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第2287話 掃除試験合格

今日も掃除試験中の夕也。

 ☆夕也視点☆


 12月15日の水曜日。

 今日も麻美ちゃんと渚ちゃんに監督してもらいながら、二人の家の掃除をしている。

 監督には、中々合格を貰えない俺を心配して亜美も来ている。


「あーい」

「よちよち。 パパがお掃除してるのを見てようねぇ」

「なはは」

「美夕ちゃんは元気やな」

「きゃっきゃっ」


 ちゃんと見てるよな、あの三人?

 さて、前回の試験で貰ったアドバイス、「早さと丁寧さのバランス」とやらに気を付けてやっているわけだが。


 ブィィィン……


 どれくらいの早さで綺麗に出来れば良いのかわからん。

 ただ、遅すぎるのはダメなのは間違いない。

 出来るだけ早く、それでもしっかり丁寧に。

 今、自分が出来得る限り早く綺麗に!


「おお! 夕也兄ぃ、今日は良い感じだぞー」

「うんうん」

「もうちょいですよ、先輩」

「おう!」


 ブィィィン……



 ◆◇◆◇◆◇



「むっ……むぅ」


 掃除が終わったので採点の時間だ。

 麻美ちゃんと渚ちゃんは、俺が掃除した場所をゆっくりと見て回る。

 亜美は特に口を出さず、その姿を見守る。


「渚ー」

「そやなあ」


 二人は小さく頷き合った後、こちらを振り返り口を開く。


「100点ー!」

「先輩、卒業おめでとうございます」

「お、おう! マジか!?」

「うんうん。 素晴らしいよ素晴らしい」

「今日は時間もあまり掛からずに、それでいてしっかりと綺麗に掃除されているー。 だから100点ー!」

「完璧や」

「うんうん。 素晴らしいよ素晴らしい」

「や、やっと合格したぜ……にしても、今までとそんなに違うか?」

「うんにゃ? ちょっとぐらいじゃないかなー」

「そやね」

「まあ、98点とかだったからねぇ」

「そ、そうなのか」

「そうー」

「家事っていうのはね、掃除だけじゃないでしょ? 洗濯も買い出しも炊事もあるわけだよ。 一日の時間の割り振りを考えると、掃除に割く時間、洗濯や買い出しに割く時間をしっかり考えて進めなくちゃいけないんだよ。 その上で、自分の時間っていうのもプラスαで作れるように出来るのがベスト」

「そやから、掃除に限らず全ての作業において、早さと丁寧さのバランスが重要なんですよ」

「な、なるほど。 掃除単体で考えていたのが良くなかったわけか! 一日の家事の流れを意識して、ちゃんと段取りを組んで進めるのが大事なんだな!」

「うむ! 合格!」

「夕ちゃんやったね! 今年中に家事を習得だよ」

「うー?」

「な、長かったなあ……」

「ほんまですよ」

「なはは。 でも、掃除をすれば散らかしていた頃から比べたら大いなる進歩ー」

「そうだよ。 これでようやく夕ちゃんも家事の分担に入れられるよ」

「洗濯は任せろ!」

「せ、洗濯に対する自信だけは凄まじいねぇ……」

「洗濯は得意だからな」


 他の家事を覚えても洗濯が一番得意な事に変わりはないのだ。


「さて。 じゃあ掃除も終わったし、『皆の家』に行こうねぇ」

「おー!」



 ◆◇◆◇◆◇



 というわけで「皆の家」にやってきたわけだが、玄関の名札を返す時に、珍しい人の名札が白になっているのが見受けられた。


「おお。 姫百合さんが来てるよ」

「なはは! あのアイドル、いつも急に来るー」

「今に始まった事じゃないがな」


 毎年西條家のクリスマスパーティーに参加する今日はまだ12月15日。 クリスマスパーティーまではまだあと10日あるんだが、それまでここに滞在するつもりなのだろうか?


「とりあえずリビングに行こう」

「おー」


 スリッパに履き替えてリビングへ向かう。

 この広い屋敷にももう随分と慣れてしまったな。

 

「やほほだよー」

「こんにちは」

「あ、清水さんやほほです! その腕に抱いてらっしゃるのが美夕ちゃんですか?」

「姫百合さん、やほほだよ。 美夕、アイドルのゆりりんでちゅよー」

「あー?」

「おお……何という可愛いさ」

「ふふん。 そうだろうそうだろう」

「世界一可愛いんだよ」

「みゃー」

「なー」

「なはは! 親バカ発動してるー」

「まあ、誰かて我が子が一番やろ」

「ですわよ。 私なんて界人が一番可愛いと思ってますもの」

「いやいや、美夜でしょ」

「真希と美希が世界一よ」

「どっちが世界一なのよ?」

「どっちもよ!?」

「お前らなあ……まあ、世界一イケメンな赤ちゃんなのはうちの広大だろうがな」

「界人ですわよ!」

「み、皆さん超ド級の親バカですね……」

「姫百合さんはどの子が世界一可愛いと思うわけ?!」

「え、ええ……わ、私になすりつけないで下さいよ」


 このやりとりを見ていた星野さん、天堂さん、マリアちゃんの三人は、呆れた様な表情を見せるのだった。


「それより、姫百合さん今年はもう仕事終わりなの?」

「はい。 収録系のものは全て撮り終わりましたよ。 後は年末の歌番組と年始の生番組ぐらいです」

「って事は、それまではここにいるんだね」

「はい。 しばらくお世話になります」


 まあ、いつ来ても良いように姫百合さんの寝室は掃除されているらしい。

 普段はほとんど来れない人だが、ちゃんと彼女用の寝室があるのが面白い。


「クリスマスで思い出しましたわ。 亜美ちゃん、次のサイジョーレディーのレースなんだけど」

「うん。 ホープフルステークスだね。 今年は12月25日の土曜日に開催されるねぇ。 現地に行くんだよね?」

「ええ。 だけどパーティーには間に合うかしら?」

「大丈夫だと思うよ。 レースが終わるのが16時ぐらいだからね。 仮に勝って表彰や口どり式に参加したとしても間に合うはずだよ。 中山競馬場は船橋だからね」

「それなら良いんですが」

「なはは! 私も行きたいー!」

「うんうん。 良いよ良いよ」


 俺は別に競馬が好きってわけでもないしなあ。

 ついて行かなくても良いか。


「西條さん、馬主やってらっしゃるんですか?」


 その辺の事を知らなかったらしい姫百合さん。

 美夕に指を咥えさせながら、奈央ちゃんと話を続けている。


「ええ、今年から」

「おー。 馬主って簡単になれるんですか? 実は少し興味がありまして」

「ええ……トップアイドルが馬主?」

「別に良いじゃないですかー。 大御所の演歌歌手の方とか、人気の芸人さんとか、一流のスポーツ選手とか、結構いらっしゃるんですよ?」

「そ、それはそうだけど」


 奈々美は姫百合さんの圧に押され気味になっている。

 ふむ、中々に珍しい。


「まあ、馬主登録関係は亜美ちゃんに任せていたから、私はあまり詳しくはないですわよ」

「馬主になる事自体はさして難しい事じゃないよ。 継続して得られる年収だとかの条件をクリアしていれば大体は申請も通るはず。 問題はなってからだねぇ」


 と、亜美は姫百合さんに丁寧な説明を続けている。

 姫百合さんも結構本気で話を聞いて、メモまで取っている始末だ。

 このアイドル、本気か?


「マネージャーさん、また頭を抱える事になるわね」

「だな……」

掃除試験合格!

「皆の家」にはゆりりんが到着。


「遥だ。 ようやく合格したのか」

「時間かかったねぇ……」

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