表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/48

第40話〜崖の上の教会2

窓から日の光が射し込んでくるいつもの朝。



この世界に来てから何ら変わらない何度も経験してきた朝だ。



だけど、今日は何だかとても静かだ。



俺は横のベッドでまだのんきに寝ている大男を叩き起こし、これからのことを考える。



「グリム。この町にある教会はいくつだ?」



「おいおい、本気で行く気か?騙されたんだよ!都合が良いように言って逃げたんだよ」



「俺もただの異世界人ならそう思うだろう。でもな、これだけは確認しなくちゃいけない。本当に騙されてたんなら、残念だがな」



「異世界人?何だそりゃ?」



「いや、こっちの話だ」



俺は着替えを済ませ、ベッドに立てかけてあるドレインを肩にかける。



まずは教会をしらみ潰しに探さなきゃな。









「で、教会の場所は?」



「は?知らねーよ。俺たちにとったら教会なんて入れるところじゃねーしな」



「位置は把握してないのか?」



「地図みりゃ分かる」



なんだ、分かるんじゃないか。



まぁ、あの奴隷娘のせいで余計な出費をする羽目になったが、それ以上の情報を期待してみよう。



金はまだあるから心配ないがな。



「じゃあ、地図を買おう。どこに売ってある?」



「この街の?」



「当たり前だ」



「それならどこにでもあるぜ?そこの道具屋にも、薬屋にも、防具屋、武器屋にも売ってある」



グリムは辺りを指差しているだけだが、周りからはものすごい視線を感じる。



やはり、ここまで大きい男は街中で迷惑なほど目立つ。



「まぁいい、適当に道具屋にでも行ってみるか」



「へーい」



どこでもいいのなら、1番近くにあった道具屋の扉を開く。



「いらっしゃい。何をお探しで?」



「地図。この街の地図だ」



「はいよ。で、どれにする?」



店主は奥の方に行き、3種類の地図を両手に抱え、カウンターに広げる。



1番安そうなのはこの、街の家や重要なギルド、領主の家などが区切られただけで、文字は何も書いていない地図。



でも、2番目と3番目の違いはよくわからない。所々違うところが見えるが、間違い探しのように難しい。



「2番目と3番目は何が違うんだ?」



「あー、それはね。2番目の方が5年前の地図、1番目と3番目が1年前の地図だ。オススメは3番目だね」



「じゃあ、それくれ」



「金貨3枚だ」



ニヤリとしながら指を3本立てる店主だが、呆気なく俺の手から渡される金貨を見て疑問符を浮かべていた。



「おいおい!本当にいいのか?」



「何がだ?」



「金貨を3枚も…」



「時間が惜しいからもう行くぞ」



「ま、毎度あり…」



足早に店を出て行く俺を見て唖然とする店主だったが、全く気にせずグリムに話を振る。



「で、どこにある?」



俺は早速、今買ってきた地図を広げる。



「ああ、この十字架のあるところだ」



あっさりと街の至る所を指で指し、十字架のある場所を教えてくれる。



というか、さっき見た5年前の地図にも十字架のマークがあったような気がするが、この地図には無くなっている。



潰れてしまったのか?



「……全部で13か。俺の見たところも入れて14か。長い戦いになりそうだな」



「忘れてないだろうな?本当にいるかは分からないんだぞ?」



「分かってるって」



ここから見える大きな塔…それを目印にまずは1番近い教会に攻め込んで見る。







「失礼します」



グリムでも少しかがめば楽に入れるような大きな扉を開け、中を確認する。



あまり大きくない教会で、少し首を振れば全てが見渡せてしまう。



美しいステンドグラスに映る母性に溢れ、優しい笑顔を浮かべている女性の足元。

そこには教卓のような台があり、神父のような男が、立っていた。



まずは話しかけてみよう。



「あの〜。人を探してるんですが…」



「どのような人を?」



「………おい、グリム」



「いや、知らねーし」



そういえば、教会の場所だけでなく、そいつの特徴とか、どんな雰囲気だとかすらも聞いていなかった。



「…やっぱいいです」



「神のご加護があらん事を」



「はぁ…ダメだこりゃ」



おそらく見れば一目で分かるはずだ。



だってそいつは相当の手練れで、あのヒストリアとか言う謎の女性から1人の少女を護ったのだから。



よってあの神父は雑魚オーラプンプンなので間違いなく違う。



「次行くか…」



「本当に見つかるのか?」



「さぁな」



「全く確証がないなぁ」



旅は道連れ。



こいつには最後までとことん付き合ってもらう。



で、なんだかんだで次の教会に着く。



しかし、もちろん不発。さっきの教会と比べればこちらの方が大きいし、その分期待も大きかったのだが、中にいたのはまたしても弱そうなおっさんと農民数人だった。



「本当にいるのか?」



「やめろグリム…まだ2軒目だ」



…と思っていたが、残念ながら次も不発。



その次も、その次も、不発だった。



現在6軒目に向かっているが、やはり疲労感がすごい。



なのでここは一時休憩をとって、食事でもしようということになった。



魚料理が食べたかったのもあるが…



「で、どうするよ。まだまだ半分以上あるぜ?」



「グリム…あんまり疲れる事を言うな。あと8軒だろ?分かってるって」



この街は広い。



おそらくアイリス並には広いと思う。



いくら教会が割と固まったところにあるとは言え、移動時間は半端じゃない。



滞在時間はほとんど一瞬のなのだが、全てを移動時間で削られていく。



「はぁ…なんかため息ばかりが出るな」



「それは俺の方こそだぜ?だってよ。このグリム様がこんなに歩かされて、こんなにちっさい椅子に座らされてるんだ」



確かに、すべての店が大きいテーブルや椅子を置いているわけではない。なので今のグリムはすごく窮屈そうに椅子に座っている。



そんな事を考えていると俺たちの頼んだ料理が運ばれてきた。



初日は奴隷オークションのせいで何も食べられなかった。いい気分転換にはなったが、その分苦労も増えた。



いや、そんなことはどうでもいい。俺は本当に迷った。煮魚にするかフライにするか…



「ハルデオのフライとホワイトウルフの丸焼きでございます」



グリムの頼んだものは本当に高かった。



金を借りている身分で本当にいい気なものだ。



それにしてもハルデオっていう魚…どのような魚なのかは皆目見当もつかない。ただ、見るからに白身魚っていうことかさだけが分かる。



「い、いただきます」



「俺もー」



俺はフライにがぶりとかぶりついた。味は本当に一般的な家庭に出されそうな白身魚のフライの味。



アジとかに近いと思う。



でも、なんだかとても懐かしい味だ。








「ふぅ、ごちそうさま」



「美味かったぜ〜」



「なんで食べ終わるタイミングが同じなんだ?」



あのホワイトウルフの丸焼きは結構デカかったはずなのだが、俺のフライが食べ終わると同時に食べ終わりやがった。



「まぁ、俺たちは盗賊だからな。早く多く食べなくちゃ行けないのさ」



「そんなもんなのか」



俺たちは食事も終え、体力も割と回復した。



さて、あと8軒…頑張るか。


















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ