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第22話〜王都の守り人


俺たちはハンターフェスの参加申し込みをするためにギルドに向かっていた。いや、向かっているはずだった…



「なぁ、ここどこだ?」



「大丈夫なんですか?」



「……………」



「一体どこに向かっているんだっけ?ミーナ」



何も答えないミーナに悪意のこもった質問攻めをする俺とルナ。2人とも顔をニッコリとさせながらジリジリとミーナのメンタルを削っていく。



「ご、ごめんなさい…」



「はぁ…馬鹿…」



「ですね…」



「し、仕方ないじゃない!今回で2回目なんだから!」



そう…俺たちはギルドに向かっているはずだった。しかし、今いる場所は何故か墓地のようなところ。周りにはギルドのように大きな建物どころか民家のような家もないというところに来てしまった。



何故こうなってしまったのか…






---遡ることおよそ1時間前〜



俺たちは王国誕生祭の娯楽の1つハンターフェスに関する張り紙を見つけ、その申し込みのためにギルドへ行こうとなった。



「で、ギルドはどこにあるんだ?」



初めて来る場所。何も知っているはずのない俺は2人の顔を交互に見ながら問いかける。



「いえ、私も初めてなので…」



申し訳なさそうに下を向くルナを横目で見ながら自信満々にミーナは口を開く。



「私が案内するわ!任せて!」



「大丈夫か?」



「大丈夫!大丈夫!前にも来たことあるから!」



多少の不安を残しつつもやはりここでは一度来たミーナの方がここの地形に詳しいだろうと思い、俺とルナはついていくことにした。






---そして現在…



「来たことあるって…まだ二回目かよ…」



これからのことがますます不安になってくる。



この王都はアイリス以上の大きさを誇る都だ。俺もあのアイリスの地形はギルドへ行く道と大衆浴場と診療所の道しか覚えてはいなかった。それ以上ともなると覚えるのは大変だろう。似た道も多いし…



ミーナを誰も責めることはできない。あんなに自信満々な態度をとらなければの話だが。



「レンさん…どうします?誰もギルドの場所が分からないですよ…」



「そうだなぁ…」



「ごめんなさい…」



アイリスの時の俺はとても運が良かったのだ。たまたまアイリスのギルドが分かりやすく、単純な道で行けれるようになっていたし、宿も金もすべてが流れるように調達できた。



ここの牢獄の時もそうだ。街に入ってから1番に目につく高い場所にある王城。それはここのシンボルと言わんばかりの大きさで見失うことのない目印だ。



街の人に牢獄の場所を聞けばすぐに王城の近くと答えてくれた。これでも大雑把な方だが

周辺を散策して見つけることができた。



しかし今はどうだろう。ミーナの言う通りについてきた結果、人どころか建物もないただの墓地のようなところへ連れてこられた。これでは人に聞くことも出来ない。



「仕方ない。来た道戻るか…」



「はい」



「はい…ごめんなさい…次こそは!」



「ダメだ。人に聞くぞ」



「分かりました…」



あからさまに元気をなくすミーナ。肩を落とし、とぼとぼとついてくる。



そして俺たちは元来た場所を遡り、大きな通りへ出た。



「やっと出たな…」



俺たちの歩いてきたところは半分以上路地だった。このような大きな通りはあまり通らなかったため、随分と遡る必要があった。



「そういえば誰に聞くんですか?」



「誰にって…それは…」



俺は適当に話しかけてみる。最初は鎧を着て、大きな剣を背中に背負っている男。



こんな奴はギルドでもよく見かけていた。なのでこのような格好のやつにはハンターが多いと思ったからだ。



しかし、結果は…



「無視…」



「それはそうよ」



呆れたように腰に手を当て、言い放つミーナ。それを気にもとめず再びトライする。



しかし結果は、無視、無視、無視…最終的にはトカゲのような男に剣を抜かれる始末…



ここに来て初めて異世界の洗礼のようなものを受けた。とにかく自分の利益にならないことはとことんしないのか一般的らしい。



それはやはりこの世界のルールオール自己責任からくるものだろう。



「やはり騎士などに聞いた方がいいかと」



「これだけダメだったのに騎士様は教えてくれると?」



「そうよ、騎士はこれも職務なの」



「へぇ〜」



あまりの対応に俺は肩を落としつつ、騎士を探す。騎士は時々この辺を巡回しているそうなので早く見つけたいところだ。だが…



「本当にいるの?」



「えぇ…前来た時は赤い制服の人たちがいたわよ」



「じゃあ、前もこの辺きたの?」



「う、うん…前にも迷っちゃって…」



「…………」



思わぬ告白に白目をむきつつも、騎士を探す。すると…



「おやぁ?もしかして…グリムの…」



後ろからそんな声が聞こえてきた。男の声だ。



「誰だ?」



俺たちは少し警戒しつつもゆっくりと声のする方へ振り向く。



そこには赤を基準とした制服を身にまとい、腰に剣を携えたキツネ目の男が立っていた。



「あなたをグリムを仕留めたレン殿とお見受けしますが?」



その常に閉じられているような目を少しだけ開き、俺に向かって(・・・・・・)言ってきた。



「だったらなんだ?」



「おお、やはりそうでしたか。いえね、私たち今ある酒場で飲んでおりまして、ちょうどあなたの話題が上がっておりました」



俺の(・・)?」



「ええ、どうです?我々騎士にあなたのお話をお聞かせ願いたい」



その長い茶色の長髪を1つに束ねたものを方の前から後ろへやり、再度その細い目を少しだけ開く。



「いいじゃない!しかもちょうどいいし」



「そうですね、行きましょう!」



「では決定ですね、さぁ、こちらへ」



俺たちはそのキツネ目の騎士に連れられ、路地の奥へと連れて行かれた。






---しばらく歩いているとさっきの通りとはまるで反対の静かな大通りに出た。



ゴーストタウンかと思えば、屋台の炭が地面にこびりついていたり、屋台の紐を固定するための金具がそのままになっていたり…



「皆さん、着きましたよ」



急にある建物の前で立ち止まり、こちらを振り返り、その細い目を再び少しだけ開ける。



扉を押し、「ギーッ」という音とともに中へ入る。



そこには丸いテーブルがいくつかあり、その至る所には厚い鎧を纏い、頑丈そうなフルヘルムをかぶった大男が何人も座っていた。



そこは俺の知っている酒場にしては静かで、何だか空気がピリピリしている。



「では、座りますか」



「「はい」」



「…………」



俺たちは空いている中央のテーブルに座った。



「いや、長く飲んでいて話のネタが尽きてしまいましてね。どうかあなたの武勇伝をお聞かせ願いたい」



「分かった。でもその前に俺の質問に答えてほしい」



「はい、別に良いですよ」



俺は立ち上がり、辺りを見渡しながら口を開く。



「誰の命令だ?」



「はい?」



「ちょっと何言ってるの!?」



「そ、そうですよ!」



焦りながら小声でこちらに向かって言ってくるが俺は止めない。



「なんのことです?」



「あんた何で俺が(・・)グリムを倒したことを知っているんだ?」



「ん?それは王都で噂が…」



「何言ってるんだ?アイリスでは俺ではなくミーナが倒したことになってるんだ。事実を知っているのは、ここの3人とアイリス家…あとあの龍乗りかな」



「龍乗り」という単語に眉を上げるキツネ目の騎士は口元を少し引きつらせながら俺を見上げる。



「それにここは最近まで人がいたような痕跡もある。急にたちのいたのか?だったら、騎士だけじゃなく王都ぐるみか?」



キツネ目の顔は笑っている。だが、その額には血管が浮き出しており、怒り心頭なのが手に取るようにわかる。



それを感じ取ったのは俺だけでなくミーナとルナもだった。2人は俺の服の裾を引っ張り無言で止めるように訴えてきたが、それでもやめない。



「それに…お前たちは酒を飲むとき顔を覆うほどのヘルムをかぶったまま飲むんだな」



辺りが静まり返り、カチャカチャと周りから音がする。恐らくもともと手元に置いてあった武器を手に取っているのだろう。



「ははは…いや〜恐れ入りました。腕も立つ上に頭まで回るとは…」



キツネ目の騎士は笑いながら両手を上にあげ降参のポーズをとるが目はこちらをしっかり睨んでいた。



「そうです。私【ハイル・ルーンナイト】は微力ながらこの騎士団の団長を務めさせてもらっています」



「へぇ…それで?」



「はい、これはあなたの言う通り王国の命令です。最初はそちらのミーナさんだと思っていたので放っておいても良いと思っていたのですが、聞けばあなたがやったと言うではありませんか」



「あんたは俺らの監視+グリムを確実に運ぶために派遣されたのか」



「はい、我々、王都の守り人はこの王都を守るためにいます。より確実に安全を確保するために派遣されました」



ペラペラ自分の国の内情を喋るこいつに違和感を持ちながらも、できるだけこの王都が自分たちをどのように認識しているかを知らなければならない。



「でも、今分かりました」



そう言って急に腕を下す入ると呼ばれる者。



「あなたは危険だ」



「キィーン」という金属音が狭い酒場に響き渡る。剣と剣のぶつかり合いだ。



俺は切り掛かってきたハイルの剣を即座に抜いたドレインで受け止める。



「クソガキが!全くのうのうと能弁たれやがって!」



さっきの丁寧な口調はその男から消え去り、荒々しく乱暴な口調になり、その顔は怒りに満ち溢れていた。



「本当にイライラさせられるぜ!ダラダラダラダラ喋りやがって!」



「…それがあんたの本性か?」



「あ?調子にのるなよ?俺にはなお前を殺す権限が与えられてるんだ」



額に血管を浮き出し、敵意むき出しの眼差しでこちらを睨みながらも交えた剣の力を緩めない。周りにも剣を持ったやつが腰を低くし、戦闘態勢に入る。



「あんた遅いよ。グリムよりパワーはないし」



そう、俺の手にはドレインが握られている。ノーマルの俺では確かに両手で受けないとダメなくらいの力だ。だか、今の俺には何も感じないほど弱々しい攻撃にも思える。



「ぶっ殺す!」



一旦剣をさげ、再び踏み込みを入れこちらへと斬りかかる。それは何か型のような者があり、手数が異常に多い。だが、パワー、スピード共に劣るハイルの剣は俺に届くことはない。



「騎士団長ってのはこんなものか…」



「クソガキが!」



再度踏み込みを入れるハイル。しかし、それは次に聞こえる声により静止する。



「はーい、そこまでぇ」



突如聞こえる謎の女性の声。その瞬間辺りの空気が一変する。



「喧嘩はダメだよハイル」



俺に向けられた言葉ではないが、その名前だけを強調した言い方は背筋が凍るようだった。



声のする方向に目をやる。



そこには白い制服に身をまとった美しい緑色の長髪の女性が立っていた。








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