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第2361話 将来の事を考えよう

こちら佐々木夫妻宅。

 ☆奈々美視点☆


 御朱印巡りから麻美が帰って来たと思えば、すぐに私達の家に突撃してきて「城崎温泉にイクゾー!」と、意味のわからない事を言いながら騒ぎ出したわ。


「城崎温泉って、希望が去年のビンゴで当てたやつでしょ?」

「うむー」

「それなら私はついて行くわよ?」

「あ、やっぱりー? でも、亜美姉は藍沢家と清水家の合同旅行にしたいみたいだぞー」

「そうなの? つまり、うちの両親も呼ぶって事?」

「うむー。 あ、ちなみに宏太兄ぃは留守番ねー」

「何でだよ?!」

「夕也兄ぃもお留守番ー」

「あんたと夕也は清水家でも藍沢家でもないもの」

「そ、それはそうだがぁ」

「諦めろー」

「ま、まあ構わないんだが。 で、いつになるんだ?」

「希望が言うには20日から21日にかけてらしいわ」

「そうか。 土日だな。 まあ、『皆の家』に行けば食いっぱぐれる事はねぇか」

「なはは。 んじゃあそゆことでー! 渚にも話してくるー」

「先にそっちに話をしときなさいよ……って、もう居ないわ」

「速い奴だな」

「本当にね」


 そんなわけで、私と麻美、渚も多分ついて行くって言うでしょうし、それに私のところの両親と亜美のところの両親も一緒の城崎温泉旅行が予定されたわよ。


「温泉よ温泉!」

「まだ2週間先なのにテンション上がるの早い奴だな……」

「うっさいわね。 ねー、美夜」

「あーいー!」

「ほら、うるちゃいって言ってるわ」

「本当かよ……」

「まあ、わからないけど」


 まだまだ美夜には意味のある言葉は話せないものね。

 言葉使いはちゃんとするように躾ないと、宏太みたいなバカになったら困るものね。


「ねー、美夜」

「あー」

「お前、父親嫌いになるような教育はしないでくれよなぁ」

「わかってるわよ。 家族は仲良くしなきゃね」


 それぐらいの事はちゃんとわかってるのよ。

 ちゃんと父親のバカ宏太の事もリスペクトするように育てるわ。



 ◆◇◆◇◆◇



 翌日3月7日の日曜日はバイトのシフトよ。

 麻美と夕也もいるからちょっと騒がしいわ。


「なはは!」

「城崎温泉かー。 良いねー羨ましいさね」

「俺は留守番らしいがな」

「夕也兄ぃは清水家と藍沢家の合同旅行に行った事無いからー」

「まあ、清水と藍沢の家は昔から家族ぐるみの仲だからなぁ。 今更俺が入る余地が無いのはわかってるさ」

「物分かりが良いわね」

「まあな」

「なはは」

「という事はその日は奈々美さんと麻美ちゃんはシフトには入らないんですね」

「うむー」

「悪いわね」

「いやいや、土日なら学生のバイトちゃん達もいるし何とかなるさー」

「ふん。 2人が居なくても余裕だぞ」

「はいはい」


 まあ実際、私と麻美の2人が居なくてもこの店は普通に回ると思うわ。


「お土産よろしくねー」

「まだ2週間先だってば」

「そうだよ、あと2週間先だよ」

「のわー?! 亜美姉いつの間に来たのかー?!」

「『城崎温泉かー。 良いねー羨ましいさね』の辺りからだよ」

「結構前から居るのね」

「最近、気配消して近付くの楽しんでないか?」

「ちょっとね」

「迷惑な遊びを覚えないでくれるかしら」

「うーん。 もうちょっと極めたいんだけどねぇ」

「なはは」

「そんな技術を極めて何するつもりだよ……」

「特に何もしないけど、西條グループ次期総帥令嬢専属秘書ならそれぐらいは出来ないとね」

「奈央はそんな事言ってないでしょ……」

「言ってないね」


 亜美が勝手にやってるだけみたいね。

 ちなみに麻美も真似して気配を消して背後に立つようになってるし困るわ。


「パフェの人、いつもので良いかね?」

「いつものお願いします」

「ほいさ。 少々お待ちをー」


 名塚さんは亜美の注文を聞き、裏に消えていく。

 亜美はカウンター席に座ってパフェを待ちながら雑談を続ける。


「で、城崎への行き方だけど、新幹線と電車で行く事になるよ」

「それじゃ、タマ達はどうするの?」

「大丈夫だよ。 西條家専用車で行くから」

「な、何よそれ……」

「読んで字の如く、西條家やその関係者専用の車両だよ」

「だから、どうしてそんな物があるのよ?」

「西條グループだからね。 鉄道会社にだって手が回っててもおかしくないでしょ? まあ、実際手が回ってるからそういう物があるんだけど」


 西條グループもそうだけど、亜美もだいぶ恐ろしくなってきたわね。


「なはは。 どんな車両なの?」

「まあ、一両編成の特殊な車両だよ。 中はペットも一緒に乗れるようになってるよ。 奈央ちゃんがトラを乗せる為に作られてるから、結構広いよ」

「もう無茶苦茶ね」

「お父さん達もそんな新幹線に乗って緊張しないかなー?」

「別に私達だけだし大丈夫だと思うよ」

「本当かしら……」

「大丈夫だよ。 うん、大丈夫なんだよ」

「なはは」


 そんな話をしていると、名塚さんがパフェを持って来る。


「お、来たねぇ。 いただきます。 んむんむ、美味しいねぇ!」


 いつも通り満面の笑みを浮かべながらパフェを頬張っている親友。


「んむんむ。 三浦さんは裏にいるのかな?」

「蛍ちゃんなら店長業務手伝ってるさね」

「んむんむ。 素晴らしい向上心だよ素晴らしい」

「短期間でサイジョーカフェの支店長になろうってんだから、そりゃ頑張るでしょうよ」

「ちなみに、いずれ蛍ちゃんがサイジョーカフェから独立するってなった時はどうするのさ?」

「その時はちゃんと応援するよ」


 と、意外にもあっさりとそう言った亜美。

 三浦さんは自分の喫茶店を持つのが夢とかって話だったわね。

 サイジョーカフェの支店長って肩書きにはなるけど、オーナーは西條グループの次期総帥である奈央になるわけで、自分の店かと言われると疑問苻が浮かぶ。


「三浦さんは将来的には独立して、緑風みたいな喫茶店を営むのが夢だからね。 そうなる可能性は高いし」

「なはは」

「私がどうかしましたか?」

「あ、三浦さん」

「なはは。 三浦さんがいずれ独立するかもってお話ー」

「独立ですか? まだサイジョーカフェの支店長の仕事もしていないのに、気が早いですよー」

「でも、そういう想いはあるでしょ?」

「そうですねー……本当にいずれはって感じですが」

「うんうん。 やっぱりそうなんだね」

「あ、あの! 別に西條グループの恩を仇で返すとかそういうのでは」

「大丈夫だよ。 わかってるからねぇ。 その時は全力で応援するよ」

「あ、ありがとうございます。 いつになるかもわかりませんが」

「うむだよ。 んむんむ」


 この話に関してはまだまだ先になるでしょうけど、この分なら問題は無さそうね。

 問題は私の将来の話の方か……。


「モデルにスパ施設経営ねぇ……」

「んむんむ。 奈々ちゃんはまだ将来の事で悩んでるんだねぇ」

「まあね」

「スパ施設に関しては西條グループが力になれるから、その時は相談してね」

「わかってるわよ」


 ふうむ。

 真剣に考えてみようかしらね?

三浦さんは独立も視野に入れているようだ。


「遥だ。 私ももうすぐ理学療法士の資格の合格発表だ」

「絶対に受かってるよ!」

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