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あなたは神を信じますか?  作者: 唸れ!爆殺号!
第7章 ミステリーオブラウンズ
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95話 大怪盗の後始末

草原をひた走る。遠く離れ、今しがた巨大な光に飲まれて消えた、聖ケトラコル城の在処へ。


「はっ……はっ…………主…………皆…………!」


城から離れ、ソーニャといた私の所にまで爆風は及び、しばらく身動きすら取れなかった。しかしそれも止んだ今、一刻も早くあそこへ向かわねばならない。主は死なないが……他の仲間たちは、死ぬかもしれないのだから。


しばらくひた走り、ようやく城周辺までたどり着いた、その場にあったのは…………


「主…………あ、主…………か?」


頭から地面に突き刺さった主の姿だった。


「あ、ヨミ?ちょ、一旦助けてくんない?腕まで埋まっちゃって出れないんだけど」


くぐもってよく聞き取れなかったが、代わりに共鳴石が正確に言葉を伝えてくれた。結局正体がバレたあともドレスでいたためパンツが丸見えだったが、心を虚無にして引き抜いた。


「主……無事でよかった…………み、皆は!?どこに……」


ふと主が指を指す。その先には。


「…………っ!皆……!!」


ソルスの結界に包まれ、無事生還した者たちの姿があった。



「結局、なんだったんですか?」


「…………どれの話?」


聖ケトラコル城は消滅した。魔力を吸収する神器に溜め込まれた魔力が暴走……というより、爆弾になって爆発した、と言った方が正しいのだろうか。正直なところ、俺にもよく分かってない。


「全部ですよ、全部」


更地になった聖ケトラコル城跡では、既に多くの賓客は帰宅の準備を始めていた。先程爆殺されかけたというのに呑気なものだ。かく言う俺も、こうしてメリルとだべっている訳だが。


「全部ったってお前、色々複雑に絡まってただろ。ま、大元はどうやら魔王軍らしいけど」


先程ようやく帰ってきたヨミによると、やはりペドロさんの私兵を殺害していたのは魔王軍で間違いないと言うことだった。どうやら幹部とか言うのが来ていたらしい。この爆発もそいつの仕業とみて間違いないそうだ。


今回、ヨミにしては珍しく情報を沢山持ってきてくれた。いや、むしろ俺たちが得られた情報が少なすぎた。


ヨミの話を統合すると、今回の経緯はこうだ。


一 魔王軍によりノーラさんが『吸収の呪い』を手に入れる。

二 ノーラさんと、パルタゴンの偽物が送り込まれる。

三 ノーラさんが事件を起こす。

四 できる限り引き伸ばし、魔王軍の行軍を成功させる。

五 俺が事件を解決。

六 ノーラさんとパルタゴンが逃走。

七 聖ケトラコル城爆破。


まぁ一言で言うと、今回の事件は虎の子に過ぎず、本命は城の爆破だったというわけだ。


そして奴らの最大の誤算は、俺でもソルスでもなく、『自分たちから攻める姿勢』を見せたことだ。それによって恐怖を持たせるのは目的の内の一つなのかもしれないが、むしろ逆効果だ。今回の件によって、各国は結束を強め……魔王軍幹部が関連するような有事の際、早急に俺の元に依頼が来ることが決まった。


つまり、これまで巻き込まれるように戦ってきたが、今回からは自分から突っ込む形になるわけだ。俺たちとしても気を抜いてる時に来ず、むしろ準備して戦闘できると考えるとかなりありがたい。


「それにしても……なんか後味が悪いですよね。ノーラさんは逃げ、城は吹き飛ばされ……手のひらで転がされてる感じがしますね、すごく不快です」


なんか独裁者みたいなことを言い出すメリルを他所目に、俺は考えていた。


あの神器は何だったのかと。


千年前の賢者の持ち物……そういえばこの城もそいつが建てたんだっけ、それが城中にばらまかれていると、報告した奴がいるはずだ。それにあの神器、メリルたちがマイルドンによって説明を受けただけで、ここに置かれていた本当の理由は分かっていない。


もしや敵方に、千年前の賢者がいたりして。


ないない、千年前でしょ?死んでるって…………


「そういえば、俺って不老不死だよな」


「いきなり何を言い出すかと思えば。あの時生き返ったんですし、そうでしょう?」


「じゃあ、俺以外に不老不死のやつはいない訳?」


「不老不死スキル、ですか…………太古の文献で確認できるだけで、その実在は長らく信じられてきませんでした。リンくんが結界村から出てくるまでは……ですが」


「なるほど……じゃ、少なくともそれに類する者は?不老スキルとか、不死スキルとか」


少々考え込む様を見せ。


「確か、不老スキルは何例かの報告があったはずです。不死スキルとなると、もはや魔獣ですね。アンデッドのモンスターです」


…………ということは、だ。もし、千年前の賢者が不老スキルを持っていたら…………


考えたくもない。よし、強引に思考を転換しよう。


何かないかと周囲を見渡し…………何かが足りない気がする。


「イレーヌどこ行った?」



「お姉様、お兄様と結婚してください」


「はぁぁ!?!?!?」


アリアに呼び出され、話を聞けばこれだ。一体なんだと言うのか。


「いきなり何言ってるの!?そんな……け、結婚だなんて…………」


「お姉様…………敵は強大です。特にメリルさんは…………最大の障壁と言っていいでしょう」


「話聞いてる!?」


前までは大人しく、聞き分けのいい良い子だったのに、どうしてこんな子に…………


「お姉様…………私、お兄様が大切です。ですが、私ではきっと、お兄様の、一番深いところを掬ってあげられません。ですから、お姉様。お兄様を……守ってあげてください」


あの人を守る……世界最強を?


まぁ、言わんとすることは分かっている。時折見せる、弱く、脆い姿……あのことを、言っているのだろう。


「お姉様ならできるはずです、私よりずっと、お兄様のそばにいたでしょう?」


「それは、そうだけど……だからって、そんな一足飛びに結婚なんて……」


「一足飛びでなくとも構いません、最終的にゴールインすれば良いのです!」


すごいことを言い出した。


「わ、分かった……分かったから!…………そりゃ、私だって……」


と、言葉が漏れたのに気づき、顔が熱くなる。


「お姉様…………頼みました」


「…………頼まれたわ」


アリアに言われたから、だけではない。私個人の想いと、アリアの想いを乗せて……最後は私が、あの人の隣にいたい。そう、決意するのだった。



遂に日も落ち、あたりは暗くなった。結局半日ほど崩壊した聖ケトラコル城跡に居座っていたが、他のほとんどの貴族は帰った。


「我々も帰るとしよう。しかし……行きで乗っていた馬車も、吹き飛んだそうだな」


グレイが俺を見る。


……はいはい、分かってますよ。


「あ、君たちはドラゴニアに飛んでから帰るのかい?良かったら僕らも送ってもらおうと思ってたんだけど……」


マテリア国王夫妻が声をかけてきた。あんたらもかよ……


「はいはい、皆さん送りますから……」


結局イレーヌは見つからなかった。来るだけ来て俺にバレ、事件の解決を手伝い、最後に消えたあの少女は……一体何がしたかったのだろう?


そんな謎を胸に抱えつつ、仲間たちが集まってくるのを待つ。


最後に来たのはユリアとアリアだった。ユリアと目を合わせたら顔が真っ赤になったのだが、一体なんの話をしていたのだろうか?


「それじゃ行きますよ……『テレポート』!」


こうして、今回の事件は本当の意味で幕を下ろしたのだった。



聖ケトラコル城を外れ、少し歩いた先。


荒い息を吐きながら、少女は座り込んでいた。


「えへへ……魔女様が、私を守って……私の身を案じて、私のために……あぁ、何と言う幸せ…………」


純白の髪に純白のスーツ、そして純白の毛の猫の獣人……人呼んで大怪盗、イレーヌ・ペルンは。


上気し、頬を真っ赤に染め……恋する乙女のように。


「やはりあなたは、何よりも美しい…………次こそは必ず……手に入れてみせます!」


一人決意を固めているのだった。

本日、5日連続投稿の第4話目です!そして今回で第7章が終了!長かった!というわけで、今回はアリアと魔王軍復活に焦点を当てた章でしたがいかがでしたか?初めてのミステリーでかなりごちゃごちゃでしたがら楽しんでいただけたのならば幸いです。

そして恒例の謝辞コーナー

ブクマ一件いただきました、ありがとうございます!そして更に、総合PVが14000を突破いたしました!イェイ!

そろそろ100話も近づいてきたことですし……また何かしようかな?それでは、明日も同じく19時20分、第8章の幕開けを、ぜひぜひご覧下さい!皆様、また明日ー

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