第2299話 今度は「皆の家」を大掃除
「皆の家」の大掃除が始まる。
☆夕也視点☆
12月30日である今日は、「皆の家」の大掃除となっている。
普段この屋敷を利用している皆で綺麗にしようという事だ。
今年はこの俺も戦力の一員として数えられている。
「感動だな」
「あはは……良かったね」
「うむ」
「えー、それでは大掃除を始める前に分担をしていきますわよ」
「はい!」
何と言ってもとんでもなく広い屋敷だ。
こちらも人数が揃っているとはいえ、しっかり分担して掃除に臨まなくてはならない。
「まず台所は、亜美ちゃんと紗希をリーダーにして前田さん、天堂さんの4人」
「らじゃだよー」
「浴場は春人君、今井君、佐々木君、三山君、柏原君、井口さんに武下さん、よろしく」
俺は浴場か。
まあ、広いし力も要るから男子メンバーで構成されるのも納得だ。
他の場所も順次担当が決まっていくのであった。
「それでは大掃除開始ですわよー」
「おー!」
◆◇◆◇◆◇
てなわけで俺は、自分の担当する浴場へとやって来た。
「しかし無茶苦茶に広いな」
「夕也、足を引っ張るなよ」
「ふん。 麻美ちゃん達から100点をもらったし、この間は自分の家も完璧に大掃除した実力を見せやる」
宏太の挑発に対して真っ向から返してやる。
「大掃除ぐらいで何やってんだ……さっさと始めるぞ」
「2人共、足を引っ張らないで下さいよ」
俺と宏太が喋くってる間に他の皆は既に掃除に取り掛かっていた。
「くっ、宏太の所為でで遅れた」
「ふん」
とりあえずデッキブラシを手に床をゴシゴシと磨いていく。
しっかりと力を入れて綺麗にするぞ。
ただし、丁寧にやりながらも速さを損なってはならない。
丁寧さと速さのバランスが大事なんだ。
ゴシゴシ!
「夕也、シャンプーを溢したりしないで下さいよ?」
「ふん。 もう以前までの俺ではないのだ」
「以前の今井、どんだけ掃除下手だったんだよ」
「まあ、掃除するなと言われるぐらいには下手だったよな」
「うるせー。 俺は変わったんだ。 炊事洗濯掃除、全て合格を貰ったからな。 家事マスターと呼ぶがいい」
「凄いですね。 自分は料理は出来ないよ」
と、井口さんからは羨望の眼差しを向けられる。
何と気持ちの良い事か。
「柏原君はどうなんだ? 家事は出来るのかね? ん?」
「夕也が調子に乗り始めたぞ」
「一通りは出来るけど、台所には紗希が立たせてくれないからなあ」
「ああ、うちもだ。 台所は任せられないとか奈々美に言われてる」
「特に紗希ちゃんは自分の料理の腕に自信ある子だしな」
亜美曰く、紗希ちゃんは自分達の中で一番料理上手だという事だしな。
「奈々美は何でだろうな?」
「まあ、俺も料理はそこまでだからなあ。 自分でやった方が美味いもん作れると思ってんだろう」
「亜美は気にせず俺に作らせてるけどな……」
「性格の違いもあるんでしょう」
「だろうなあ」
ゴシゴシ!
「喋りながら掃除出来るようになったとは、やるな夕也」
「ふん、まあな」
掃除ももはや俺の敵ではなくなったということだな。
やはり自分の成長が恐ろしい。
「しっかし広すぎる。 こんなに広くなくても良かったんじゃないか?」
「そんな事はないですよ。 宴会する日は20人以上来ますからね。 待ち時間が少なくなるので広い浴場は必要です」
と、春人に言われると確かにそうだよなぁ、と思ってしまう。
これが狭い風呂だと、順番待ちに2時間とかになりかねないもんな。
「家に帰って入った方が早いじゃないか!」
「何をいきなり叫んでるんだバカ夕也」
「うるせー」
ゴシゴシ!
「なあ、武下君や」
「何でしょう今井さん?」
「月島さんとはどうなんだ?」
「相変わらずですよ」
「丸っきり進まずって事か……」
「まあ、名前で呼び合うようになったぐらいですかね」
「中学生かよ……」
「ははは……弥生さんも自分も、今のペースが心地良いので」
「だがよ。 月島の奴、いずれはイタリアのプロリーグに挑戦するって言ってるらしいぞ? 奈々美が話してたんだが」
「ああ、本人も言ってましたね」
イタリアのプロリーグ……まさか、亜美も行くとか言わないだろうな?
後で聞いてみるか。
「まさか、武下君もイタリアについて行く気か?」
「さすがに国語教師の仕事があるので無理ですね」
「なら、それまでに結婚まで行かねえと」
「いや、結婚してもそれじゃあ別居婚か」
「それ自体は別に構わないですが……」
月島さんと武下君の恋愛はなんつうか難儀だな。
月島さんがその辺に積極的じゃないってのが原因なんだろうが。
◆◇◆◇◆◇
ジャーッ!
床や壁を磨き終えて水で流しているぞ。
浴場の掃除はこれで終わりだな。
ピカピカ……
「綺麗になりましたね。 皆さんご苦労様でした」
「おう。 自分の家の風呂掃除とはわけが違うな……」
「つ、疲れました」
「井口さん、大丈夫ですか?」
「な、何とか」
浴場の掃除が終わったという事で、片付けてリビングへ向かうが、リビングではまだ掃除が続いていた。
メンバーは希望に奈央ちゃんに麻美ちゃんに渚ちゃんか。
「あ、浴場組ー」
「あら、終わったんですの?」
「おう」
「早いよぅ」
「まあな。 リビングはまだかかりそうか?」
「もう少しですわよー」
「じゃあちょっと待つか」
てなわけで俺は亜美がいるであろう台所へ行く。
しかし、台所に着いてみると中は既に掃除が終わっており、誰も居なくなっていた。
「は、早いな」
亜美は何処へ行ったのか。
「あ、今井先輩」
「む、星野さんか」
「清水先輩ならお庭の手入れに行きましたよ」
「庭か」
この「皆の家」には、亜美が作った日本庭園がある。
定期的に亜美が手入れしているのだ。
「美夕ちゃんも一緒に連れて行きましたよ」
「サンキュー」
亜美の居場所もわかったので、早速庭へ向かうのだった。
◆◇◆◇◆◇
庭にある日本庭園にやって来ると、ベビーカーの横で松を手入れしている亜美の姿を発見した。
「よ、亜美」
「う、うわわ、夕ちゃん?! いきなり声掛けないでよぉ。 びっくりして脚立から落ちるかと思ったよ」
亜美は脚立に登り枝の手入れをしているようだ。
ちなみに松の木の手入れなんか俺にはさっぱりだ。
「浴場は終わったの?」
「おう。 余裕だ」
「さすがだねぇ」
「ふんっ、まあな」
「すぐに調子に乗るんだから」
「がはは! 掃除任せろー!」
「うんうん。 たまには任せるよ」
「にしても、松も立派になったな」
「うん。 立派な松の木になったよ。 私も枝の剪定頑張った甲斐があるよ」
「庭園はこれで完成なのか?」
「いやいや。 まだまだ手の入れようはあるよ。 妊娠中に考えてた滝を作るとかね」
「そ、そうなのか……」
川に池と来て今度は滝と来たか。
「よいしょ。 庭の掃除は明日やるとして、今日はここまで」
「あ、明日もやるのか」
「うん。 濾過装置や池の掃除は必要だからね。 良かったら手伝ってねぇ」
「お、おう」
あ、明日も掃除か。
夕也も頑張って浴場掃除をやり遂げるのだった。
「希望です。 夕也くん凄いね!」
「まるで子供を褒めるように……」




