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第38話〜奴隷オークション

目の前にあるのはボロい酒場のようだ。



割と広い印象を持たせる外観だが、オークション会場にしては狭すぎる気がする。



まぁ、だいたいは予想ついてるんだけど。



俺とグリムは扉を押して中へと入る。



「会場はここか?」



「いいや、まぁ、待ってろ」



そう言ってグリムはカウンターにいる髪の毛が後退しているマスターに話しかけに行った。



俺は適当に開いている席に腰をかける。



周りを見渡してみれば、ガラの悪い男たちが大きなジョッキ片手に大笑いしながら酒を飲んでいる。



酒と料理の匂いが入り混じった空間。



「繁盛しているのに、なんで立て替えたりしないんだろうか?」



ふと浮かんできた疑問を追求してみる。



1つは単純に金がない。この光景は毎日見られるような光景ではなく、あるイベントが発生しているときにのみ見られる光景かもしれない。



2つ、この外観はカモフラージュ。周りの建物を見ながらきたが、あまり綺麗な印象を待たせるような店はなかった。



やはり、奴隷オークションとは非公認で、あまり表沙汰にできないことなのかもしれない。



「…どうでもいいか」



「お?何がだ?」



様々な仮説を立てているうちに用が済んだグリムが俺のテーブルにやってきた。



後ろにはさっき話していたマスターがカウンター裏の扉の鍵を開け、俺たちが来るのを待っている。



「ここはただの酒場。俺たちが用があるのはこっちだ」



「おう、わかった。今行く」



俺はグリムに連れられ、扉へ歩いていく。



そこには地下へと続く階段があった。少し螺旋状になっていることによって、下に何があるかは行ってみてからのお楽しみだ。



確かに、地下しか考えられなかったが、こうもあっさり予想が当たると面白くない。



「着きましたよ、旦那が他」



「ごくろーさん」



「グリムここか?」



「ああ、この奥だ」



目の前に見えてきたのはなんの変哲もない木の扉。輪っかのような鉄の取っ手が付いている。



かすかに扉の向こう側の声が漏れてきている。



「じゃあ、マスター。俺らも終わったら飲むわ」



「待ってますよ」



「いいから入ろうぜ」



そして俺たちはゆっくりと扉を開く。



「では!次の商品…」



最初に飛び込んできたのは、映画館のような階段状の座席。



そして光り輝くステージ。その上では品物が台に乗せられ、隣の男が大きな声でその商品の説明を行っている。



客の方へ目をやってみる。



そこには貴族のように華やかな服を着た者や鎧をまとった騎士風の者、山賊のような衣装の者もいる。



皆、手元を見てみると白い札のようなものを握っている。



「ここがオークション会場…でも、奴隷は売られてないぞ?」



「そりゃそうだろ。奴隷はメインだ。最初は物を出して焦らすのさ」



得意げに語るグリム。



「なるほど」と感心していると、急に場が盛り上がった。



「では!お次はメインイベント!奴隷オークションです!」



札を高く上げ、歓声をあげながら喜ぶ客たち。



「ちょうど良かったな…さて、どれを買う?」



ステージの裏からひこずられながら出てきたのは強靭な肉体をした大男。



しかし、その両手両足には鉄の枷、首にも鎖が取り付けられていた。



顔は悲愴に歪み、まるで奴隷の末路を知っているかのようだった。



「さて、この商品。見ての通り、力が強いです!さらに壊れにくいというオプション付き!労働者として!農奴として!戦闘員として!様々な利用法がありますよ!」



「や、やめ…やめてくれ…それ以上言うのは…もう」



「まずは大金貨1枚から!」



「2枚!」



「3枚!」



次々と札が上がっていく。やはりこのようなところでは実用性じゃない。テイションが物をいう。



各々が隣の者に負けまいと、どんどん金額を上げていく。結局、こいつの金額は大金貨5枚と金貨6枚で落ち着いた。



「次はみなさんお待ちかね!メスの奴隷です!」



「…この世界では人間でもメスって言われるのか?」



「いや、奴隷には人間と同じ位は貰えないのさ。どうする?あれ買うか?割と可愛いしな」



「いや、まだまだ見てないものがあるだろ」



「そうだな」



そしておきまりの商品説明が行われる。



「はい、こちらのメス!名は有りません!自由につける楽しみもあります!しかしなんといってもまだ使用回数だったの12回!このまま性奴隷にしてもよし、拷問してなぶり殺すもよしですよ!」



「おお、ほとんど新品じゃねーか」



「新品?」



「ああ、メスの奴隷は普通あっちはボロボロ何だが、あれはたった12回っていうじゃねーか。買い時だぜ?」



別に俺は買うのが目的で来たわけじゃない。ちょっとした気分転換のつもりで来ただけだ。



しかし、酷いものだ。



人権の存在するあちら側の世界ではありえない光景だ。



結局彼女の金額は大金貨16枚でおさまった。



「あんな上物滅多に無いぜ?」



「別にいいんだよ。買うのが目的じゃ無いからな」



恨めしそうにこちらを見つめてくるグリムを無視し、次に出てくる商品を待つ。



「じゃあ、金貸してくれ!次は俺が買うから」



「好きにしろ」



呆れたように言い放ち、裏から出てきた商品を見る。



今度も女性のようだ。



「さて!次の商品!今度は今朝捕まえたばかりの完全な新品!まだ、誰にも裸を見られたことは無いのです!なので今回は捕まえたままの状態で出品しました!」



会場内に先ほどまでは比べ物にならない大歓声と興奮が巻き起こる。



そして説明はさらに続く。



「珍しい黒髪に身軽な行動!名前も少し変わっており、【カヤマ・レイナ】と言います!

見たことの無い字を書き、我々の知らない単語を多く知っています」



「カヤマ・レイナ?この世界にしては珍しい。まるで日本の名前のような…」



「出身は日本という大国!様々な話で楽しむのもよし、性奴隷にして、初めてを奪うのも良し!さて!金額は…大金貨15枚から!」



いきなり高額な金額から始まる。



いや、そんな事より…あいつの出身は日本と言っていた。



もしかしたら本当にそんな国があり、俺たちが来た世界とは違うところかも知れない。



しかし、名前といい、髪の色といい、一般的な日本人のものだ。他人とはあまり思えない。



こんなことを考えている合間にも彼女の金額は馬鹿みたいに上がっていく。



やはり、今朝捕まえた事と、新品である事はとても重要らしい。



「ありゃ、買えねーな。もったい無いけどあんまり使うわけにはいかないしな」



「…枚」



「え?なんだって?」



「大金貨35枚!」



気づけば俺は己の札を高く高く上げていた。



「他にはいませんか!」



みんなが俺の方を見る。そして…



「では、35枚で落札です!」



恐ろしい金額だ。



しかし、後悔はしていない。これは大事な情報を買ったと思えば安いものだ。



「じゃあ、いつ受け取りに行くんだ?」



「全部終わった後だよ。しかし、あれを買っちまうとは…恐れ入ったぜ」



ああ、それに関しては俺自身も恐ろしいとは思ったが、後悔はしていない。でも、まだまだ余裕はあるが、あまり無駄遣いは良く無い。



俺はオークションが終わり次第取りに行くことにした。

























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