第2309話 滝を作ろう
正月が明けて日常が戻って来たようだが。
☆亜美視点☆
1月7日の土曜日だよ。
お正月もあっという間に過ぎて、いつもの日常が戻ってきている。
「さて! いよいよ取りかかるよ! 私の庭に滝を作ろう計画!」
「なはは。 パチパチー」
「本当に滝なんて作れるのか?」
「川や池とはわけが違うでしょ?」
「作れるよ。 もう土台は出来てるからね」
「土台?」
「一昨日ぐらいに工事してたでしょ?」
実は下準備として、業者に入ってもらい滝を作る為の滝面を作ってもらったのである。
私の日本庭園に合わせて外観も調整してもらっており、綺麗な岩肌に苔が生した風情あれ滝面だ。
ある程度下地は出来ているので、後は手を加えて滝にしていくよ。
して、今回は段瀑型の滝を作るよ。
段瀑っていうのは、段々があり、そこを水が流れ落ちる滝の事だ。
静かな庭園にピッタリなのである。
「あれ、その為の工事だったのね……」
「なはは。 確かに何か高い壁みたいなのが出来てるー」
「うん。 あそこを加工して滝にしていくよ」
という事で、夕ちゃん、希望ちゃん、奈々ちゃん、麻美ちゃん、宏ちゃん、渚ちゃん、遥ちゃんに手伝ってもらうよ。
滝の予定地に到着し、皆に工程を説明するよ。
「まずは水を流す為の経路を作るよ。 始点となる場所に小さな池を作る。 サイズはこれぐらいだよ。 深さもそんなに要らないからすぐに出来るはず」
と、円で池の予定地を示す。
「池は前に作ったやり方で作ります。 池が出来たら滝の方に向かって経路を作る。 これも以前川を作った時と同じやり方」
「ふむふむ」
「あとは滝が川に流れるようにして完成だよ。 簡単だね」
「水はどうすんの?」
「配管を改造して、上に伸ばすよ。 それは明日だね」
「そうなのね」
「なはは! とりあえず池を作るぞー!」
「頑張るよ!」
「おー!」
◆◇◆◇◆◇
ザクッザクッ!
「こんなもんか?」
「うんうん。 十分だと思うよ」
思ってたより早く池を掘り終えたようだ。
人数居ると楽だね。
「ここにプールライナーを敷くんですよね?」
「うん。 そしてその上に砂利や小石を敷き詰める感じだね」
「りょーかーい!」
「周りは小さな岩で囲いを作るよ。 ケガに気を付けて作業しようね」
「はーい」
真冬の寒い中だというのに、文句一つ言わずにわちゃわちゃしながら手伝ってくれる仲間に感謝である。
力仕事は男子と奈々ちゃん、遥ちゃんに任せて、私達非力組は細かい作業を進めていく。
「既に池らしくなってきたな」
「だね。 ここからこの傾斜を下って行って滝の入り口に流れていくんだよ」
「滝は段々になってるんだな?」
「うん。 180cmの高さを三分割した段瀑にするよ。 滝口には平らな岩を設置して、水が綺麗に流れるようにするつもりだよ」
「ほぉ」
「段の一つ一つにも滝の流れる経路を計算して岩を配していくよ。 これは実際に水を流さないと難しいかな」
「どこでそんな知識を得てくるのよ……」
「今はインターネットで探せばいくらでも出てくるんだよ? 便利だねぇ」
等と駄弁りながら作業を続ける事1時間。
ようやく滝のスタートとなる小池と、滝口へ繋がる経路が完成した。
「良い感じだねぇ。 もう滝が見える気がするよ」
「いや、まだ全然でしょ……」
「そんな事はないよ。 今の状態でも水を流せば、それなりに見れる滝になるはずだよ」
「水は流せないのぅ?」
「まだ配管が出来てないからね。 明日までは無理だよ」
「はぅ」
「さて。 休憩したら次は滝壺から川に繋がる経路を作るよ!」
「はいよー!」
◆◇◆◇◆◇
皆で頑張って作業した結果、15時には本日の作業ノルマを達成。
ある程度形が出来上がったのである。
「明日は配管の方を改造して、上に伸ばしていくよ」
「滝の外観ってあんな感じで大丈夫なのか?」
「外観はまああれで大丈夫かな」
先日業者さんに準備してもらう際、滝の外観部分はある程度作ってもらっている。
まあ、岩で周囲を囲んでいるだけだけど、十分に風情だろう。
完成したら、始点である池の上も、岩で塞いで蓋をする予定である。
「明日が楽しみだよな」
「遥ちゃんにもわかるんだね」
「失礼な」
「きゃはは! 花より団子な遥に風情の何たるかがわかるわけないじゃーん」
「紗希も酷いな……」
「ちなみに、シミュレーションした感じだとこんな風になる予定だよ」
「な、何これ凄い」
私は物理演算ソフトでシミュレーションした滝の動きを、皆に見せた。
「この通りになったら綺麗ね」
「ある程度は近くなるはずだよ」
「この三段目で流れる方向が二股になるのね」
「うん。 真っすぐに落としても良いけど、ちょっとオシャレにしてみようと思ってね」
「拘りっちゅうやつですね」
「うむだよ」
せっかくだからちょっと凝った感じにしてみたいのである。
「問題は水跳ねと音の大きさだね180を三分割だから、各段の高さは60cmぐらいなんだけど、これでもかなり跳ねてあちこちに飛び散るみたい。 とはいえ、ある程度は見栄えも欲しいから水量を絞りたくもないんだよね。 上手い感じになってくれれば良いんだけど」
こればかりは完成してみないとわからない事である。
「さ! とりあえず今日の作業はここまで! 続きは明日やるよ!」
「はーい」
というわけで、本日の庭の改装は終了!
◆◇◆◇◆◇
カチカチ……
インターネットで、色々な人の自慢のお庭を見ているのである。
「おお、こういうのも良いねぇ」
「亜美姉、また何か作ろうとしてるのー?」
「うーん。 まだ何とも言えないけどね。 ビオトープってわかる?」
「何だそれはー!?」
「美味そうだな!」
「遥ちゃん。 食べ物ではないんだよ」
「何だ、違うのか」
やっぱり花より団子。 色気より食い気なようである。
すぐに興味を失って広大君の相手を再開しているよ。
「まあ、簡単に言えば『生き物の生息場所』みたいな物かな? 小さな環境を作って上げて、自然に近い形で生き物を放し飼いにするんだよ」
「ほへー」
「例えば金魚鉢みたいなのとか」
「なるほどー」
「そういうのを一杯作ってる人もいるみたい」
私は今の状態でも手入れに手が回るか怪しいし、今以上に何かを増やすのは難しいかもしれない。
ビオトープは一旦保留だね。
「麻美ちゃんの花壇の奈々ちゃんの菜園も、何か育てないの?」
「なはは。 確かにー。 花壇作ってから最初だけお花育てただけで終わってるー」
「私もちょくちょくやってたけど、今はやってないわね……何か育てようかしら」
「うんうん。 せっかく畑を作ったんだし、使わないと勿体無いよ」
「じゃあ今度何か種でも見繕いに行きましょ」
「美味いもん作れよな!」
「遥は食べる事しか考えてないわけ?」
「良いだろ別に……」
遥ちゃんは母親になって少しは変わったとは思うけど、根本的なところは何も変わらないようだ。
「さて。 明日の為に配管の経路図でも作ろうかな」
「なはは、亜美姉は準備を怠らないー」
「何事も前準備は大事なんだよ。 本作業をスムーズに進める為にもここは手を抜けないよ」
明日の為に今日頑張るのである!
亜美の庭作りに終わりは無い?
「遥だ。 滝って作れるんだな」
「小さな物なら何とかね」




