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第2292話 今年もやっぱりクリスマスパーティー

西條家クリスマスパーティーへやって来た夕也達。

 ☆夕也視点☆


 今年も西條家クリスマスパーティーの時間がやってきたぞ。

 競馬場から帰って来た奈央ちゃんについて行き、西條家の屋敷へとやって来た。

 パーティーに参加する際はドレスコードが必要なので、屋敷の中で着替えさせてもらう。

 何と、赤ちゃんもちゃんと着飾っている。


「あー?」

「なはは! 可愛い!」

「ドレスを着た赤ちゃんなんて初めて見るわね」

「まあ、普通は着る事ありませんものね」

「にしても、男子組は春人以外タキシードが似合わないわねー」

「聖也君も全然あかんな」

「うっ」


 ふうむ。 似合わないのはわかっているが、どうしようもないんだよな。

 しかし、神山さんよりはマシだろう。


「トレーニングウェアなら自信あるんだけどな」

「太一さん、それでパーティーは無理です」

「で、赤ちゃんズはどうするの? 可憐はまあ、膝の上に抱いてても問題無いけど」


 宮下さんも気にしている通り、美夕や他の子達をどうするつもりなのだろうか?

 奈央ちゃんが何とかすると言っていたが。


「友人席の隣にベビーベッドを用意しましたわ」

「きゃはは!」

「だはは!」

「ワハハ!」

「うわはは!」


 爆笑するような事だろうか?

 まあ、ちょっと……いや、かなり変わってはいるが。


「泣き出したりしたら迷惑かけないかな?」

「心配ご無用ですわよ亜美ちゃん。 例のベッドを試用的に使います」

「おお、防音付きベビーベッドだねぇ」

「ですわよー」

「何だそれ……」


 空飛ぶベッドとかよりはマシだし、多分実用的な商品であろう事は何となく理解出来るが。


「ベビーベッドに防音加工を施した物ですわよ。 かなりの音量をカットしますわ。 更に、スマホと連携することで、赤ちゃんが泣き出した時にメッセージを送受信出来るシステムになっていますわ」

「何だか良くわからないけど、凄い仕組みだよぅ」

「まだ試験段階のベッドなの。 ちょうど良いか、この機会にテストしてみようとと思いまして」

「我が子達でテストするのか……」

「ちょっと抵抗あるわね……」

「大丈夫だよ。 安心安全のサイジョーブランドだよ」


 亜美はもう完全に西條グループの一員になってしまったようだ。


「さて、準備出来たみたいだし、会場へ向かいますわよー。 亜美ちゃんと春人君は会場に着いたら挨拶回りね」

「はい」

「らじゃだよ」


 そっちはそっちで大変そうではあるな。



 ◆◇◆◇◆◇



 パーティー会場となる西條家屋敷の大広間にやって来た俺達は、相変わらず隅っこの友人席に着く。

 近くには本当にベビーベッドが置いてあるようだ。


「これが件のベッドか」

「何かカプセルベッドみたいだな」

「まあ、防音ってくらいだし密閉型なんでしょ」

「換気とかどうやってるんだ?」

「奈央が帰って来るまでは使わない方が良さそうね」


 使い方や注意事項もわからんので、とりあえずは触らないようにしておく。


「ひと、いっぱい」

「いっぱいいるわねー」

「パーティー、だぞ可憐」

「ぱーてぃー!」

「可憐ちゃんは賢いですね」


 姫百合さんも言うように、可憐ちゃんはかなり物覚えが良いようだ。

 俺達の名前は既に覚えてしまったらしく、顔の違いもしっかり判別している。

 ちなみに一番好きなのはママで次がパパらしい。

 そして何故か三番目はキャミィさんだそうだ。

 よく遊んであげているからだろうと宮下さんは言っている。


 しばらくすると、挨拶回りを終えた奈央ちゃん達が友人席に戻ってきた。


「奈央、このベッドどう使えばいいの? 説明よろしく」

「ごめんなさいね。 忘れてましたわ。 亜美ちゃん、説明を」

「らじゃだよ。 まずはベッドのカバーを開けないとだね。 ここに開閉ボタンがあるから押してみて」


 奈々美が代表してボタンを押すと、カバーがゆっくりとスライドして開く。


「あとは赤ちゃんを寝かせて閉める」

「ねぇ。 換気とかはちゃんと出来るの?」

「当たり前ですわよ。 ちゃんと空気の吸入口と排出口はありますわよ」

「なら良いけど」


 美夜ちゃんをベッドに寝かせてカバーを閉める。


「これで後は、スマホとベッドをペアリングしてオッケーだよ。 赤ちゃんの泣き声の声量に反応して、スマホにメッセージが届くようになってるよ」

「それは泣いてもらわないと確かめようがありませんね」

「ですわねー」

「さ、皆も赤ちゃんをベッドに。 美夕もねぇ」

「あーい」


 我が子も防音ベッドに寝かせる亜美。

 まあ、西條グループの商品なら大丈夫なんだろう。


「さて、そろそろ始まりますわよ」

「今年の内容はどないなってはるん?」


 毎年微妙に変わるクリスマスパーティーのイベント内容。

 月島さんもそこは気になる様子。


「今年はまず、お笑い芸人さん達のお笑いライブだね。 その後は劇があって、ビンゴ大会、姫百合さんとブルーウイングスさんによるスペシャルライブ、ダンスタイムだよ」

「ダンスタイムもあるんやな。 聖也君、踊れるんか?」

「ただの国語教師にそれを期待しないで下さい」

「だはは。 ウチかて苦手や」

「ダンスなんて適当で良いですよ」

「そうです。 フィーリングですよフィーリング」


 と、現役アイドルの姫百合さんやブルーウイングスの子達がそう言う。

 君達はそれじゃダメだろ。


「えー! 時間になったんで、これより西條家クリスマスパーティーを開始しまっせー。 本日司会を務めさせてもらうんわ、ウチら黛姉妹です。 よろしくお願いします」

「ぶふっ……ま、黛姉妹やて?」

「そだよ」

「あの2人、タレント事務所にも所属してますもの。 関西の方ではそれなりにテレビにも出て人気の姉妹みたいよ」

「バレーボール選手やないんか」

「バレーボール選手兼芸能人って感じだね」

「さ、さよか……」


 黛姉妹というのは、亜美達と同じ日本代表の選手だな。

 テレビで何度か見た事があるぞ。

 司会業もこなす軽快なトークと、息の合った姉妹のボケツッコミが人気なんだそうだ。


「何や隅っこの方に見知った顔が見えとりますなあ」


 と、早速黛姉妹は俺達をイジり始めた。

 まあ、最もイジりやすい人間だからだろう。


「ベッドがようさん並んでるで」

「あれやろ。 千葉アルテミスの皆が一斉に産休取ってたし赤ん坊やろ」

「ですわよー!」


 奈央ちゃんが代表して返事している。


「司会の二人、上手いね」


 姫百合さんが感心したようにそう言うと、亜美達は首を傾げた。


「上手い?」

「はい。 一見、イジりやすい相手を見つけて掴みを取ろうとしたように見えるけど、その実は赤ちゃんという存在がこの場に居る事を、会場内の人達に周知させるという裏の目的があるんですよ。 赤ちゃんが居るから多少の泣き声は許してあげてねーって」

「まさか、あの二人にそないな気遣いが出来るわけあらへんやん」


 と、月島さんは信じないらしい。

 まあ、事実はどうあれ、姫百合さんの言うように赤ちゃんの存在は会場内に周知されたわけだ。

 防音ベッドもあるし、これで赤ちゃんズのグズりを必要以上に心配する事は無いだろう。


 さあ、クリスマスパーティーを楽しむぞ。

今年は司会も知り合いのようだ。


「奈々美よ。 あの二人、芸能人の方が合ってるんじゃないの?」

「た、確かにねぇ」

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