第2297話 走り納め
クリスマスパーティーの翌日。
☆麻美視点☆
西條家のクリスマスパーティー翌日ー。
「渚ー。 布団乾燥機届いたー」
「よっしゃ」
昨日のクリスマスパーティーで行われたビンゴ大会で獲得した布団乾燥機。
それが今家に届いたのであるー。
「西條グループ製の布団乾燥機ー」
「おお、ええな」
「省エネかつ高性能ー。 一台で三枚の布団を乾かせるー」
「別にそんなに乾かさんでもええけどね」
「うむ」
「わふ!」
「あ、くぅ。 仔犬達の面倒ちゃんと見ていろー」
「わふ」
くぅは今月頭に仔犬を産んでいるー。
仔犬は生後20日である。
親犬が近くにいないとー。
くぅの仔犬達は、早い仔は既に少し歩き始めている。 まあ、本当に少しだけなんだがー。
だから、くぅもちゃんと見てないとダメなのにー。
「ほらほら」
「わふ」
くぅは私と遊ぶのは諦めて仔犬の方へ戻っていった。
むー。 後でちょっと遊んであげよー。
◆◇◆◇◆◇
お昼前ー。
くぅと仔犬を連れて「皆の家」へやってきた私達ー。
車便利ー。
「おお、麻美っち来たか」
「ほへ? どうしましたか月島先輩ー?」
「いやな、これから走り納めしよかって星野さんと話しとったんや」
「おー! 走り納めー! お姉ちゃんは行くの?」
「美夜の事は亜美が見ててくれるみたいだから、私も行くわ」
「うんうん。 任せて行ってきなよ」
「渚ー! くぅと仔犬の事見ててくれるー?」
「ええよ。 行ってきぃや」
「なはは。 渚ありがとうー」
「ええて」
というわけで、私達バイク仲間組はこれから走り納めをしに行く事にー。
行き先は星野さんのお気に入りの海岸道。
この時期は冷えるから暖かい服を下に着ていくぞー。
◆◇◆◇◆◇
ブォンブォーン
「ようやく皆揃ってのツーリングが出来ますね」
「そやな。 ずっと藍沢さんは乗れてへんかったさかいな」
「そうね。 でもこの前一回走ったわよ」
「お姉ちゃんと星野さんの3人で走ったー」
「ほう、そうなんや」
「ほな、ナナミのもうのれるんやナ」
「ええ、大丈夫よ」
「では行きましょう! 本年の走り納め!」
「おー!」
という事で、星野さんを先頭にしてバイクを発進させる私達であったー。
◆◇◆◇◆◇
国道に出たところではあるが、時間はお昼時ー。
早速お昼を食べる為、近くのコンビニに寄っているー。
「ズルズル……。 カップ麺美味しいー」
店内のイートインスペースで、私はカップ麺を啜っている。
他の皆もそれぞれ好きな物を口にしているー。
「弁当も美味いけど、やっぱりラーメンやな」
「身体がちょっと温まりますからね」
「そうね」
「ワハハ。 ズルズル」
この後海外道に出るから、すぐに身体は冷えそうだがー。
一応スーツの下に着込んでは来たがー。
「ズルズル……」
「そやけど、藍沢さんのライダースーツ姿似合うてるな」
「皆そう言うのよね。 そんなに似合うかしら?」
「はい。 何かカッコイイです」
「ズルズル。 お姉ちゃんはどんな服着ても似合うけど、まさかライダースーツまで着こなすとはー」
「うーん……まあ、ありがとうと言っておくわ」
お姉ちゃん的にはもう少しオシャレな服を褒めてほしいという事らしい。
まあ、お姉ちゃんは本当に何を着ても似合うから褒められまくってるけどー。
◆◇◆◇◆◇
ブォーン!
お昼を食べ終えて再び走り出した私達。
相変わらず星野さんを先頭にひた走るー。
「前走った時は暑くてしゃーなかったけど、この季節は逆に冷えるな」
「とはいえ、寒さ対策はし易いので走り易い季節ではありますよ」
「そうね。 エンジンが良い感じに温めてくれるわ」
「うむー」
「ワハハ」
「もう少しで海岸道に出ます」
「おお」
「冬の海岸美は風もあったりしますが、空気も澄んでいて水平線がくっきり見えて綺麗ですよー」
「今日は天気もええしな」
「はい」
「たのしみやナ」
私も楽しみだ。
夕暮れの時間はもっと綺麗に見えるそうなので、星野さんが行きつけのうどん屋さんとやらで時間を潰して、夕日を見てから帰る事になった。
バイクツーリングを目一杯楽しむプランであるー。
しばらくバイクを走らせると、海岸道に出て来たぞ。
「へぇ。 海面がキラキラ煌めいていて綺麗ね」
「ほんまに水平線がくっきりやな」
「チキュウはまるいんやナ」
「なはは。 そうだぞー。 しかも青いー」
「何の話をしてんのよ……」
「今では常識ですけど、ほんのちょっと前はそれも空論とされていたんですよね」
「らしいなあ。 地球は四角いテーブル型で、端っこまで行ったら落ちるとか言われてたんやんな」
「うむー」
「ブンメイのシンポってすごいナ」
何だか話の方向性が変な気もするけど、まあたまには良いかー。
近くに駐車場がある海岸に降りて、冬の海の前にやって来たー。
「風あるな」
「ですね」
「にしても、意外とバイカー多いわね」
そうなのであるー。
こんな真冬、しかももうすぐ年末だというのに私達以外にも、そこそこの人数のバイカーが海岸にいるのだ。
「ここはこのツーリングルートの終着点として、バイカーの間ではちょっと有名なので」
「へぇ。 やっぱりそういう場所ってあるのね」
「はい」
星野さんお気に入りのスポットなだけあるー。
日が海に消えるまでまだ時間があるとの事なので、ここからちょっと行った所にあるうどん屋さんに言って時間を潰す。
◆◇◆◇◆◇
「ズルズル」
「美味しいー」
「弥生達はカレーうどんじゃないの?」
「カレーうどんは白華屋のが美味すぎてな。 他の店ではあんま食わへんねん」
「ああ、確かにあの店のカレーうどんは絶品よね」
東京組が贔屓にしているうどん屋さん「白華屋」。
元々カレー専門店をやっていた店長さんが、カレー屋を辞めてうどん屋さんを始めたらしい。
なので、カレーうどんに関してはかなり拘りがあるのだとか。
「まあでも、この天ぷらうどんもかなりのもんや」
「ズルズル。 やナ」
「さすが星野さんのお気に入りなだけあるわね」
「ズルズル。 はい!」
うどん屋さんで時間を潰してのんびりしてると、丁度良い時間になった。
という事で、先程の浜に戻って来たぞー。
「まだバイカーいるー」
「ここの日の入りも綺麗ですからね。 私達みたいに本年の走り納めに来ている人達なんでしょう」
「ほむー」
「バイカーってのは考える事皆同じなんやな」
「ワハハ」
「あはは。 確かに思考は似てるかもしれませんね」
私はまだバイクに乗り始めてそんなに長くないけど、星野さんはもう結構乗っているし、私達以外にもインターネットで知り合った仲間もいるらしいので、その界隈の考え方が浸透しているのだろう。
「さあ、日の入りですよ」
「おー」
「綺麗なもんやな……」
「ワハハ」
「そうね。 来て良かったわ」
水平線に消えていく夕日を眺めながら、本年の走り納めを終えるのだった。
ちなみに、帰りにファミレスにも行って、またご飯を食べたぞー。
本年最後のツーリングを楽しむ麻美達であった。




