか?」



「案外そういう場所にいるって事もあるんじゃないのか?」



「さぁ、否定はできないけどな」



なぜそんなことを思ったかというと、俺の視線の先には教会らしき建物がある。

ねずみ返しのように反っている崖の上にあるのは十字架を頭につけた建物がある。



たしか俺が見た印の位置も海の近くだったよな?



「よし行ってみるか」



「え? どこに?」



「あそこの教会だ」



俺は指差し、グリムに教会の位置を教える。



「おお、でもあそこって見た目もボロボロじゃんかよ」



「そこがまた怪しいだろ?」



「お前って結構単純なのな」



これは言い訳であって、あそこが1番近いからと言うのが本音だ。



早速、崖の上の教会を目指してみる。











ーーー道中何もなくすんなりとつけた。

やはりグリムが目立ってジロジロ見られたが、気にしないでおこう。



「早速入りますか」



「じゃ、開けるぞ」



グリムが扉の取っ手に手をかける。

そこには南京錠と鎖で硬く閉ざされてあるのを気にもとめず思いっきり壊す。



「おいおい、そんなことしていいのか?」



「どうせ使われないんなら良いんじゃないか?」



さすが盗賊だな。

だんだん殺人より不法侵入と器物破損の方が罪が重く感じるのはなんかやばい気がする。



木が軋むような音を立てて扉が開く。

いきなり飛び込んで来たのはきっちり揃えられた長椅子ではない。

ステンドグラスの中で微笑んでいる母性溢れる女性だ。

上を見てみると大きな穴が空いている。



「グリムの言った通りボロボロだな」



「だろ? こんな所に居るわけないって」



綺麗な赤い絨毯の先にはろうそく台と所々欠けた教壇がある。

それに近づいて見てみる。



なんか違和感があるな……



「なぁ、レン。2年間も放置されてた割にはなんか……綺麗じゃないか?」



「……ああ、やっぱりか」



違和感の正体はそれだったか。

教壇の上を見ても、指でなぞっても埃一つつかなかったし、椅子を見てみても完全に朽ちているわけではなかった。



ここは港町。雨や潮風が漂う街だ。

天井に穴を開けたままだとその下にある椅子などはすぐに傷んでしまうはずだ。



さらに色々な場所を探索してみる。



「おや? こんな所にお客ですか」



「「あ?」」



急に現れた声。

俺とグリムは突然の事に驚き、声の方向に振り向く。

さっきまでは気配は全くなかった。

幽霊のようにいきなり姿を現したのは、伯爵の羽織るような服に身を包んだ細身の男。

奇妙なのは一面黒の仮面をつけている。



穴などは見当たらない。どうやって視界を確保しているのだろうか。



「おっと、驚かせてしまってすまないね」



「で、あんたは何者なんだ?」



「お前か? あの日本人と一緒に行動しているのは?」



「……はい♫」



俺の問いに少し嬉しそうな声のトーンで応える。

表情は読み取れない。声と行動で判断するしかない。



なんかこいつ飲み込み早くないか?



「はは、やっと会えたねレン君」



「……名前を教えたつもりはないぞ」



いきなりの事に俺とグリムは面食らってしまう。

上半身をクネクネと左右に揺らしながら、両腕を開いている。

気味の悪い野郎だ。



俺とグリムの様子を見ながらその男は喋り出す。



「え? なんで知ってるかって? 教えてあげても良いけどその前に幾つか話さないといけないんだよ」



「……あの女に教えてもらったんだろ?」



「まぁ、それも一つの手段ですが〜、違うんだよね」



「お、おいレン! お前こいつの知り合いか?」



「まさか」



俺以上に置いてけぼりにされているグリムは辺りを見渡し、キョロキョロしている。



それでも男は続ける。



「僕の名前は……ロキ。君のことはよ〜く知ってるんだ」



「なんだ? ストーカー発言か?」



「そんなところですかね」



恥ずかしげもなく俺の言葉を肯定する。



本当によく分からないやつだ。

でも、こいつはまぎれもなく実力者だ。すべての事に警戒しなくてはならない。

相手のペースに飲まれてはならない。どんなことを言われても驚いてはいけない。



しかし、俺はこの次の言葉に絶句する。



「レン君。君には重要なことを言っておくよ」



「な、なんだ」



「僕だよ。君をここに連れてきたのは」



















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