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第2305話 家族

美夕にべったりの亜美の両親。

 ☆亜美視点☆


 1月2日の今日は、東京の両親の家に来ている。

 お父さんもお母さんも、昼からずっと美夕にべったりだ。

 夕方になると夕飯の支度を始めるかと思ったら、今日はすき焼きにするから用意はもう出来ているという。

 なので、やはり美夕にべったりし続けているよ。


「これじゃあ、誰の娘かわからないよ」

「はぅ」

「まあ良いじゃないか。 たまにしか会えない孫娘なんだからよ」

「そうだけどねぇ……」


 はあ。 まあ、今日ぐらいは許してあげよう。


「夕ちゃん。 近くのスーパーにお買い物に行こ。 缶チューハイ買ってこないと」

「お、ビールも頼んだぞ亜美」

「こういうのには反応するんだね」

「私もついて行くよぅ」

「マロンとメロンはお留守番ね」

「みゃー」

「なー」


 どうやらお買い物にはついて行けない事は理解出来ているようだ。

 賢くて助かるよ。



 ◆◇◆◇◆◇



「スーパーはどっちなんだ、アミゲーター?」

「久しぶりにそれ聞いたね……スーパーはあっちだよ」

「さっき散歩した方とは逆なんだね」

「そそ」


 この辺の地理は既に把握済み。

 スーパーの場所も当然わかるよ。


「にしても、お父さん達にも困ったものだねぇ」

「いくら美夕ちゃんが可愛いからって、あそこまでになるなんてね」

「俺もかなり驚いてるぞ」

「だよね」


 ある程度はわかるんだけど、あそこまで美夕に入れ込まれるとちょっとねぇ。


「まあ、ミルクもオムツ換えもやってくれるから楽で良いんだけど」

「あはは。 そうそう。 今日は楽させてもらえば良いんだよぅ」

「そうだぞ」

「うーん。 そうだねぇ」


 確かに、ここまで羽を伸ばせる日も中々無いからね。

 今日は美夕の事は両親にお任せしてゆっくりしよう。



 ◆◇◆◇◆◇



 スーパーで缶チューハイやビール、おつまみを買って帰ってくると、リビングではすき焼きの準備が進められていた。

 一応ちゃんと家事はするらしい。


「美夕は?」

「疲れて眠ってるわ」

「そかそか」


 布団の中で小さな寝息を立てる美夕。

 まあ、これでもいきなり起きて泣き出すから、気は抜けないのである。


「さ。 今のうちに夕飯にしましょう」

「そだねぇ」


 ちょっと早いけど、すき焼きを始める事にするよ。

 まずは鍋を始める前に、お肉だけを焼いて食べる。


「んむんむ」

「どう? 美味しいお肉でしょ? ちょっと奮発したのよ」


 と、お母さんはちょっと偉そうにしている。

 確かにちょっと良さそうなお肉ではある。


「そだね。 ちょっと良いお肉だね」

「はぅはぅ」

「反応薄いわね……」

「だって」

「ぅん」

「私達、いつも奈央ちゃんが取り寄せる最高級のお肉を食べてるからね」

「これぐらいのお肉じゃ今更驚かないよぅ」

「俺達、舌が肥えちまったな……」

「まあ……じゃあ安いお肉にすれば良かったわね。 奮発して損したわ」

「いやいや。 美味しいよ!? それは本当だよ」

「ぅんぅん」


 いつも食べているの物がおかしいだけで、今日のお肉も普通に美味しいお肉である。

 一般的な家庭でこれが出て来たら拍手大喝采ものだよ。


「ま、西條さんの娘さんと一緒にいる亜美達ならそうだろうとは思ってたけど」

「だなあ。 あの子、本当に凄いからなあ」


 と、お父さんとお母さんは何かを思い出すように奈央ちゃんを語り出す。


「2人って、奈央ちゃんとそんな面識あったっけ?」


 一度家に呼んだ事はあったけど、それぐらいだったはずだ。


「ほら。 千葉の家を売りに出した時に、西條さんが買い手になったでしょ?」

「ああ、そういえば」

「あの時に一回顔を合わせた事があったんだけど、高校生とは思えない風格があったもんだ」


 と、お父さんは語る。

 私達からすれば小さくて可愛いお嬢さんなんだけどね。

 あ、まあ、私も奈央ちゃんよりちょっと身長あるぐらいだけど。


「軽く下見をして即買いだったからなあ」

「さ、さすが奈央ちゃん……あの頃から変わらないんだね」

「ははは……」


 とにかく何でも衝動買いするんだよねぇ。  

 しかも規模がおかしいんだよ。

 店とか土地とか牧場とか……。


「奈央ちゃんを上手くコントロールするのも秘書の役目だね」

「頑張ってね、亜美ちゃん」



 ◆◇◆◇◆◇



 グツグツ……


 すき焼きを突きながら、両親のこれからについて話をしていた。


「お父さんが東京に転勤になってから随分経つと思うけど、千葉に戻って来れるような話って無いの?」

「今のところそう言った話は無いな。 ほら、先月亜美達が来た時、大きな仕事を任されていただろう」

「私が助言したやつだね」

「あれが上手く行ったら昇進しそうなんだ」

「おお、それは良いお話だねぇ」

「お父さん凄いよぅ!」

「さすがおじさんだな」

「いや、まだわからんが。 だから、基本的には東京本社からは離れられないだろうと思う」

「そか。 出世だねぇ」

「東京転勤になったのも、お父さんが優秀だったから?」

「それはどうか知らんが、まあ期待はされていたんだろう」

「なるほど。 意外と亜美は突然変異ってわけじゃないのかもしれないな。 優秀なお父さんの血を継いでるわけだしな」

「いや。 亜美は突然変異だ」

「いくら何でも私とこの人からこんな凄いのは産まれないもの」

「実の両親からそんな扱いされるのなんて、私ぐらいだよ……」

「はぅ」

「まあ、凄く優秀な子供を持ってお父さん達は誇らしいぞ」

「そうよ。 亜美も自分を誇って生きなさい」

「うん。 それはわかってるよ」


 一時期は自分の事で色悩んだりもしたけど、今はこんな私を誇りに思うようにしている。

 両親にもちゃんと感謝してるんだよ。


「んむんむ。 美味しいねぇ、すき焼き」



 ◆◇◆◇◆◇



 お風呂から上がると、ここからはお父さんと一緒にお酒タイムである。

 お父さん、夕ちゃんとお酒を飲むのを楽しみにしていたからね。


「夕ちゃん。 程々にね」

「わかっとるわ」

「夕也君、お酒に苦い思い出でもあるのかい?」

「いやいや。 実は昨日、希望ちゃんの祖父母の家に挨拶に行ったんだけど、夕ちゃんはお爺さんに酔い潰されちゃってね」

「ははは。 そうかそうか。 2人は元気か?」

「ぅん。 まだまだ元気だよぅ」

「そうか。 それは良かった」


 カシュッ……


 と、笑いながらビールの缶を開けるお父さん。

 夕ちゃんもそれに続く。

 私と希望ちゃんはいつもの缶チューハイだ。


「じゃあ、乾杯」

「乾杯ー」

「んぐんぐ……ぷはーっ! だよ」

「はぅ。 亜美ちゃんも程々にね?」

「希望ちゃんこそ。 すぐに酔っ払って寝落ちするんだから」

「ははは。 希望は希望らしいなあ」

「うぅ」

「夕也君も中々の飲みっぷりだ」

「普段は飲まないんですけどね」


 皆で集まって宴会する時も、夕ちゃんは私達のように度数の低い缶チューハイとかをチビチビと飲む。

 昨日今日みたいに、ビールをグビグビとは飲まないんだよ。


「まあ、無理せず付き合ってくれ。 息子とこうやって呑み交わすのが夢だったんだ」

「娘で悪かったねぇ」

「ははは。 もちろん、亜美と希望とも呑むを楽しみにしていたさ」

「はぅ。 私も?」

「当たり前だ。 希望はもう、立派に清水の娘だ」

「はぅ。 ありがとう、お父さん」


 希望ちゃんが養子に来てからもう10年以上になる。

 お父さん、お母さんにとってももう大切な娘なのだ。

 

 その後も、お父さんとお酒を呑みながら、昔の思い出を語り合うのであった。

希望も立派な清水家の一員。

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