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第21話〜王都到着

「お客様たち見えてきましたよ」


「やっとか…」


龍乗りはこちらを向いて前に指を指している。その方向には大きな城壁。しかし、アイリスのものよりも頑丈そうに見えるのは王都だからという勝手な思い込みをさもあるかもしれない。


「やっと…ですね」


「だね…」


「た、助かった…」


やはり慣れていない乗り物は座っているだけでも疲労やストレスが溜まるものだ。これはこの世界でも同じらしい。


特にグリムは…


「降りますよ」


龍乗りはそう言うと素晴らしい操縦テクニックでワイバーンを操り、ゆっくりと下降していく。


「到着です」


「ふぇ〜…疲れたぁ」


俺たちは王都の城壁の前に降ろされたが、その前に広がっている草原で腰を一斉におろした。


「頼むから…俺も…くっくっく…」


グリムは壊れた様に笑い出す。それは奴の異様な体格と混ざって一層不気味だった。


(相当疲れたんだな…)


「よし、行くか…」


「「はーい」」


そして俺たちはグリムを尻尾から外し、ペットの様に城壁の中へと連れて入る。






---グリムの引き渡し場所は王国騎士団の管理している牢獄である。


牢獄と言っても、罪人以外にはその牢獄は見せられないらしい。だから、俺たちはそこの受付まで送り届ける。


「ここか…」


札に何か書いてあるが、全く読めない。恐らく牢獄をほのめかす言葉が書いてあるのだろう。


「中に…入るか」


俺たちはゆっくりと中へと入る。この時は俺以外が口を開くことがなかった。


中に入ると薄暗い受付が待っていた。辺りは肌色の四角いプロックで覆われ、その壁には松明がさされていた。


「あのぉ…すみません。賞金首持ってきたんですけど」


するとそこに座る厚い鼠色の鎧とフルヘルムの兜をかぶった騎士が明らかに不機嫌そうな顔でこちらを向く。


「なんだ?」


(なんだ?この態度は…こんな奴ばっかりなのか?)


しばらくその憲兵は俺の顔を眺めている様だったが、ふと右に視線をやった途端に「うおっ!」という叫び声をあげ座っている椅子ごと後ろへと倒れた。


「グ、グリム…グリムだぁー!」


そう言ってそのでかい図体を跳ね上げ、重そうな鎧をカシャカシャと鳴らしながら奥の部屋へと入っていった。


「な、なんだ?」


「さぁ?」


「分かりません…」


するとその騎士は程なくして部屋から出てきた。初めは1人で入っていったが出る時にはもう1人の男であろう人物と一緒だった。


顔まで覆っているのでよく分からないが、堅いや大きさなどから男と推測できる。


「部下が取り乱してしまい申し訳ありません」


ひどく低い声で部下の非礼を詫びる。もしかしたらこいつは逃げた騎士の上司なのかもしれない。


「ではグリムの身柄はこちらで預からせてもらいます。お勤めご苦労様でした」


確かグリムはSランク指定の犯罪者だ。さっきの騎士が逃げた理由もこれで納得いくだろう。


しかしこいつはグリムを見ても顔色ひとつも変えなかった。自分の腕はグリムよりも立つと思っているからこそできる振る舞いだろう。


いや、もしくは俺みたいに無知なだけかも…


「じゃあな…」


「ああ」


グリムは手錠をはめられ、最後に両手をあげ、別れの挨拶をいう。それに答えへ俺も一言。


「では、賞金を…」


グリムは上司っぽいやつに奥へと連れて行かれる。そして下っ端っぽい騎士は俺たちに皮の袋を渡してきた。


じゃらじゃらと音がする袋の中を開けてみると…


「…………」


「「…………」」


「何か御不満な点でも?」


俺たちは絶句してしまった。これはある意味恐怖かもしれない。


袋の中には眩しいほど光り輝く大金貨の姿があった。金貨じゃない…大金貨だ!


前に一度この4種類の通貨を計算してみたことがある。これは銅貨一枚が日本円で100円とした場合だ。


なぜ100円と決めたかというと屋台の串焼きが5枚で一本という事から決めた。


祭りとかでもだいたいそのくらいだからな


10枚ごとに繰り上がっていくこの通貨を計算すると…


銅貨…100円

銀貨…1000円

金貨…10000円

大金貨…100000円


急に冷ややかな汗が頬を伝ってくる。


「全部で300枚あります」


「はわわぁ…」


額に手を当てて後ろへ倒れようとするルナを俺とミーナで受け止め、牢獄を後にした。





「う、うぅ…」


「目が覚めたか?」


ルナはショックで気絶してしまったので俺が仕方なくおぶって運んでいた。そしてやっとの事で今目覚めた。


「す、すみま#%°$<…」


訳のわかからない言葉を発し、俺の背中でさらに小さくなる。


「歩けるか?」


「まだ、無理かもです!」


元気よくきっぱり否定するルナ。そんなに元気なら歩けると思うんだが…


「ルナは私が持つよ」


そう言ってきたのはあんまり言葉を発しなかったミーナだった。


笑顔を浮かべながら俺をしたから見上げてくる。しかし、その笑顔は全く目が笑っていなかった。


「ル、ルナは重たいから…男の人の方がむ、向いてますよ…」


「私も力強いから」


「どっちでもいいじゃないか、そんなくだらない事…」


「「レン(さん)は黙ってて(下さい)!」」


突然息ぴったりの2人。やっぱり女の団結力はこの世で1番恐ろしいかもしれない。


睨み合う2人。それを見学している俺を見ている王都の人々。


口に手を当て、隣の人と何やらコソコソと話しているおばさんや迷惑そうにこちらを見ているだけの店の店主。


その視線に耐えきれなくなった俺はミーナの手を引き、人気の少ない路地に入る。


「ど、どうしたの?」


「どうしました?」


「どうしたじゃないだろ!お前たちにはあの視線を感じなかったのか?」


顔を見合わせ、お互いに首をかしげる2人。そんな光景を見ながら軽く溜息をつく俺…


(こんなのでやって行けるかな…)


先の事を見据え不安に駆られる。するとミーナがいきなり声を上げる。


「あ!」


「どうした?」


ミーナが向いた方向に俺もルナも目をやってみる。そこには、1枚の張り紙がしてあった。それを見たルナも「なるほど」といい、何か納得したようだった。


「この紙がどうかしたのか?」


俺は字が読めない。よってここに書いてある絵からしか推測する事ができない。


その絵というのはドラゴンらしき巨大な生物の頭に足を置き、剣を空高くかざしている絵だった。


「え、まさか知らないの?」


「悪いかよ」


「いや、知らない人がいるんだなぁって」


「ては、私が説明しましょう!」


そう言って手を大きく上げるルナ。それに対抗し、ミーナも「いや、私がする!」と言って大きく手を挙げた。


教えてなくれるのならどてらでもいいが、あんまり説明が下手な方は嫌だな。


2人が話し合った結果、交互に説明しようという事になった。


(これは聞きずらいな…)


しばらくして本当に交互に喋りだしたので、俺は顎に手を当て、説明された事を頭の中で整理してみる。


まずこの張り紙は王国誕生祭が10日後に開かれる事を知らせる紙だった。


この張り紙は何種類かあり、ここにあるのはその誕生祭で行われる「ハンターフェス」の事についてだった。


ハンターフェスとは毎年行われる王国誕生祭に欠かせない行事で、ハンターと書かれているが、参加者はハンターを含め、大工、商人、さらには騎士まで参加するという。


フェスの内容は毎年同じで、1番大きなドラゴンを倒したり、捕獲したりしたものが優勝だそうだ。


賞金、賞品は毎年違うそうだが、今回の賞品は魔導騎士試験の参加資格だそうだ。


「ふぅ…」


さらに続く。


魔導騎士とはこの国最強の騎士の位である。

街を守る、憲兵。王都を守る騎士。そして国全体を管理する。魔導騎士。


魔導騎士はそれぞれが、騎士団を作る事を許されている。それは試験ではなく指名で入るそうだ。


現在魔導騎士は6人いるらしい。


「結構な情報が手に入ったな」


「え?何か言った?」


「情報?」


「いや、何でもない」


我ながら自分の事を尊敬する。だってあんな膨大な量の情報を瞬時に整理し、理解する事が出来るのだから。


するとミーナが突然口を開く。


「ハンターフェスに参加するならハンターギルドに行かないと」


「そうですね。レンさん参加します?」


「もちろん」


俺はニヤリと笑みを浮かべ承諾する。


目指すはギルド。この祭りに参加するために。










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