第2302話 祖父母と過ごそう
元旦の朝。
皆が帰省する中亜美達は?
☆希望視点☆
本日は元旦。
1月1日の日曜日ですよぅ。
年明け早々に「皆の家」にいたメンバーは里帰り……。
大半はこの街に実家があるメンバーですけどね。
月島さんと渚ちゃんは京都が実家だし、キャミィさんとミアさんはアメリカ。
マリアちゃんも長野へと帰っていきましたよぅ。
「静かになったねぇ」
「ぅん」
「だなぁ」
自宅で少しゆっくりと過ごす私達。
お隣の奈々美ちゃん達や、お向かいの麻美ちゃんも今は実家に帰っているようだ。
まあ、実家はすぐそこなんだけど。
そしてかく言う私達もこの後、お爺ちゃん達の家に新年の挨拶に行くよぅ。
「じゃあ、そろそろ行こぅ」
「だねぇ。 お爺さんだも美夕を待ってるだろうし」
直接血縁の無い亜美ちゃんを、実の孫娘のように可愛がるお爺ちゃんお婆ちゃん。
そんなんだから、美夕ちゃんの事もまるで曾孫娘のように可愛いがる。
12月に顔を出した時も、凄くデレデレしていたよぅ。
「夕也くんも来るんだよね?」
「お、おう。 あんまり面識無いけどな」
「亜美ちゃんの旦那さんって事は、お爺ちゃん達にとったら孫みたいなものだよぅ」
「あはは。 そうだねぇ。 私、凄く可愛がられてるし」
「ぅんぅん」
「きゃっきゃっ」
美夕ちゃんも今はご機嫌な様子。
マロンとメロンもお出かけ準備万端みたいだし、出発だよぅ。
◆◇◆◇◆◇
お爺ちゃん達のお家は、駅前の分岐路を「皆の家」とら逆方向に曲がって少し進んだ先にあります。
和風の一軒家で、凄く落ち着いた雰囲気のお家だよぅ。
「緊張してきた」
「夕ちゃん、最後に会ったのいつだっけ?」
「お爺さん達の引っ越しを手伝った時じゃないか……?」
「随分前だねぇ……6年か7年くらい前じゃない?」
確か、私達が大学生になってちょっとしてからお引越ししてきてもらったはずだから、が亜美ちゃんの言うようにかなり前です。
「まあ、優しくて良いお爺さん達だから、いつも通りでいて大丈夫だよ」
「おう」
「あーい」
「それに、基本的には美夕ちゃんに夢中だよぅ」
「そうそう」
この前来たとなんかも、ずっと美夕ちゃんの顔を覗き込んでいたぐらいだからね。
やっぱり赤ちゃんには魔性の力が宿っているんだよぅ。
今井家から歩く事15分程で、お爺ちゃん達のお家に到着だよぅ。
呼び鈴を鳴らすと、お婆ちゃんの声が聞こえてくる。
「これはかなり首を長くして待ってた感じだねぇー」
「慌てなくて良いのにぃ……」
「本当にねぇ」
「みゃー」
「なー」
「あー!」
「はいはい、今出ますよ」
ガラガラ……
「あ、お婆ちゃん。 明けましておめでとうございます」
「明けましておめでとうございます」
「のんちゃん、亜美ちゃん、明けましておめでとうございます。 そちらは亜美ちゃんの旦那様?」
「は、はい。 明けましておめでとうございます。 ご無沙汰しております」
「いえいえ。 明けましておめでとうございます。 さ、寒いでしょう、中にお入り」
「お邪魔しますぅ」
「お邪魔します」
「失礼します」
「あーう」
「みゃ」
「なー」
外も和風なら中も当然和風のお家。
畳の良い匂いがします。
お茶の間に向かうと、お爺ちゃんが炬燵に入って何やら細かい作業をしている。
「お爺ちゃん、新年ね挨拶に来たよぅ。 明けましておめでとうございます」
「おお、のんちゃんに亜美ちゃん、それから亜美ちゃんの旦那さん。 明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします」
亜美ちゃんと夕也くんも新年の挨拶を交わし、亜美ちゃんは美夕をお爺さん達に抱っこさせてあげている。
「おお、よしよし。 この前来た時より大きくなったかのぅ」
「うんうん。 この時期の赤ちゃんは日々大きくなるからねぇ……」
亜美ちゃんも近くでその光景を眺める。
夕也くんはまだ少し緊張気味だね。
にしても、お爺ちゃんはさっき何をしていたのかな?
お爺ちゃんが作業していた場所を覗き込んでみると。
「はぅ。 これは?」
「んん。 それは切り絵だねぇ」
「切り絵?」
「そうじゃよ。 最近はこれにハマっていてのぅ」
「凄く綺麗な絵だねぇ。 紫陽花かな?」
「そうじゃ」
「はぅー」
お爺ちゃんが作業していた場所には、紙の上に綺麗に描かれた紫色の紫陽花がある。
よく見てみると、花弁一枚一枚を切った色紙を貼り付けて作っているみたいだ。
これが切り絵なんだ。
「初めて見たよぅ」
「あんまりやってる人がいないからねぇ」
「亜美は見た事あるのか?」
「実物は初めてかなぁ。 写真とかでは見た事あるけど」
という事らしい。
考えながら指先を動かす細かい作業は、ボケ防止にも良いそうだよぅ。
お爺ちゃんは最近完成させた一枚、朝顔を持ってきて見せてくれた。
「おお、これはまた綺麗な絵だな……」
「本物と遜色無いねぇ」
夕也くんと亜美ちゃんも素直に感心する程の一枚。
お爺ちゃんはその朝顔を亜美ちゃんに渡して「それは美夕ちゃんに上げるとしようかのぅ」と、優しく微笑む。
「えっ、良いのお爺さん?」
さすがの亜美ちゃんも少し驚いた様子です。
だけどお爺ちゃんが「良いんじゃよ。 最初からそのつもりじゃったし」と、頷くのでした。
「良かったねぇ、美夕」
「あーい!」
美夕ちゃんは意味はわかっていないだろうけど、心無しか喜んでいるように見えるよぅ。
「そうじゃ、旦那さん」
「は、はい?」
今度は夕也くんに話しかけるお爺ちゃん。
夕也くんはまだ固い感じです。
「亜美ちゃんを幸せにしてくれて、ありがとうございます」
「え、あ、いや!」
お爺ちゃんは夕也くんに深く頭を下げて感謝の言葉を述べる。
夕也くんはもちろん、亜美ちゃんも「え、え?」と、困惑したような表情を見せる。
「亜美ちゃんは昔から、のんちゃんの為に自分の幸せを諦めてしまうような子じゃった。 その責任の半分は、ワシ達にあると思っておったんじゃ」
「お、お爺さんそれは違うよ。 あれは私がそうしたくて……」
「いや、ワシ達が亜美ちゃんにあんな約束をさせてしまったのが悪かったんじゃ。 責任を感じておった。 旦那さん、本にありがとうございますじゃ」
「……いえ。 でもその所為で希望を幸せにしてあげられなかったのもあるし」
「はぅ。 私は今でも十分幸せだよぅ? 毎日楽しいし、大好きな2人とずっと一緒に居られるし」
これは本心である。
もし夕也くんと結ばれる未来があったなら、それが一番の幸せであっただろう。
でも、そうならなかった今でも、大好きな夕也くんと亜美ちゃんは私と一緒に居てくれている。
沢山の友人にも恵まれて、幼稚園の先生という夢も叶った。
これで「幸せじゃない」なんて言ったら、きっと罰が当たるよぅ。
「亜美ちゃん、旦那さん。 のんちゃんの事を幸せにしてくれてありがとうございます」
今度はそう言って2人にお礼をする。
夕也くんと亜美ちゃんは「いえいえ!」と首を振るけど、私も2人には感謝している。
なので、私も2人に感謝の言葉を述べる。
「ありがとう、2人とも」
「うぅ、もう……」
亜美ちゃんは少し涙を流しながら微笑んだ。
希望のお爺さん達も少し責任を感じていたようだ。
「紗希よ。 亜美ちゃんはよく持ち直したわよね」
「いやいや、お恥ずかしい」




