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第2293話 お笑いライブ

クリスマスパーティーに参加中の皆。

 ☆奈々美視点☆


 今年も西條家のクリスマスパーティーに参加している私達。

 友人席の人数も増えたわね。

 何せ今年は赤ちゃんズなんてのが増えたし。

 美夜達は今、奈央が用意した防音付きベビーベッド内で寝ているわ。


 さて、始まりましたクリスマスパーティー。

 今年の司会は何と、バレーボール女子日本代表にして、プロリーグチーム大阪ホワイトフォックスの選手である黛姉妹。

 奈央が呼んだらしいわ。

 軽快なトークで掴みは上々って感じね。

 バレーボール選手よりこっちの方が向いてるんじゃないかしら?


「ほな皆さん! 美味い物を食べながら、人気お笑い芸人さん達のお笑いライブを楽しんで下さい!」


 パチパチパチパチ!


「ほんま、ノリノリで司会しとるな」

「恐ろしいぐらい様になってるわねー」

「なはは! 将来安泰ー」

「あ、そうそう。 あの二人も友人席の方に招待してありますわよ」

「っちゅうことは……」


 最初の司会進行を終えた黛姉妹は、部屋の端っこを通りながらこちらへと歩いて来た。

 弥生は「げっ」と、あからさまに嫌そうな声を上げる。


「何が『げっ』やねん」

「何しに来たんや」


 関西弁同士で言い合いが始まる。

 黛姉と弥生は顔を合わせるとこれね。

 黛妹と渚が仲裁に入って落ち着かせている。

 どっちが姉かわかったもんじゃないわね。


「まあ、仲良くなさいな。 黛さん達の席はそっちね」

「ありがとさん。 ほら、お姉ちゃんこっちや」

「おお。 その前に赤ん坊見させてぇな」

「どうぞだよ。 右から私の子、奈々ちゃんの子、奈央ちゃんの子、紗希ちゃんの双子ちゃん、遥ちゃんの子だよ」

「おーおー。 どの子も整った顔してるやん」

「将来は美男美女やな」


 と、黛姉妹からも好評の赤ちゃんズ。

 まあ、私達の子だしそこは保証されてるようなもんよね。

 黛姉妹は一通り赤ちゃんズの顔を覗き込んだ後、自分達の席に着いて食事を食べ始めた。


「さすが西條家のパーティー料理やな」

「こんなん食うた事あらへんで」

「おほほ。 好きなだけ召し上がると良いですわよ」

「きゃはは。 司会進行の仕事忘れたらダメよー?」

「忘れるも何もあらへんて」

「しばらくはお笑いライブが勝手な進行するからな。 ウチらの次の出番はお笑いライブが終わって劇の準備がある間の繋ぎや。 まだ先やて」


 と、余裕を見せる司会進行の二人であった。


「劇って何やるの?」

「たしかオリジナル作品やで」

「へぇ。 楽しみだな」


 オリジナル作品の劇となると、内容は正に未知の物語。

 どんなお話なのかしら。


「ちなみに何て劇団で何てタイトルなわけ?」

「劇団は……白山大学の演劇部ね」

「だ、大学の演劇部なの? 西條家だからもっと凄い劇団かと思ってたよぅ」

「あら。 白山大学の演劇部は全国で最優秀賞受賞の実力派ですわよ」

「そうなんや? そら楽しみやな」

「タイトルは、白百合物語ですって」

「どんなお話になんだろうねぇ?」

「女性同士の恋愛のお話だと書いてありますわよー」

「あー、百合ってそういう」


 面白い題材ね。

 女性同士の恋愛ねー。

 私と亜美は仲こそ良いけどそうはならなかったわね。 夕也と宏太が一緒にいた所為かしら?


「知らない世界だよ。 興味津々だよ」

「さすが亜美ちゃんだよぅ……」


 知らない事を何でも知りたがる我が親友の亜美。

 今までも、役に立つ知識と何の役に立つかわからない知識、色々な事を覚えてきたみたいだけど、まだ知らない事があるみたいね。


「お、お笑いライブが始まるで」

「誰が出るんや?」

「まあ、有名なお笑い芸人でしょ?」

「私はお笑い芸人については詳しくは知らないですわよー。 何か良さげなお笑い芸人を数名呼んでみたわ」

「そ、そこは適当なんですね……」


 天堂さんはちょっと引き攣った顔で奈央を見るのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



「そやからそれは草履やがな!」

「こりゃソーリー!」

「もうええわ」

「ありがとうございましたー!」


 ……何が面白いのかわからないまま一組目の終わってしまったわ。

 何よ「草履」からの「ソーリー」って。


「奈央ちゃん。 あの二人は売れてないんじゃないかな?」


 亜美も素の顔で一組目のコンビに拍手を送っている。

 まあ、あれはさすがにダメでしょうね。


「知りませんわよー。 適当に選んだんですもの」

「なあ、大阪の」

「何やあんちゃん」


 宏太の奴が黛姉妹に話しかけている。

 何、この珍しい組み合わせ。


「さっきの二人は結局どうなんだ? 大阪人なら知ってるんじゃないのか?」

「知らんコンビや」

「ウチも」


 本場大阪の人間が知らないんじゃ、本当に名も売れてないコンビなのね。


「お、次のは有名なピン芸人や」

「期待出来ますわね」

「どんな芸風なの?」

「世の中の不公平をぶった斬る芸風やな」

「な、何それ」

「まあ、所謂自虐ネタや。 自分と他人を比較して不公平や言いよるんや」


 そ、それの何が面白いのさっぱりわからないんだけど、大阪ではそれがウケるのかしら?


「いやー! しかし、あれやね。 世の中不公平やと思いませんか?」


 と、まずはそんな滑り出しを見せるお笑い芸人。


「世の中には、こんなでかい屋敷に住んで毎年こんなクリスマスパーティー開いてる大富豪がおるっちゅうのに、ワイの家は家賃5万のオンボロアパート! パーティーでもしようもんなら大家さんに怒鳴られる始末! 不公平やわー…… ふーこうへいふこうへいー♪ わいの名前はこうへいー♪」


 ま、まあその気持ちはわかるけど……いや、やっぱり何が面白いのかわからないわ。


「ぷぷぷ! 面白いねぇ。 あの何とも言えない歌が」

「……」


 亜美の笑いのツボは本当に何処にあるのかわからない。

 あれで笑えるのって一体どんな層なわけ?


「おもろいやろ?」

「ウチ好きやねん」


 お、大阪の黛姉妹にはウケてるみたいね。

 私達のほとんどは白けてるのは言うまでもないわ。

 その後も「こうへい」という芸人にはあらゆるものと自分を比較しては「こんな不公平な話ありまっか!?」と、謎の不公平押しを続けるのだった。



 ◆◇◆◇◆◇



「だはは!」

「あははは!」

「こ、この二人は最高に面白いわね!」


 最後に出てきた右下斜め77度というコンビのコントはかなり面白かったわ。

 特にお互いの話が噛み合ってないのに動きは完璧にシンクロするとことか。

 結構練られたネタね。


「お、お腹痛いよ! 笑いすぎて死んじゃうよ!」


 笑いのツボがどうなっているのかわからない亜美は、今のネタで爆笑して苦しんでいるわ。


「ほな、ウチらちょっくら司会に戻るわ」

「また後でやな」

「もう来んでええで」

「来るわい! 飯まだ残ってんねん!」


 黛姉妹は次の演劇までの繋ぎの為に、司会へと戻る。

 お笑いライブはまあ当たり外れあったけど、劇の方は期待して良さそうなのかしら?

 白山大学の演劇部の実力や如何にって感じね。


お笑いライブは当たり外れがあったようだ。


「奈央ですわ。 詳しい人に選んでもらえば良かったですわね」

「そ、そうだね。 ぷぷぷだよ」

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