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⑷ おじさん、お話しがあります

 マンションに戻り、時計を見ると9時をまわっていた。

 明里は、まだ帰っていない。

 何時頃になるのだろう。

 話は、明日にするか……。


 丁度その時、玄関のカギが開く音がした。

 明里が帰ってきた。

 少し息を切らせている。駅から小走りで帰ってきたようだ。


「ごめんなさい。夕食、済ませましたか?」

 明里は私の顔をみるなり言った。

「ああ、済ませた。明里は?」

「私も済ませました」

 ……夕食……済ませた?……1人でか?


 明里は自分の部屋へ入り、持ち物を置いてリビングに戻ってきた。

「おじさん、お話しがあります」

「……はい」


「実は食事などで、ご一緒した男性がいます」

 ……ああ、私から話すつもりだったが、明里から切り出してくれた。


「今日、その方に交際を申し込まれました」

 私は俯いたまま言葉を返した。

「……ああ」


「おじさん、やっぱりその事、知ってたんですね!」

 厳しい口調で責められた。


 私は明里と目を合わさずに言葉を返した。

「明里の大学近くのファミレスで、偶然見かけた」


「なんで言ってくれなかったんですか!」

「うん……まあ……」


「だから、最近私を避けていたんですね!」

「今日……その件で、明里と話し、しようと思って……」


「話って……話ってどんな話をするつもりだったんですか!」

「まあ、明里を……これ以上、束縛してはいけないと……」

「今日、その方にはっきりと、お断りしてきました!」


「……えっ?」

 顔を上げると、明里は大粒の涙を溜めていた。


「なんでおじさんは、私を信じてくれないのですか!」

「いや……楽しそうだったし」


「大学入ったら色々な人から、色々学んで欲しいって言ったの、おじさんじゃないですか!」

「いや……その……その時の、相手の男性に向けた明里の笑顔が……私は初めて見たなーと」


「あんな作り笑顔、おじさんに向ける訳ないでしょう!」

「……そうなの?」


「私、怒ってます」

「あの……明里さん?」


「私、すんごく怒ってますから!」

「明里さーん」


次回:私、怒ってます!

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