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第2385話 歓迎会

4月は出会いと別れの季節。

 ☆亜美視点☆


 4月になりました。

 今日は3日の土曜日である。

 世間では出会いと別れの季節なんて言われている。

 そんな中、私達はというと……。


「姫百合さんの歓迎会と渚ちゃんの送別会になるねぇ」


 今月からこの「皆の家」で暮らす事になる姫百合さんと、今月から京都の実家に帰って和菓子職人になる為の修行をする渚ちゃん。

 2人の歓送迎会を予定している。


「わ、私は別に送別会はしてもらわんでも良いんやけど。 たまには帰って来るつもりやし」

「たまにってどれくらいだー?! 1週間に1回くらいかー?!」


 渚ちゃんとは一番の仲良しで、今は一緒に暮らしている麻美ちゃんが半泣きになりながら聞いている。

 渚ちゃんが居なくなるというのがかなり寂しいようだ。


「いや、それはもう頻繁に帰って来とるやろ……まあ、月一ぐらいでは帰ってくるし、心配せんでええ」

「む、むぅ」

「だはは! ほんまに渚が好きなんやな、麻美っちは」

「うむー」

「何や恥ずかしいからやめぃ。 まあ、そんなわけやから、私の送別会にはせんでもええです」

「うーん。 らじゃだよ! じゃあ、今日は姫百合さんの歓迎会!」

「ありがとうございます。 にしても、本当にしょっちゅう宴会するんですね」

「そうよん! もう、何かめでたい事があればやるわよん」

「うわはは! 今回は私達三山家も来たわよ!」

「きーたー」

「今日はまた人数多いな」


 三山夫妻に可憐ちゃんも来ていて、お昼から既に賑やかだ。


「まだまだ、これだけじゃないですよ。 今日はブルーウイングスの皆も呼んであるので、そろそろ凄い速さで来ると思いますよ」

「凄い速さでって何?」

「あの子達、赤ちゃんズが大好きなので会えるとなれば凄い速さで来ると思いますよ」


 という事で、今日はかなり賑やかな日になりそうである。

 ブルーウイングの5人や青砥さんにその彼氏さんの井口さん、更に今日は弥生ちゃんの彼氏の武下君まで来て、ほぼフルメンバーと言える。


「可憐ちゃん。また大きくなったねぇ」

「なったー」


 両手を目一杯に広げて「大きい」を表現する可憐ちゃん。  

 何とも可愛いらしい姿である。


「あかたんー」

「ん? 赤ちゃんズが見たいのかな? よいしょだよ」


 赤ちゃんズの顔を見たいらしい可憐ちゃんを優しく抱き上げて、ベッドに眠る赤ちゃんズ達が見えるようにしてあげる。


「あかたーん」


 どうやら、赤ちゃんズの名前と顔はまだ一致しないようだ。

 どの子も同じように見えるんだろうか。


「可憐はお姉ちゃんだからね。 しっかりとこの達のお手本になるのよ?」


 と、宮下さんがそう言うと可憐ちゃんは「おてほんー?」と、可愛らしく聞き返す。

 まだ意味はわからないようだ。



 ◆◇◆◇◆◇



 バタバタバタバタ……


「こんにちは! ブルーウイングスの5人! ただいま到着しました!」

「赤ちゃんズ!」


 少しすると、ブルーウイングスの子達が本当に凄い速さで「皆の家」のリビングに駆け込んで来た。

 挨拶も程々に、すぐさま赤ちゃんズのベッド前に集まると、「可愛いー」「もちもちー」等、可愛らしい反応を見せる。


「あ、あはは」

「凄い勢いで来ましたわね」

「だから言ったじゃないですか。 凄い速さで来るって」

「きゃはは! 私は可愛い赤ちゃんを見て可愛い反応を見せるブルーウイングスの子達にテンション上がるわ」


 ブルーウイングスの大ファンである紗希ちゃんは、そんなブルーウイングスを背後から抱きしめて「あー、最高」とか言っている。

 中々に凄い光景である。


「あ、そうだわ。 皆に言い忘れてたけどさ、今日は私の知り合いがゲストとして2人追加で来るわ」

「え? 紗希ちゃんの知り合い?」

「誰?」


 青砥さんと井口さんは既にいるし、柏原君も当然いる。

 はて?


「風花ちゃんとつづみちゃんよ。 姫百合さんが来るって教えたら『遊びに行きます!』って」

「あー、神崎さんがデザインしたVドルの子ね」

「そそ」


 以前顔合わせした時は、姫百合さんがビデオ通話越しだったっけ?

 直接顔を合わせるのは初めてになるという事だね。

 にしても……。


「過去に例が無い程の人数だねぇ」

「ですわね。 一応まだ入るとはいえ、少し窮屈になるかもしれませんわね」


 この広い広いリビングも、遂に「窮屈」になる日が来たねぇ。

 とはいえ、それでもまだ全員が入って宴会をすることは十分に可能ではある。

 何とも末恐ろしい屋敷である。


 この賑やかなリビングを見た姫百合さんは、ニコニコと笑顔になりながら「やっぱり良いですね、賑やかな空間っていうのは」と、声に出した。


「だねぇ。 これからは姫百合さんも私達の一員だよ。 お仕事から帰ってきたら皆がいるよ」

「嬉しいですね」

「なはは! 私もしょっちゅう来るぞー!」

「まあ、皆大体来るよね」

「そうね」

「麻美は私がおらんようになったら寂し過ぎて、ここに来るか今井家、佐々木家に入り浸るしかあらへんもんな」

「うむー!」


 麻美ちゃんは恥じる事も無く頷く。

 こういう時、正直に自分の弱みを曝け出せる麻美ちゃん凄いんだよね。


「何や、私の方が自意識過剰みたいになってもうて恥ずかしいわ」

「だはは! 渚の負けやな」

「だねぇ」

「ぐぬぬ」


 こういうやりとりをすると、大体麻美ちゃんのほうが優勢になるんだよねぇ。

 麻美ちゃん、嘘とか吐かないし恥ずかしいセリフも普通に言うし。


「あ、そろそろ風花ちゃん達が着くみたいだから、お迎え行ってくるわ」

「おお、遂にご対面ですね」

「楽しみです!」


 ブルーウイングスの子達も、Vドル……の、中の人に会うのを楽しみにしているようだ。

 

 紗希ちゃんが2人を迎えに行って10分程経過。


「ただいまー! 連れて来たわよん」

「お邪魔します」

「します!」


 紗希ちゃんと、2人の女性がリビングへ入って来た。

 身長の低くて髪が長い子が花風風花ちゃん、身長が高くて髪が短い子が祭火つづみちゃんである。


「いらっしゃい」

「うわ、凄い人数が……」

「な、何人いるんだろう?」


 今日集まっている人数を見てさすがに驚く2人。

 これはまあ、私でも驚くから仕方ないね。


「直接会うのは初めましてかな? 姫百合凛です」

「は、初めまして! 花風風花です!」

「ま、祭火つづみです!」

「ブルーウイングスの面々です」

「ブ、ブルーウイングスさんまで?!」


 真のアイドル達に会い、たじたじのVドル2人。

 さすがに緊張してしまうようである。


「そのお名前は、私達で言う芸名ですよね?」

「は、はい。 さすがに本名ではありません」

「祭火なんて珍しいにも程があるっす……」

「ゆりりんも芸名なのかー?」

「さすがにね」


 との事である。

 あえて聞き出すような事はしない私達。

 名前がどうであれ、仲間である事に変わりはないのだ。

過去一賑やかな「皆の家」であった。


「紗希よん。 きゃはは! ブルーウイングするも風花ちゃん達も居てサイコー!」

「紗希ちゃん嬉しそうだねぇ」

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