第2304話 美夕にべったり
次は東京の両親の家へ行く亜美達。
☆亜美視点☆
1月2日だよ。
今日は東京に居る両親の家に新年の挨拶に行くよ。
泊まりになるからマロン、メロンと希望ちゃんのハムスターも一緒だ。
「さて、じゃあ車を出すよ」
今日は東京まで車で移動する予定である。
ただ、家にはガレージが無いから近くの駐車場に停めないといけないけどね。
「出発ー」
「おー」
「みゃー」
「なー」
「安全運転でな」
ブロロロ……
「おじさん達は元気か?」
「先月会った時は元気だったよぅ」
「だねぇ。 お父さんも家事のお手伝い出来るようになって、お母さんも助かってるみたい」
「家事なら任せろ」
夕ちゃんも去年一杯頑張って、家事が出来るようになったからね。
本当に助かる助かる。
「夕ちゃんはお父さんに会うのは結婚式以来?」
「だなぁ。 おばさんは亜美の出産の立ち会いに来てたが」
「うんうん」
「この前行った時ね、お父さんは夕也くんとビールを飲むのが楽しみだって言ってたよぅ」
「ビ、ビール……」
「あはは。 夕ちゃん、昨日は酔い潰されたもんねぇ。 今日は控えめにね」
「わ、わかってる」
「はぅ」
ちなみに私も一緒に缶チューハイを飲もうと思っているよ。
美夕の事もあるからちょっとだけね。
「みゃー」
「なー」
「マロンとメロンにもおやつを買ってあるって言ってたよ。 楽しみだねぇ」
「みゃ!」
「なー!」
凄く嬉しそうである。
◆◇◆◇◆◇
ブロロロ……
「近くに有料駐車場があって良かったねぇ」
お父さん達の家の近くにある有料駐車場に車を停め、あとは徒歩で向かう。
歩いて10分かからない距離だね。
「みゃー」
「なー」
マロンとメロンはリードをつけて、夕ちゃんと一緒に歩いている。
ちょっとした散歩気分だろう。
「すれ違う人が不思議そうに見てるよぅ」
「犬みたいに散歩する猫は珍しいだろうからな」
「だねぇ」
ちなみにこの猫散歩は夕ちゃんが教えたらしいよ。
マロン達が喜んでいるし、まあこれはこれで良いかな。
「もう少しで着くよぅ」
「結構静かな住宅街だな」
「うん。 都会の喧騒からはちょっと離れた良い立地だよ」
千葉の田舎町で暮らしていた両親からすれば、これくらいがちょうどいいのだろう。
「あそこだよ……って、お母さんもう玄関先で待ってるし」
「はぅ。 首を長くしてるよぅ」
「どんだけ美夕に会いたいんだ……」
私達の姿を見つけるや、こちらに駆け寄ってくるお母さん。
うん、まだまだ元気である。
「美夕ちゃーん。 ばあばでちゅよー」
「あーう」
「お、お母さん。 とりあえず家の中に入れてよ」
「そうね。 こんな寒空に美夕ちゃんを長い時間居させられないわ」
「そ、そうだね……」
私のお母さんってこんなんだっけ?
やっぱり孫が出来ると変わるのかな?
◆◇◆◇◆◇
家に上がりリビングに入ると、お父さんも今か今かとという感じで待っており、すぐさま美夕の顔を覗きに来る。
「はぅ。 お爺ちゃん達と一緒だよぅ」
「孫娘は可愛いもんだろう」
「にしてもだよぅ」
まるで蝶よ花よといった感じである。
何か赤ちゃん用の可愛らしい晴れ着みたいな物を買って来ていたらしく、早速それを着せて写真撮影をしている。
か、可愛い……私も撮ろっと。
「まるでおもちゃだな……」
「美夕ちゃん、大変そぅ」
「あーい」
「みゃー……」
「なー……」
マロン達は早くおやつが欲しいみたいだ。
お母さんとお父さんの足下に行って催促の鳴き声を上げている。
「お母さん。 マロン達のおやつは?」
「台所にあるわよ」
「台所だね。 マロン、メロン、待っててね」
「みゃ!」
「なー!」
全く、うちの両親にも困ったものである。
◆◇◆◇◆◇
「いないいないーばあ!」
「きゃっきゃっ!」
お母さんとお父さんはさっきからずっとこの調子である。
まるで我が子のように可愛がっている。
「美夕ちゃんはじいじとばあば、どっちが好き?」
「ママに決まってるよ……」
「亜美は黙ってなさい」
「えぇ……希望ちゃん。 実の娘の私の扱いが酷いんだけど……」
「あ、あはは……私はさっきから話しかけてもらってないよぅ」
娘2人よりも孫娘の方が優先されているようだ。
夕ちゃんなんかはもう、さっきからマロンとメロンの遊び相手をしているよ。
「ばあばが好きなのー?」
「いや、じいじが好きなんだよ」
「はあ……仕方ない。 夕ちゃん、希望ちゃん、3人で散歩にでも行こ? じいじとばあばが美夕の事見ててくれるみたいだしー?」
「そ、そだね」
「みゃみゃ」
「なーなー」
「散歩なら連れて行けってよ」
「そだねぇ。 来る時にちょっと歩いたぐらいじゃ満足しないよね。 じゃあマロン達も行こ」
「みゃ」
「なー」
「という事で、じいじとばあばにはしばらく美夕を任せるよ」
「可愛いでちゅねー」
「いないいないばあ!」
まるで聞いてないよ……。
◆◇◆◇◆◇
3人と2匹で散歩に出て来た私達。
閑静な住宅街を、猫2匹連れて歩く。
「この辺の地理はよく知らないよぅ」
「むふふ。 大丈夫だよ。 随分前にお母さんが過労で倒れた時、一週間程でこの辺りの開拓は終わってるんだよ」
「さすがは亜美だな」
「えっへん。 あっちに行くと公園があるよ。 この路地を曲がって真っ直ぐ歩くと広い国道に出る。 駅もあるよ。 ここから2駅走るとね、都姫女子高校があるんだよ」
「都姫女子って、宮下さんと新田さんの母校の?」
「うん。 その時に宮下さんに会いに行って、遊ぶ約束をしたんだよ。 ちなみに、近くには美味しい鰻を食べられるお店があるよ。 明日のお昼にはそこに行こう!」
「良いな、鰻」
「はぅ。 楽しみだよぅ」
美夕はまたお母さん達に任せておけば良いだろう。
どうせ手放してくれないだろうし。
「みゃー」
「なー」
「マロンとメロンも、明日のお昼はお留守番だよ」
「みゃー……」
「なー……」
あからさまにテンションが下がる猫達であった。
さて。 私達は小さな公園に到着したよ。
住宅街の中心に位置しているだけあり、そこそこの賑わいを見せている。
中には今時珍しく、凧揚げをしている子供も見受けられる。
「凧揚げとかする子がいるんだな」
「だねぇ」
「キャミィさんとミアさんも去年ぐらいにやってたよぅ」
「あの2人はそもそも日本のお正月の遊びが初めてだったからね」
「だな」
「みゃー」
「なー」
マロンとメロンは、空の凧を見ながら後ろ日本で直立している。
うーん、可愛い。
「マロン達も飛びたいのか?」
「みゃー」
「なー」
「さ、さすがに猫は飛べないよ……」
いくら賢い猫でも、無理なものは無理なのである。
マロン達もそれはわかっているようで、空飛ぶ凧を羨ましそうに見つめるのであった。
散歩から帰って来ても、お父さんとお母さんは美夕にべったりであった。
いつになったら我が子を返してくれるのだろう?
美夕を離さないじいじとばあばであった。
「亜美だよ。 いやいや、いくら何でも独占し過ぎだよ」
「可愛いのわかるけどさすがにだよぅ」




