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第33話〜VSセトレア

「ハンターカードの偽証により、逮捕する」



突如言い放たれた王の言葉。



それに広場は動揺していた。名前を呼ばれた俺自身も驚いていたほどだ。



「い、一体どういう…」



「取り押さえろ!」



司会者の疑問には答えることはなく、次は国王の後ろにいた騎士が叫ぶ。






その叫びに答えるように観客のいる場所から次々と姿を現わす騎士たち。この言葉を待っていたかのようだ。



「なんなんだあんたら?今は祭りの…」



「これは国家を揺るがす事態ゆえ、口出しはせんでもらおう」



観客の1人が舞台に歩み寄る騎士に文句のようなものを言おうとすると、すぐにその口を騎士の1人が止める。



「どういうことだ?」



「説明された通りだ。貴様は重罪である偽証を犯したのだ」



「はぁ?」



「潔くお縄についてもらう!」



激しい地鳴りと共に広場を駆け抜ける騎士たち。それと反比例し、その場から逃げる王都の民。



「おい、なんのことだよ!」



とりあえず最初に到着した騎士の足を刈り、その場にこかす。それに続く剣を抜く騎士の一撃を鞘に収めた状態のドレインで受け止める。



やはり、この一撃は重い。強化されていない俺では支えきれないほどに。



たまらず俺はドレインを少しだけ抜く。



「うぉ!」



それにより俺の魔力は吸い取られ、代わりに俺の肉体は強化される。そして、いとも簡単にその剣をへし折る。



「私がやるよ。君たちでは相手にならないからね」



それを見かねたセトレアが王と共に並び、こちらに飛び降りてきた。



そして、流れる動作でその腰の剣に手をかける。



「し、しかし!」



「相手になるどころか話にもならない。早く下がって」



「我々にも誇りが…」



「誇りでは何もできないんだよ?」



心ないセトレアの言葉に何も言い返すことのできない騎士たち。その剣は強く強く握り締められていた。



「…で、俺が何したって?」



「心当たりはないのですか?」



少し微笑みながら、剣を抜く。



正直な意見を言うと今こいつとはやりたくない。なぜなら疲れているからだ。さっきの対戦で俺はだいぶ魔力を消費してしまい戦える状況ではないからだ。



ただでさえ王国最強と謳われる魔導騎士の1人であるセトレア。分が悪すぎる。



「さて、私相手にどこまで持つかな?期待してるよ」



悪意のこもった顔。何もそれはセトレアだけではない。下っ端の騎士は何も知らされてないのかもしれない。しかし、セトレアの飛び降りてきたテラス。



そこにいる全員とまではいかないがその顔をしている。



「へぇ、最初からこのつもりだったのか。それに逮捕するのが目的じゃないと見える」



「いや、確かに捕まえる事が目的だよ?ただ漠然とそうするわけではないけどね」



「捕まえてなんかしようってか?洗脳か?脅迫か?どちらにせよ理由はサッパリだがな」



「それはお楽しみってところだね。おとなしく捕まれば早く知れるし、痛くもないよ?」



俺は腰を低くし、相手の出方を伺う。



「仕方ないね、なるべく無傷でって言われたけど、少し怪我をしてもらうよ?」



一歩、そう一歩だけ前に進んだ。確かにそうだった。相手の剣もリーチはそこまでないし、いつも日常的に歩くのとなんら変わりない行動だった。



神経を研ぎ澄ませ、警戒の網を張り巡らせていた。なのに…



「ガラガラだねぇ」



「---ッ!」



セトレアは俺の懐で俺の顔を見ながら笑っていた。あの間合いをたった一瞬で詰めてきたのだ。



俺はそれを見た後声にならない叫びをあげ、激しい吐き気に襲われた。



「はぁはぁ…まじかよ…」



「大したことないね。君もドレインも」



「言ってくれるじゃ…あ…れ?」



激しく視界が歪む。さっきみぞおちに食らったのとはまた違う吐き気に襲われる。



立っていられなくなった俺は思わずその場へ両手両膝をつく。息を荒げ、こみ上げてくる吐瀉物を必死で抑える。



「君は天才だ。ここまで剣術や体捌きを無視して来れたのは君の持っている才能のお陰だろう」



「…はぁはぁ」



「でもね、私から見れば隙だらけ、子供の喧嘩を見ているようだよ。それに魔力の込め方もまさに素人だ」



彼女のバカにしたような言い方に文句を言う暇はない。それだけピンチだからだ。しかしそれ以上に納得いかないことがある。



「ドレインで…強化されている筈なのに…」



今の状態にあるのはおそらく顎を強打されてこの原理で脳を揺らされたからだろう。



だが、最初の鳩尾への1発。これはドレインの肉体強化で防げてもいい筈だ。



そんな俺の疑問に答えるようにセトレアは指を二本立て口を開く。



「1つ、君の魔力の質が悪い。量で誤魔化している。2つ、魔力の反映が下手。だから隅から隅まで強化されないし、隙ができる」



丁寧に説明をするセトレア。その真意が分からない。なぜ今から捕らえる者にその様なことを教えるのかこの時は全く分からなかった。



「…なんでそんなこと…うっ!」




歪んだ視界は首の後ろに突然やってくる強い衝撃により暗闇へと変わった。









---ここは王城の王が鎮座する間。



そこには偉そうに椅子に座っているこの国の王。そして、その目の前で片膝をついている魔導騎士3人。



訳あって今回は3人しかこの祭りの開催に参加できなかった。なのでここにいるのは参加した魔導騎士。



【セトレア】【シートライ】【メビウス】の3人だ。



「無事捕獲しました」



「ご苦労だったセトレア」



「ありがたいお言葉です」



王はこの結果に満足した様に笑みを浮かべる。特に「無事」という部分が強かったのだろう。



「なぁに?それぇってぇそぉんなに嬉しいのぉ?」



「メビウス言葉を慎みなさい。今は王の前ですよ」



「はぁい」



「…………」



やる気のない言葉遣いをするメビウスを厳しくセトレアが注意する。



「で、今後はどうするんだい?セトレア。彼が素直にこちらの兵力になってくれるかな?



「その点は心配ないよこちらにはとっておきの枷があるからね」



シートライの問いかけに立ち上がり答えるセトレア。



「まぁ、良い。それよりシートライ。ティリア王国の様子はどうじゃ?」



「表立っては何もしておりません。しかし、東方面で大型の魔物が多数目撃されている様です」



「魔物使いの可能性があるか…そうか」



王は少し考え、首をかしげてから「ご苦労だった」と言う。



するとセトレアが何かを思い出した様に口を開く。



「しかし、なぜ王国誕生祭の後とおっしゃっていたのにハンターフェスの直後にしたのですか?」



「そのつもりだったが、あのワイバーンを捕らえたのを見てしまってはそうもいくまい。念のため配置してあった兵が役に立ったわい」



「私がやったのですが…」と言う言葉は飲み込んだセトレアだった。



「では、セトレアよ。あの者に枷とやらをつけて来い」



「は!」



そうしてセトレアは牢獄へと向かう。














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