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第36話〜王都のその後

「全員そこに並べ!この中に脱走者がいるか確認する!フードを被っているものは取れ!」



王都はこの失態に激怒し、厳しい検問が行われている。国民全員が強制で身体検査及び顔認証が行われている。



「次!」



「は、はい」



彼女たちも例外ではない。



「待って彼女たちは私がする」



「…魔導騎士セトレア」



「今は停職中だけどね。このくらいの権限は与えられたわ」



彼女たちに近づき、顔を確認し、体を触っていく。そして「異常なし」というと裏の路地へ呼び出す。



そして、あの夜の牢獄での話を彼女たちに話した。



「それって…本当ですか…」



「本当も本当。だから君たちはここにいることができるんだよ?」



「あやつはこの者たちを助けた…ということかの?」



「いいや、そんな風には見えなかったね。見捨てるというより切り捨てるといったほうが正しいかな?」



「レンさんが…」



彼女たちに不安がよぎる。



やはり仲間だと思っていたからだ。危機を一緒に乗り越え、時には助けてもらい、怪我もさせたけど全てを許してくれる優しさをあまり表に出さない人だと思っていたのだ。



人はやはり裏切られたとなると今までの事も信じられなくなる。あれは本当に善意だったのだろうか?道具として見られていただけなのか。など本人以外には決して分からないようなことを考えてしまう。



「それだけを伝えに来た。じゃあね」



「「……………」」



一言残しその場を立ち去るセトレア。



場が静まり返る。彼女たちの中は疑心でいっぱいだ。



しかし、次のシュミカの言葉でこの場は一変する。



「どうしたのじゃ?まさかさっきの言葉を気にしておるのか?だとしたらくだらないの」



「…何で、ですか…レンさんの本音が分からない以上…」



「ま、どちらにしろワシは彼奴に借りがあるのは紛れもない事実。返さなければワシの性分に反する」



呆れたような口調で挑発するような態度をとるシュミカ。彼女たちの感情を逆なでする。



「あんたに何が分かるの…」



「いや、何も知らん。お主らは何か知っておるのか?その様子だと何も聞かされてないようだったがな」



確かに何も知らなかった。ただ雰囲気で、流れでここまで一緒だっただけだ。彼はこの世界の事はまるで無知だったし、喋るのと同じくらい身近な魔法もまるでなっていなかった。



「じゃあ、ワシはもう行く。恐らく隣町…もしくは港まで行っておるかも知れんからの」



そう言って赤い髪をなびかせながら立ち去ろうとするシュミカ。それを引き止める1つの声。



「…待って。私たちも行く。だってこのままじゃ納得いかないもの…それで!このパーティのブレスレット突き返してやる!」



「そ、そうです!私もちゃんと心に決めた人…」



「「心に決めた人?」」



「いや、何でもないです…」



赤面するルナ。その行動はこの場の雰囲気を少し和ませた。



「じゃあ、出発するかの」



「そうね」



「行きましょう!」



ここから彼女たちのレン捜索の旅が始まる。









---しわがれた怒声が響く王の間。



いつも座っている椅子を勢いよく立ち上がり、目の前に跪く魔導騎士2人。シートライ、メビウスだ。



「なんたる失態!1度は手に入れたものを逃すなどあってはならん事だ!」



「…セトレアには停職を申し渡しました」



「ぐぬぬ…すぐに探し出せ!いたるところへ指名手配書を配れ!もちろんワイバーン便でな!そして兵もだせ!何としても捕まえるのだ!」



「しかし、ティリア王国の監視を…」



世の中はうまくいかない。



そんな事をこの国の王は痛感し、歯を噛み締める。



「…仕方ない。できるだけ兵を…」



王がそう言いかけた時、扉が開く。



普段ならありえない。扉が開く時は騎士があらかじめ伝えられるはずだ。しかし、そこから入ってきたのは…



「はーい。そこまで」



「…誰だ?」



「ん?だぁれ?」



「国王様。この人たち外へ出してくれる?」



その女性は後ろで引きずる騎士を軽く2人の魔導騎士の前へころがす。



「挑発…ですかな?」



「どうやってぇ入ったかぁ知らないけどぉ、

私たちをぉ前にぃ…こんな事をして許されるとでも?」



いつものようにだるそうな口調だったメビウスは途端に戦闘体制に入った。その横のシートライも自慢の杖を構える。



「んー、ヒストリア・ヘイム」



「な!?」



「どうしました王」



王はシートライの問いに答えない。よほど驚き言葉を失っているように思える。



しかし、振り絞るように出した言葉は「出て行け」という言葉だった。これは侵入者にではなく、2人の魔導騎士に向けてだった。



「しかし!」



「いいから出て行け!」



「「はい…」」



その部屋を後にする魔導騎士。



「いい判断だ。あのままでは彼らは殺されていたよ」



「…まさか伝説が本当に存在したとは」



「偽名とは思わないの?」



「それで脅してくるのは、他国の王族。もしくは伝説本人…生憎わしらは他国の浸入を許すほど甘くはない」



「よく分かっているね。じゃあ、本題。君たち、化け物みたいな魔力を持った者を保有してるね。それをこちらに渡してほしい」



色っぽい目線を王へ向け、怪しい笑みを浮かべる。だが、彼女を包んでいるオーラは闇のように深い黒。ここでおめおめと渡すわけにはいかない。



王は人を見る才能があった。正確に相手を見極め言葉を選ぶ。



「それは出来ません。彼は罪人。まだ刑期には時間があります」



ここで彼を保有していない事を知ると何かしらの害があるに決まっている。



「ロキ様がいち早くお会いしたいと…せっかく異世界から連れてきたのに一度も見てないと嘆いております」



「…異世界?」



「…ふふ、今日は帰りましょう。あなたの度胸に免じてね」



王の嘘は簡単に見破られた。それに驚き、次の言葉が出てこない。



しかし、彼女は扉から出て行く。外で待っていた者が代わりに入ってくる。



「…さっきの者は」



「出て行ったわい」



「しかし姿が…」



やはりあの者は相当な実力者だ。恐らくこの国の騎士をあげても厳しい戦いになるだろう。



「ふぅ…ひとまず命拾いしたのぅ」













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